空色 類つく
少女は、小ちゃな頃から空を見上げるのが好きだった。
空には、色んな空がある。
どこまでも晴れ渡った雲一つない空
モクモク雲がいっぱいの空
今にも雨が降りそうな曇天の空
凄まじい雷雨の空
しとしと雨が降り続ける空
夕焼け色の空、星空、月夜の空
どこか似ていて、それでもちょっとずつ違って、一日とて同じ空には出会えない。
初めて恋をした日の空をいまでも少女は覚えてる__
それは、キラキラと光った空だった。
とってもとってもキラキラしていた。
恋を失った日の空も覚えてる。涙に霞んで空がよく見えなかったけれど。
泣いて、泣いて、死ぬ程泣いて
落ち込んで、落ち込んで地の底より落ち込んだ。
もう立ち直れない。もう心から笑う事など出来ないと思っていたのに……
「牧野、牧野、前、前」
「っん?」
雨上がりの空に強く優しい光が射し込んで、大きな虹が出来たんだ。
美しい空を見上げたら自然と笑みが零れてた。
「空はいつでもあたしと一緒にいてくれるんだね」
少女が言えば
「俺もね__」
空と同じ様にいつでも一緒にいてくれる青年を見て少女は
強くなろう。そう決めた。
優しくなろう。そう決めた。
二人で虹を見てから__幾つかの季節が過ぎ去った。
「つくしぃーー」
「はぁーい」
我が儘王子がつくしを呼んでいる。
類のお部屋に泊まった翌朝は、目覚めた瞬間……つくしがいないと哀しくなると臆面もなく豪語する我が儘王子が。
類が自分の感情を包み隠さなくなったのは、いつからだろう?
つくしとの未来を紡ぎ出すために人の倍働き出したのは、いつからだろう?
類から一番遠い所にある処世術やらとを身に纏い、笑顔の貴公子と呼ばれているから驚きだ。
「つくしーーー」
あっ、そろそろいかないとご機嫌が悪くなるのをつくしは良く知っている。
ほらっ、唇がヘの字になっている。
柔らかな髪の毛をくしゃりと撫でながら額に口づけを一つ落とせば__ふにゃりと笑う。
「おはよう」
つくしがビー玉色の瞳を覗き込む。
ギュゥッと類がつくし抱き締めて唇を差し出している。
ズルイくらいに美しい瞳でつくしを見つめながら
類の柔らかい唇とつくしの唇が合わせる。
もぞもぞっと手が動く__
「ダメダメ、今日はダメ……」
溜め息が零れる前に、慌ててスルリと腕の中からすり抜ける。
「__意地悪」
類がイジイジしながら唇を尖らせる。
可愛いくってたまらない。そんな気持ちに蓋をして
「類、あとでね。上手く契約出来たら2日間お休みだからねっ」
ニッコリとつくしが笑えば渋々と起き出してシャワーを浴びにいく。
スーツに身を包んだ類は、どこから見ても非の打ち所がなくて……つくしのハートをキュンキュンさせる。
今のつくし、後でねなんて言った自分をちょっぴり後悔してる。
不意に類の唇がつくしの耳朶を食む。
「うっ……」
不意打ちの攻撃に声が出る。
「つくし、あとでね」
類が嬉しそうにニヤリと笑って玄関を開ける。
外に出れば真っ青な秋空が広がっている。
「「ずっと一緒に同じ空を見たいね」」
二人で同時に呟いて目を合わせクスクスと笑い合った。
手を繋ぎ青空に二人揃って踏み出した。
fin


♥ありがとうございます。とっても嬉しいです♥ 空色さまに♪
空には、色んな空がある。
どこまでも晴れ渡った雲一つない空
モクモク雲がいっぱいの空
今にも雨が降りそうな曇天の空
凄まじい雷雨の空
しとしと雨が降り続ける空
夕焼け色の空、星空、月夜の空
どこか似ていて、それでもちょっとずつ違って、一日とて同じ空には出会えない。
初めて恋をした日の空をいまでも少女は覚えてる__
それは、キラキラと光った空だった。
とってもとってもキラキラしていた。
恋を失った日の空も覚えてる。涙に霞んで空がよく見えなかったけれど。
泣いて、泣いて、死ぬ程泣いて
落ち込んで、落ち込んで地の底より落ち込んだ。
もう立ち直れない。もう心から笑う事など出来ないと思っていたのに……
「牧野、牧野、前、前」
「っん?」
雨上がりの空に強く優しい光が射し込んで、大きな虹が出来たんだ。
美しい空を見上げたら自然と笑みが零れてた。
「空はいつでもあたしと一緒にいてくれるんだね」
少女が言えば
「俺もね__」
空と同じ様にいつでも一緒にいてくれる青年を見て少女は
強くなろう。そう決めた。
優しくなろう。そう決めた。
二人で虹を見てから__幾つかの季節が過ぎ去った。
「つくしぃーー」
「はぁーい」
我が儘王子がつくしを呼んでいる。
類のお部屋に泊まった翌朝は、目覚めた瞬間……つくしがいないと哀しくなると臆面もなく豪語する我が儘王子が。
類が自分の感情を包み隠さなくなったのは、いつからだろう?
つくしとの未来を紡ぎ出すために人の倍働き出したのは、いつからだろう?
類から一番遠い所にある処世術やらとを身に纏い、笑顔の貴公子と呼ばれているから驚きだ。
「つくしーーー」
あっ、そろそろいかないとご機嫌が悪くなるのをつくしは良く知っている。
ほらっ、唇がヘの字になっている。
柔らかな髪の毛をくしゃりと撫でながら額に口づけを一つ落とせば__ふにゃりと笑う。
「おはよう」
つくしがビー玉色の瞳を覗き込む。
ギュゥッと類がつくし抱き締めて唇を差し出している。
ズルイくらいに美しい瞳でつくしを見つめながら
類の柔らかい唇とつくしの唇が合わせる。
もぞもぞっと手が動く__
「ダメダメ、今日はダメ……」
溜め息が零れる前に、慌ててスルリと腕の中からすり抜ける。
「__意地悪」
類がイジイジしながら唇を尖らせる。
可愛いくってたまらない。そんな気持ちに蓋をして
「類、あとでね。上手く契約出来たら2日間お休みだからねっ」
ニッコリとつくしが笑えば渋々と起き出してシャワーを浴びにいく。
スーツに身を包んだ類は、どこから見ても非の打ち所がなくて……つくしのハートをキュンキュンさせる。
今のつくし、後でねなんて言った自分をちょっぴり後悔してる。
不意に類の唇がつくしの耳朶を食む。
「うっ……」
不意打ちの攻撃に声が出る。
「つくし、あとでね」
類が嬉しそうにニヤリと笑って玄関を開ける。
外に出れば真っ青な秋空が広がっている。
「「ずっと一緒に同じ空を見たいね」」
二人で同時に呟いて目を合わせクスクスと笑い合った。
手を繋ぎ青空に二人揃って踏み出した。
fin


♥ありがとうございます。とっても嬉しいです♥ 空色さまに♪
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