紅蓮 75 つかつく
「__これ」
桜子があたしの前に封書を差し出してくる。
中を開けた途端__微かに薫る香りに胸がいっぱいになる。
封書の中には、真っ白なカードとeternalの香りが閉じ込められいた。
まだ持っていてくれたんだ___
司があたしの為に選んでくれた香り。
あたしの心は、一気にあの日に旅立っていく。
*****
久しぶりに繋がった電話に嬉しくて嬉しくて沢山話そうとしたら、『ワリィいまちょっと急いでるから』。そんな言葉と共に電話を切られた。
チェッ、チェッ、チェッ 哀しくて、哀しくて
「司のバカー、おたんこなす」
そう叫んだ。
次の瞬間___
バタンッ 扉が開いて
「あんっ?」
声がした。
驚きと共に顔を見上げたら、そこに司が立っていた。
小ちゃなリボンの付いた箱を持って。
「な、なんで?」
「記念日には会いに来るって約束しただろう?」
「な、な、なんの記念日?」
「っん?な、な、なんの記念日って__お前と、まぁそのなんだ….ってお前、忘れたのか?」
「えっ?えっ?何何」
そう聞いた後、真っ赤になってる司を見て、一年前の今日を思い出した。あたしも一緒に真っ赤になって
「__覚えててくれたんだ……」
小ちゃな声で呟いたら、約束したからな。そう言いながら、ピンクのリボンの付いた箱が開けられて
綺麗な瓶に入ったトワレをシュッと一吹き。
「お前をイメージして作らせた。世界でただ一つのお前の香りだ」
耳まで真っ赤にしながら、ぶっきらぼうに言い放った。
涙が一粒零れたら、ギュッと抱きしめながら
「これな、トップノートは爽やかに駆け抜ける柑橘系の香りだ。ミドルが優しく甘い花の香りで、ラストは凛としたスパイスの香りだ。ちなみにこいつの名前はeternalだ」
「永遠の?」
「ば、ば、ばか 訳すな!て、照れんだろう」
耳まで真っ赤になって照れてる様が可愛くて、キスをしていた
「生涯お前を愛する。お前がどんなババァになってもな」
「_っすん、可愛いババァになってやる」
「くくっ、どんなんでもいいよ。お前が惚けようがなんだろうがいいよ。ただし俺よりも一日でも長く生きろ」
「それで、惚けたら誰が面倒みるの?」
「そんぐらいの金は、きちんと残してやるから心配すんな」
「なにそれ」
「つくしが好きだって言ってんだ」
「ば、ば、バカ‥‥‥」
「ったく、直ぐにバカって言うな。たまにはきちんと愛の告白させろ」
嬉しくて嬉しくて、ダラダラと涙を流した。
「グシャグシャだぞ」
「すんっ、嫌いになった?」
「嫌いになるワケねぇだろうよ」
そう言いながらあたしを抱き締めて
「お前なら、なんでもいいんだ。すげぇ嫌な奴になっても、すげぇ太ってもババァになっても。どんだけ変わろうが構わないんだ。だから心配しねぇで永遠に俺を愛せ。なっ」
あたしは、素直になってコクンと一つ頷いた。
* ****
自由に、自由になりたい。
例え,司の隣りにいられないとしても
自由になって司を愛したい。
あたしの心に戦う炎が着いた瞬間だった。
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