紅蓮 74 つかつく
あきらが俺の顔を覗く。
「あぁ……ありがとう。類、嫌な役引き受けさせちまって悪かったな」
あきらと類が顔を見合わせながら
「司がありがとう?」
「司が謝ってる?」
同じ様な言葉を発した後に二人揃って笑い出す。一頻り笑ったあとに
「じゃぁさ、牧野が司と一緒になったら俺に一日牧野貸してよ」
「なっんっ!」
「クククッ、仮定の話でも怒るんだ」
「フンッ」
「まぁさぁ、俺、アイツなんか気に食わないし、司のが何となくいいしね」
「類,何となくって酷くねぇ?」
あきらが笑いながら類に言う。
取り戻せなかったら__そう思う俺の心を自然と解してくれる。
「まぁさぁ、どんな力でもなるから。早く俺と牧野がデート出来るように頑張ってね」
ったく、コイツばっかりは、どこまでがジョークでどこからが本気かわかんねぇよな。
会話が途切れるのを待ち構えていたように三条が妖艶に微笑みながら近づいて来る。
「道明寺さん、きちんと賽は投げていらっしゃいました?」
「あぁ」
「それなら、ようございました。では、後ほど先程お預かりした物は、きちんとお渡ししますね」
「手間かけるが宜しく頼む」
俺が頭を垂れれば、含み笑いを浮かべ
「先輩の事になると随分と謙虚におなりになるんですね。そうそう、お一つ朗報ですわ」
「っん?」
「滋さんが帰国されるそうですのよ」
何が朗報なのかと問えば__
「滋さんにとっても、先輩は、失いたくない光なのですよ」
失いたくない光___か……
横を見れば類が頷いている。
ったく,コイツはつくしの事になると聖人君子だよな。
「類、約束してやるよ。つくしをもう一度この手に入れたら、俺公認でデートさせてやるって」
「おぉー じゃぁ頑張んないとね」
「あらっ、じゃぁ私にもお願い致しますわ。うふふっ楽しみですわ」
つくしを失ってから感じなかった温かなものが俺の中に流れ出していく___
* ****
バッシーン バッシーン 一本鞭の音が響き渡る。
身体中が痛さで熱を持ち意識が朦朧とする。
「__いやっ….やっ……ヤメテ….おねが……だから……いやぁッーー」
何度この言葉を叫んだだろう。
それなのに、それなのに、私の身体は意地汚いほどに感じ、蜜を溢れ出している。
「……綺麗だ……なんて綺麗なんだ……誰にも、誰にも渡しはしない」
鎖に吊られたままに貫かれる。心は嫌がっているのに、身体は男を求めて淫らに蜜を溢れ出している
男が下卑た笑いを浮かべて、激しく激しく私の奥底を突き上げる。
「儂の子を孕むんだ。美しく優秀な子を」
男があたしの中に精を放つ。
「いやぁっーーーーー」
「玲久、玲久、どうした?」
「はっ、はっ、はっ」
「玲久、玲久、落ち着け、落ち着け、大丈夫だ」
見知らぬ男が私を抱き締める。
抱き締められて初めて男が自分の夫だと思い出す。
では、今迄見ていたのは?
「玲久、大丈夫だ。全部全部夢だ」
男が私を抱き締める。アンプルを取り出し注射を打たれる。
意識が遠のくと共に__そうか、あたしは、夢をみていたのかと安堵する。
もう一つの牢獄に繋がれながら___安堵する。
自由を自由を求めながら、夢の中でも、現実でも……私は囚われている。
全ての意識を失う瞬間__
今日見た宗谷という男の顔が浮かんで__消えた。
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