天使ちゃん とり とりー 類つく
庭の花木が柔らかに揺れる中をあーちゃんと2人で散歩する。
「パッ、とり とりー」
「っん?何?」
「とりっ とりぃー」
「っん?トリさん?トリさんがどうしたの?」
空を見上げる。トリなんてどこにもいやしない。
あーちゃんは、両方のお手々をホッペにあてながらちょっぴり口を尖らせて同じ言葉を連呼する。
「とりっ とりぃー」
一生懸命がなんか可愛くってじっと見た。小ちゃな小ちゃなあーちゃんのつむじをじっと見た。
「あーちゃん」
「っん?」
俺を見上げる顔に、つくしと俺が見事なほどに混ざり合っていて……キュンっと胸が高鳴る。
あれっ、まっ、まいった。下向いたら涙が出そう。
慌てて上を向く。
「パッ、どうちましたか?」
あーちゃんを抱き上げながら
「ッパ、幸せだなぁーって」
そう言えば__
フンッフンッと頷いたあと
「あたちも、ちあわしぇでしゅ」
……ムギュッと抱きついてくる。
つくしと同じシャンプーの香り。柔らかくて優しい香り。
ヤバいっ、本格的に涙が出そうだ。
「あっ、とりっとでしゅ。とりっと おー とりー でしゅ」
ぷっ
あーちゃん。それは Trick or Treat だよ。
でも、ナイス。お陰で涙が引っ込んでくれたよ。
「あーちゃん、ハロウィンの事?」
目をキラキラと輝かせて
「そうでしゅ。パッ ちってましゅか?」
「っん?」
「おかし いーーーっぱいでしゅ」
ククッ
色んな事すっ飛ばして、お菓子いっぱいかぁ__
クククッ
「そっかー お菓子いっぱいかぁー。楽しみだね」
キラキラキラキラ大きな瞳を輝かせて
「あいっ」
大きな声でお行儀よく返事してから得意気な顔をして
「あんね、あんね、ナイチョなんだけどね__あーちゃんマモンとおしょろいでしゅ」
「っん?何がお揃いなの?」
ツーンと澄ました顔になって
「ナイチョでしゅ」
「へぇー内緒なんだ__そうか、内緒なんだね。__あっ、あーちゃん、なんと、なんと、ッパのポッケにキャンディーさんが入ってるよ」
色とりどりの包み紙を見せれば
「えっ、しょれは、しょれは」
「何がお揃いなの?」
小ちゃな掌を俺の前に差し出しながら
「マモンには、ナイチョでしゅよ。いいでしゅか?」
神妙にコクンと一つ頷けば
「あんね、あんね、あーちゃん イチゴしゃんになりましゅ」
「……イチゴさん?」
「あいっ」
俺の手を取りテクテクと衣装部屋に連れて行ってくれた。
「かぁーいいでしょ?」
「おぉー可愛いね。おっ、あーちゃんのはふんわりヒラヒラなんだね」
真っ赤でふんわりヒラヒラなイチゴの衣装。帽子には緑のヘタもついている。
へぇー、こっちがつくしのかぁ__
あれっ?こっちは、スカートの丈が随分と長いな……
「ッパ、ナイチョでしゅよ」
俺は、小指を差し出して
「うん。絶対に内緒だよ」
あーちゃんの口の中にキャンディーを一つ入れてあげた。
「おいちぃでしゅ」
幸せそうに微笑んだ。
あーちゃん ハロウィン楽しみにしてるね。
* ****
玄関を開ければ
Trick or Treat
目を真ん丸に輝かしながらニコニコニコニコ笑ってる俺の可愛い天使ちゃん
イチゴの衣装に身を包んだ天使が2人__
大きな天使に小さな天使♪
っん? 母さんは自由の女神?クククッ中々似合ってるね
メロンズは__あははっ、パンプキンズに変身してる。
用意したお菓子を手渡せば目を輝かせる。
沢山の戦利品を前にしてニコニコが止まらない小さな天使。
「ッパ、あーちゃん おかしやしゃん みたいでしゅ」
小さな天使の満足気な顔に釣られて笑う俺達。
ハロウィンの夜は__こうして過ぎていく。
幸せに 幸せに。
~オマケのハロウィン~
「見て、この満足そうな寝顔。うふふっ」
「うん。可愛いね」
「類のプレゼントのこのパジャマ、とっても似合ってるね。よくこんなの見つけたね……それに、この手触り極上だよね」
天使ちゃんのネグリジェ
見つけたんじゃないよ__作らせたんだよ
「気に入った?」
「うん。とってもありがとうね」
「だったら良かった。はい」
首を傾げながらも俺が渡したショッパーを受け取る。
「あーちゃんとお揃い」
「えぇーーいいの?嬉しいぃ」
今、嬉しいって言ったよね?
うん。言ったよね。
「じゃぁ、着てみてよ」
「うんっ」
にこやかに笑ったあと__ショッパーを開けて中身を取り出した___
「えっ?」
じっと瞳を見てニコッと笑う。つくしの顔がポッと赤らむ。
「あっち行こうか?」
自分の容姿なんて別に好きでも嫌いでもなかったけど__つくしに出会って俺、自分の容姿が好きになった。
クククッ だって ほらっ
ふらふらと引き寄せられるように付いて来るんだからね。
クククッ
↓ランキングのご協力よろしくお願い致します♥


♥ありがとうございます。とっても嬉しいです♥
- 関連記事