ずっとずっと 55
「‥…つくし?」
窓辺に佇んで遠くを見る彼女を見つける。
君の瞳には何が映っているのだろうか?
心が焼け付く愛を彼女は知っている。
焼け付いた心が、燻り続けているのだろう。
燻りは消える事があるのだろうか?
燻りが消えなくとも僕は構わない‥…
その燻りにもう一度火がつき炎になろうとも、僕の炎で、つくしの炎を包みこみ、燃やしてしまうから。僕は構わない。
だけど、僕は嫉妬する。あの男に激しく嫉妬する。
彼女の心を捕らえて放さない、あの男に嫉妬する。
声をかけずに、ベッドに戻る。
20分ほどして、ベッドに潜り込み僕にしがみつく君。
「っん?どうした?」
「ゴメン。起こしちゃった?」
「ううん。大丈夫だよ。」
僕の腕の中に抱きしめる。
彼女は安心したのか、スヤスヤと眠りに入る。
僕は眠れぬ夜を過ごす‥…
***
「薫、薫、起きて」
「っん‥朝?」
いつの間に寝ていたのだろう、気が付けば朝‥…
「くすっ 薫の髪の毛くしゃくしゃになってるよ」
無造作につくしの手が僕の髪を撫でる。
刹那、僕は目の前のつくしを滅茶苦茶に壊したくなる、
僕は,つくしを押し倒す。
「か、か、薫‥…だ、だめ‥…」
「つくし‥…好きだ‥愛してる‥…」
彼女の心とは裏腹に、女の躯はいつもの刺激を求め始める。
貪欲に求め始める。
何度も何度も抱き、知り尽くした君の躯。
いとも容易く、君の躯は僕を受け入れる。
陽の光の中、君を抱く。
キラキラキラリ‥…陽の光に照らされた君はとても綺麗で愛おしい。
つくしの名を呼び、僕は果てる。
君を抱き上げ、シャワーを浴びさせ、掌で君を洗う。
優しく優しく君の全身を
「か、薫‥…」
余韻を残した躯に火がつく。
「ふっ お終い。さぁ食事にしよう。」
君の躯に燻りを残す‥…
一日中、僕を思い出し僕を欲するように、燻りを残す。
君の心が無理ならば、僕は君の躯を絡めとる。
心と違い、躯は自由に飛んでは行けないから‥…
君の躯は、じきに僕に囚われるだろう‥…
心とは裏腹に、君の躯は僕を欲するようになるだろう
朝が始まる。
昨日とはあきらかに違う朝が始まる。
***
「つくし、ニューヘイブンには、やっぱり一緒に行こう。」
「‥…薫?」
「プライベートジェットで行くから、NYには寄らない。つくしはニューヘイブンに居ればいい。だったら構わないよね?」
「‥…」
「つくし‥ 返事は?」
僕はつくしに有無を言わせない。
だって、君の躯を手放さないと決めたから。
「はい。」
連綿と流れる僕の中の、世界を牛耳る血が騒ぎ出す。筒井と宝珠の血が騒ぎ出す。
目的を達する為には、手段を選ばない血が騒ぎ出す。
「薫様」
秘書の片倉が報告書を持ってくる。
つくしの報告書だ。
通話記録を含め、二人でいれない時間の全ての行動が記載されている。
彼女の全てを監視する。
***
日本の重鎮と呼ばれる男達が集まる‥…
「薫君、いよいよ頭角を現して来ましたな」
「血が騒ぎ始めたんでしょうな」
「もともと非凡なお方ですからな〜」
「そうそう、人を魅了させるものをもってはりますからな」
「益々もって楽しみになって参りましたな。」
「いまの薫君なら、儂等も、儂等の息子達も惜しみ無く力をお貸し出来ますな。」
「やはり、彼女の影響ですかな?」
「そうでっしゃろな。彼女の存在無くして,薫はんの決断は無かったんではないですか?」
「あぁ、そうですなぁ」
「彼女は、儂等に繁栄をもたらしてくれはりますなぁ」
「さすが、筒井さんの秘蔵っ子だ。」
「我々以外への、初お披露目は、KAGURAの婚約パーティですかね?」
「それは楽しみですなぁー」
「正式な婚約はいつにならはるんですかなぁ」
「いつになるんでしょうなぁー」
「なんでも、その際に筒井と宝珠を一つにするとかしないとか‥…」
「そうなるとまた色々な事がありますやろうな。」
「どちらにせよ、筒井の宝珠の繁栄と共に、儂等にも繁栄が待ってますからな。」
「そうどすな。」
あははっ ははっ
「裏切り者は」
「許さない」
ははっ ははっ
夜のしじまに、笑い声がこだまする。
欲望は欲望を産み、綿々と連なっていく。
エゴはエゴを産み、人を狂わせていく。
狂わせた方が悪いのか、狂った方が悪いのか‥…
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