スカートの中 16 類つく
「あっ、あっ、あの、その、あの……あのぉ」
「っん?なんだねつくしちゃん。__もしかしたら、やっぱり田村や加代から絆されたのかね。そうか__それじゃ……」
父さんの言葉を遮るように、つくしが慌てて首を振りながら
「ち、ち、違います。違います。あっ、あの、類が心配で……その、あたしがあたしがお願いしたんです」
母さんが言葉尻を嬉しそうに捉えて
「類が心配でつくしちゃんから?」
その言葉を捉えるように
「それじゃぁ尚更だ。そんな優しい心根のつくしちゃんに変な噂が立つ前に、きちんとした形にしなきゃね」
つくしを覗く皆が一斉に頷いて、盛大に拍手がされた。
その後は、飲めよ歌えよの宴会が夜通し続いた。
つくしが困った顔で俺を見てたけど……知らん顔を決め込んだ。俺がトイレに立った時__ちょっぴり飲んで顔を紅くしたつくしが俺の後を付いてきた。
バタンッ
「類__ねぇ」
「うんっ?」
「あのさぁ、さっきの婚約って……」
「あぁ、ありがとう。つくしの咄嗟の機転のお陰で、田村と加代を守る事が出来たよ」
「あっ、うん……でも、婚約は、どうなのかな?類からそんな関係じゃないって言ってくれないかな?」
「うーーん¬¬¬___母さんも父さんもそれじゃ納得しないんじゃないかな?__ここは、田村と加代を守ると思って......ねっ」
「__田村さんと加代さんを?」
「うん__取りあえず田村と加代が定年を迎えるまではさぁ、ねっ」
「___うん」
「約束だよ?約束。破っちゃだめだからね」
「......うん」
ちょっぴり酔ってるつくしの頭は、正常な判断に欠けている。田村と加代が定年を迎えるって、あと7年近くあるんだけどね......
まぁ、それはどうでもいいよね?
どうせ婚約破棄するつもりもないしさ。
それまでに、つくしを心身ともに手に入れるつもりだしね。
クククッ
翌日__まるで前からの打ち合わせ通りと言うように牧野一家が朝からやって来て......つくしと俺は、両家が認めた婚約者になったんだ。
パパさんもママさんも進も
「良かった良かった。類君なら安心だ」
「つくし、あんた幸せねーこんな格好良い人と婚約なんて」
「姉ちゃん、やったな」
口々に喜びを伝える。
俺?
勿論俺は、つくしの隣りで微笑んでた。
なんでって? つくしがパパやママ、進に余計な事を漏らさないようにね。
「類さん、姉ちゃんを幸せにしてやって下さい」
進の言葉には、感動してちょっと涙目になりそうだったよ。
最後の方は、つくしも諦めたのか?はたまた期間限定だと腹を括ったのか? はたまた久しぶりに家族と会った嬉しさかニコニコと笑ってた。
まぁ、こんなワケで
俺とつくしは、婚約者になったんだ。
夜2人で寝室に向かう。
用意されていたのは、キングサイズのダブルベッド。
「る、る、類……今迄のベッドは?」
今迄は、2つのベッドに別れて寝てた。
ほらっ、つくしが心配して同じ部屋にしただけだしね。
真ん中に置かれたサイドテーブルを何度邪魔だと感じた事か。
「母さんからの婚約祝いだってさ。早く孫の顔見せろって事かな?」
「な、な、なに言ってるの」
「だよね。子供はきちんと結婚してからだよね」
「あぁーー って、そ、そ、そうじゃなくって、あたしと類の婚約は、取りあえずでしょ?」
「うーーん そうだけど、母さん達は本気だしさ。まっ、仕方ないよね?」
「えっ?えぇーーー」
「ベッド大きいから大丈夫だよ。ねっ」
あの日から、俺の隣りはつくしで
つくしの隣りは俺。
そうなったんだ。
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