三角波 総二郎 side
つくしにあったのは、たまたまだった。
本当にたまたまだった。
だけど、それは運命だった。
いつからだったろうか? つくしが欲しくて欲しくて堪らなくなったのは。
最初は、ただ単に懐かしいだけだった。
京都に行く度に呼び出していた。たまに会ってバカ話しをするそんな間柄だった。
俺等の関係が変わったのは、あの一件だった__
男に刺されそうなってブルブルと震えるつくしが儚気でどこかに消えちまわない様に抱きしめていた。
スマホのベルが鳴った。デスプレイに表示されたのは、無視出来ない電話だった。慌てて電話で話す俺の前につくしが跪き、チャックを下げて俺のものをしゃぶり上げた。
慌てて会話を切り上げて牧野の行動を制止した
「ちょっ、ちょっ牧野、ヤメロ」
俺の制止を無視して__あいつは俺の押さえ込んでいた劣情に火を点けた。
欲望と欲望が重なり合った。狂おしい程の快楽が俺の身体を駆け抜けた。
俺の下でよがり声を上げる女が愛おしくて愛おしく堪らなくなった。
何もかもがピッタリだった。何もかもが俺の為に作られていると錯覚させられた。
いいや、
何もかもがお前の為に作られてると思った。
抱いた瞬間__気持ちが溢れ出していた。洪水のように。溢れ出していた。
コイツを離しちゃいけないと思った。いや、離せないと思った。
なのに……
あいつは、俺の前からいなくなった。一人残された俺は、呆然とした。
呆然とした後、笑いが零れた。
「アイツ、また逃げやがった。クククッ」
スマホにあいつが俺を欲する痴態がバッチリと映ってたのは、どんな偶然だったのだろうか?
いや、偶然じゃない___俺に運命の女神が微笑んだんだ。
俺は、チャンスをモノにする為に……運命の女神の前髪を掴むことにした。
何をした?
あいつの心を丸裸にする事に決めたんだ。
2度目に抱いた時、俺は確信した。
だってよぉー あいつの身体は、心の数百倍正直だったんだ。俺が好きだと身体中で叫んでるんだからな。
だから
あいつの痴態を使ってあいつの2年を俺のものにした。
あいつの心を強くするための、あいつの心に核となるものを作るのに必要な2年間。
真っ正面から恋に立ち向かっていけるように__
先ずは
俺の手元にあいつを置く為に……小ちぇ頃から世話になってたすゞやかの莢さんにお願いをした。行儀見習いさせてくれって。
本来なら、抱いちゃいけなかったのかもしれないな。まぁ、なんだそれは、肉欲に負けた。あぁ負けちまった。
腹を空かせた狼の前に、美味そうな兎がピョンと出てくりゃ食っちまうだろう?
そりゃぁ、いたしかたねぇよな?
あいつの心が裸になる頃、あいつを手に入れるため……もう一つ俺は策略を練った。平行しながら進めていた筈だったが、思いがけずに時間が食った。
2年じゃ足りなくて、もう1年余分にかかっちまった......
最後の一年は、全国行脚だ。確かなものを自分自身に作るため。後ろ盾なんてなくたってお前一人くらい堂々と迎える為のな。
全ての手筈が整って、久方ぶりに屋敷に戻ってみれば__
「総二郎さん、お見合いですからご用意しなさいね」
なんて事を言いやがる。
まさかの政略結婚か?
「はぁっ?」
怪訝な顔で声音で返せば
「すゞやかさんのお嬢さんがお見えよ」
すゞやかのお嬢さんとはふざけた事を抜かしやがる。
「莢さんには、お子さんいねぇだろうよ?」
「あらっ、ご存知なかった? 年が明けて養女になられたからもう半年は過ぎたかしらね?」
なんて事をしれぇーと言った後に
「つくしちゃんって言うのよ。うふふっ、私も家元もとっても仲良くしていてね」
「__な、な、なんで?」
「あらっ、てっきり総二郎さんの思い人だと思っていたけど、違ったのかしら?あらっ、じゃぁ違う方にご紹介しなきゃいけないかしら__つくしちゃん、すっかり人気者でご縁談のお話が後を絶たないのよねー」
お袋の言葉を遮り思い切り頭を下げていた
「ど、ど、どうぞ宜しくお願いします」
お袋が嬉しそうにニッコリ笑った。
もうじき つくしがやって来る。
襖が開かれる……
俺は、つくしと恋に落ちる。
周りに祝福された恋に落ちる。
完


♥ありがとうございます。とっても嬉しいです♥
本当にたまたまだった。
だけど、それは運命だった。
いつからだったろうか? つくしが欲しくて欲しくて堪らなくなったのは。
最初は、ただ単に懐かしいだけだった。
京都に行く度に呼び出していた。たまに会ってバカ話しをするそんな間柄だった。
俺等の関係が変わったのは、あの一件だった__
男に刺されそうなってブルブルと震えるつくしが儚気でどこかに消えちまわない様に抱きしめていた。
スマホのベルが鳴った。デスプレイに表示されたのは、無視出来ない電話だった。慌てて電話で話す俺の前につくしが跪き、チャックを下げて俺のものをしゃぶり上げた。
慌てて会話を切り上げて牧野の行動を制止した
「ちょっ、ちょっ牧野、ヤメロ」
俺の制止を無視して__あいつは俺の押さえ込んでいた劣情に火を点けた。
欲望と欲望が重なり合った。狂おしい程の快楽が俺の身体を駆け抜けた。
俺の下でよがり声を上げる女が愛おしくて愛おしく堪らなくなった。
何もかもがピッタリだった。何もかもが俺の為に作られていると錯覚させられた。
いいや、
何もかもがお前の為に作られてると思った。
抱いた瞬間__気持ちが溢れ出していた。洪水のように。溢れ出していた。
コイツを離しちゃいけないと思った。いや、離せないと思った。
なのに……
あいつは、俺の前からいなくなった。一人残された俺は、呆然とした。
呆然とした後、笑いが零れた。
「アイツ、また逃げやがった。クククッ」
スマホにあいつが俺を欲する痴態がバッチリと映ってたのは、どんな偶然だったのだろうか?
いや、偶然じゃない___俺に運命の女神が微笑んだんだ。
俺は、チャンスをモノにする為に……運命の女神の前髪を掴むことにした。
何をした?
あいつの心を丸裸にする事に決めたんだ。
2度目に抱いた時、俺は確信した。
だってよぉー あいつの身体は、心の数百倍正直だったんだ。俺が好きだと身体中で叫んでるんだからな。
だから
あいつの痴態を使ってあいつの2年を俺のものにした。
あいつの心を強くするための、あいつの心に核となるものを作るのに必要な2年間。
真っ正面から恋に立ち向かっていけるように__
先ずは
俺の手元にあいつを置く為に……小ちぇ頃から世話になってたすゞやかの莢さんにお願いをした。行儀見習いさせてくれって。
本来なら、抱いちゃいけなかったのかもしれないな。まぁ、なんだそれは、肉欲に負けた。あぁ負けちまった。
腹を空かせた狼の前に、美味そうな兎がピョンと出てくりゃ食っちまうだろう?
そりゃぁ、いたしかたねぇよな?
あいつの心が裸になる頃、あいつを手に入れるため……もう一つ俺は策略を練った。平行しながら進めていた筈だったが、思いがけずに時間が食った。
2年じゃ足りなくて、もう1年余分にかかっちまった......
最後の一年は、全国行脚だ。確かなものを自分自身に作るため。後ろ盾なんてなくたってお前一人くらい堂々と迎える為のな。
全ての手筈が整って、久方ぶりに屋敷に戻ってみれば__
「総二郎さん、お見合いですからご用意しなさいね」
なんて事を言いやがる。
まさかの政略結婚か?
「はぁっ?」
怪訝な顔で声音で返せば
「すゞやかさんのお嬢さんがお見えよ」
すゞやかのお嬢さんとはふざけた事を抜かしやがる。
「莢さんには、お子さんいねぇだろうよ?」
「あらっ、ご存知なかった? 年が明けて養女になられたからもう半年は過ぎたかしらね?」
なんて事をしれぇーと言った後に
「つくしちゃんって言うのよ。うふふっ、私も家元もとっても仲良くしていてね」
「__な、な、なんで?」
「あらっ、てっきり総二郎さんの思い人だと思っていたけど、違ったのかしら?あらっ、じゃぁ違う方にご紹介しなきゃいけないかしら__つくしちゃん、すっかり人気者でご縁談のお話が後を絶たないのよねー」
お袋の言葉を遮り思い切り頭を下げていた
「ど、ど、どうぞ宜しくお願いします」
お袋が嬉しそうにニッコリ笑った。
もうじき つくしがやって来る。
襖が開かれる……
俺は、つくしと恋に落ちる。
周りに祝福された恋に落ちる。
完


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