小っこいの 幸せな朝 司つく
頬に柔らかな風を感じながら、朝の一時を微睡む。
そろそろ‥‥そろそろ‥やってくるかな?
カチャリッ
扉の開く音がする。こそこそと音を立てずに歩いてくる。もう起きてるけどな。目を瞑ったまま寝たふりをする。
ベッドに飛び乗る瞬間に目を開けてビックリさせるぞ。今日は、おーたんの作戦勝ちだな。フフンッ
10、9‥‥カウントダウンを始めた瞬間‥‥に、えっ、えっ、えっ、まさかの勢いで猛烈ダッシュで
バフッ
「グエッ」
気を抜いてた俺の鳩尾に‥小っこいのが降ってくる。
「おーたん、おはようでしゅ」
「おぉっ‥おぉ」
「おぉじゃないでしゅよ。おはようでしゅ」
いやいや小っこいの‥‥挨拶を強要する前に、その突進癖なんとかしろ‥なっ
なのに、なのに、目の前の小っこいのがニコッと微笑むと
「おはよう結」
なんて、満面な笑顔で返事してる。
「おーたん チィールあげましゅね」
ベッドの‥いや俺の胸に跨がったまま、スカートのポッケから大事そうに“よくできました”そう書かれたシールを取り出して、俺の頬にペタンッと貼りつける。
「ぐふふっ おーたん にあうでしゅ」
フワリッと飛び降り、床に着地する。
「ふむ 88てん」
なんて独り言を呟きながら。
思わず笑いそうになっちまうが‥ここで笑ったら後が怖い。ある事無い事、挙げ句の果てには、無い事無い事で責められちまう。
代わりに
「100点」
そう声をかければ、ニヤリっと笑いこっちを見ながら
「ごうかく!」
そう言葉を返して来る。
合格の意味が全くもってワカンねぇが‥‥まぁ、ご機嫌だからヨシとする。
「あっ、おーたん ごはんでしゅよ」
クルリと回って、扉の向こうに消えていく。
っん?いつもなら待っててくれるのに‥‥なんか寂しいなぁーなんて思いながら、身支度を整えてから扉を開ける。
「ワッ」
不意打ち喰らって
「うわっ」
と驚けば、ケタケタ嬉しそうに笑って手を繋いで来る。
繋いだ手が可愛くってたまらねぇ。小っこいのが動けば、フワリと良い匂いが薫り立つ。
小っこいのの周りには、幸せが幾つも幾つも散りばめられている。
扉を開けば、つくしと翼が笑ってる。くぅーーヤバいぐらいに幸せだ。
「おはよう、今日はおーたんの好きな秋の味覚だよ。もうね朝から大奮発」
テーブルの上に並んだのは、秋刀魚に、栗ご飯にって‥‥つくしと小っこいのの好きなもんばかりじゃねぇか。
「くくくっ」
「っん?そんなに嬉しい?秋刀魚と栗ご飯出すとニコニコするもんね」
「うん、しゅる しゅる 」
「っん?そうか?」
それはな、お前等2人が美味そうに食ってるのが嬉しくて‥ついつい笑っちまうんだ。
「おーたん、はい どうじょ」
小っこいのが、自分のお茶碗にのった栗を俺にくれる。
自分も好きなのに‥‥
クゥッーーーーー やばい。目頭が熱くなる。
やっ、こんなとこで泣いちゃーいけねぇよな。
「ありがとう」
ニコッと笑って
「おかえちは、モンブランのおみやげで いいでしゅから」
「あっ、結、それエビ鯛だよ」
つくしが言えば
「テへヘッ」
小っこいのが笑う。
「バブゥーーーー」
いつ迄も話してないで、自分に飯を食わせろと翼が文句を言っている。
おっと、手掴かみで下に投げ出した。
「あぁーーあぁーー翼、ダメ、ダメ‥勿体ないでしょー」
「バブー」
ツボに入ったのか、ニヤリと笑いブンブンと投げていく。
「あぁぁーーー、あぁーもう、司も見てないで、ちょっ、ちょっ」
賑やかに、朝が過ぎていく。
何気ない日常‥‥
繰り返される毎日。
なのに‥‥
幸せに包まれている。
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