スカートの中 24 類つく
あたしの思いは蚊帳の外……話はドンドンと進んで行く。
まるで、グングン伸びる竹のような勢いで。
なんと、なんと、半年後にお式が執り行われる事になってしまった。
梨々香さんも亨さんも
「やっと決心してくれたのね。ありがとう」
と涙をながさんばかりに大喜びをしてくれて
加代さんも田村さんも
「つくし様、嬉しゅうございます。次は類様とつくし様のお子様をお見せしてくださいませ」
なんて怖い事を言っている。
流されて
流されて
あたし__結婚?
ううん、そんなことダメダメ......
「類、あのちょっと良いかな?」
「っん?何?」
「あの……婚約を解消して欲しいの」
「婚約解消?って、先に夫婦として婚姻届け出したいってこと?」
とぼけた事を言って来る。慌てて左右に首を振る。
「違う。違う。あのね、やっぱりやっぱりダメだよダメダメ」
「何がダメなの?」
何がダメなの?美しい瞳でそう聞かれて……
ずっとずっと不安だった事を全てぶちまけた。
類は、刷り込み現象であたしを好きになってるだけだって。逃げるから追い掛けちゃうだけだって。
「あたしが、あたしが、全部類のものになったら…….類は、類は、すぐにあたしに飽きちゃうよ」
堪えていたものが全て溢れ出てあたしの瞳からは、あとからあとから涙が溢れ出てくる。
「ヒック_ヒック_だから、だから、婚約は解消して下さい」
俺の前にいる珍獣つくし……
いやいや、可愛い彼女は、なんともまぁ可愛い事を並べ立てて言う。
でもそれが……
なんともまぁ明後日の方角を向いているとでも言うかなんと言うか。
「ねぇ、つくしあんたバカ?」
「ヒック....ヒック....へっ?ど、ど、どういう事」
「俺、あんたがどんだけ逃げてもあんたが俺を大好きだって知ってたよ」
ゴクンっ
つくしの喉が上下して
「ど、ど、ど、どういう事?」
「俺が事故に合う前から、つくし俺の事を本当は知ってたでしょ?」
つくしの白い肌が一気に、そう一気に真っ赤に色づく。
ククッ、庭の紅葉に負けない程に真っ赤にね。
「__な、な、なんで?」
「なんでって、時たま俺の事をじっと見てたじゃん?」
つくしの全身が固まった。
「あ、あ、あたし目が悪いから……そ、そ、そう見えただけじゃない?」
「両眼 2.0」
「__ウグッ……」
そう、これ言っちゃうと色々と説明しなきゃいけなくなっちゃうから黙ってたんだよね。
「__俺、あんたが俺を見る度に期待してたよ……いつか俺とあんたは、きちんと出会って恋をするって」
「る、る、類?」
そう、あたしは、類の事を知っていた。
だから、あの日あのスカートを履きたかった。フワフワしてて可愛いスカートを。
もしかしたら、今日もまた会えるかな?って
会えたらいいなって……
類には、気が付かれてないと思ってた……
「赤いハート……運命だと思った」
「あっ、あれはたまたま……」
「ううん最初は、Goだった……」
「Go?」
「スカートの中」
えっ?えっ?えぇーーーーーーー
なんで、なんで?とばかりに類を見れば
「ごめん。気持ち悪いよね」
なんて言いながら下を向く。
「自損して起きたら目の前につくしが居て幸せだった。ついでにおでこに傷が出来たのも幸せだと思った」
涙は、どっかにすっ飛んでポカンと口を開けていた。
そうあたしの思考は色々な事に追い付かないで……ただただポカンと口を開けながら類を見つめてたんだ。
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