Moon Moon Moon 教えてムーン
美作さんは、優しさで満ち溢れている。
ちょっと悔しいのは、あたしだけが特別じゃないってこと。
美作さんは、皆に優しい。
いつも__花の香りを漂わせてる。
いつも__一寸の隙もない。
いつも__穏やで気配り上手だ。
茶色に透けたサラサラの髪。シミひとつないスベスベした肌。高い鼻、憂いをおびた瞳、微笑んだ口許。
外見だけだって超絶イケテルのに、仕事も出来る。憎らしい程に完璧過ぎる__
それなのに
俺、地味だからさぁーーなんて嫌味ったらしいたらありゃしない。
美作さんが地味だったら、あたしなんてどうなるって言うんだ。はぁっーーだっつぅの
だからあたしは、三日月に向かって吠える
「バカ野郎―――――」
へへんっ どうだ 参ったか!
に、してもあたしも大概ウジウジだなぁーー
「はぁっーー」
大きな大きな溜め息を吐く。
Moon Moon Moon 教えてムーン......美作さんの好きな人は誰ですか?
「それは、牧野つくしちゃん です」
声色を変え呟いて、クスッと笑う。
ヨシっ!いいぞつくし。
いい感じにテンション上がってきたぞ。
三日月を相手にステップを踏む。
アン・ドゥ・トロワ
アン・ドゥ・トロワ
美作さんを思い浮かべながらステップを踏み、クルリとターンする。
パチ パチ パチ
拍手の音がして、後ろを振り返れば右近さんがあたしに拍手してる。
「つくしちゃん、上手やなぁー 次はワシと踊ってぇなぁ」
ニコッと微笑んでくる。
「あははっ__お恥ずかしい」
二人でベンチに座ってお喋りをする。右近さんは、あたしの寂しい心に寄り添ってくれて……色々な話しを聞いて貰った。中々話す事が出来ない話しをしたせいであたしは、舞い上がっていた。
* ****
「ふぅっーー」
トラブル処理でやっと一息吐けたのは、時計の針が8時を指す頃だった。
幾度、コールをならしても出やしない。
牧野のスマホ……いざって言う時役に立たないなぁーなんて思いつつ、屋上に向った。
ガチャリッ
扉を開ければ、牧野と右近の楽し気な声がする。
なんで右近と?
後ろから近づけば、仲睦まじ気に寄り添いながら頬を赤らめてやがる。
右近の手が牧野の髪の毛に触れそうになって
「__牧野」
険のある声を出し牧野の腕を引き寄せていた。
「み、み、美作さん__」
__自分でも驚くほどに尖った声と嫉妬心丸出しの行動に……自分を恥じた。
右近がクスクスと笑いながら
「__なっ、つくしちゃん、言った通りやったろ。 ワシの当たりやな。クククッ ほななっ。また月曜日な」
片手を挙げて去っていく。
ギー バタンッ
扉がしまって2人残される。
「言った通りって何?」
そう聞けば__
「あっ、見て見て、お月様__あっ、見て見て星、星、星も出てるよ」
目を泳がせながら饒舌に話し出す。
「牧野、話しを逸らさないで説明しろよ」
「えっ、えっ、えっ、えっ__」
「えっじゃなくて……ちゃんと説明してくれないかな?」
俺の腕の中で左耳を弄り出す。どうしていいか解らなくなった時に出る癖。
「5.4、3、2」
「言う。言うから__それなし、なし」
「で……?」
「あのね__階段から美作さんの足音が聞こえて来てね……そしたらね____」
「そしたら?」
「右近さんがね、ちょっと身体近づけてご覧って」
「近づかれて赤くなったって事?っていうか、牧野が近づいたって事?」
慌てた顔して首を振り
「違うの__」
「何が違うの?」
「美作さんが、美作さんが……慌てふためくよって__右近さんが揶揄ってきて__そんな事ないって言ったら」
「言ったら?」
「あたし男の人と話してる時美作さんがメラメラ見てるって……右近さんの気のせいだっていったら、じゃ試してみようってなって__」
ったく、情けない。全部隠してた筈なのに__右近如きにバレていたとは__はぁっーーそりゃそうか……アイツつくしに惚れてんだもんな。
強くつくしを抱き締めた。
「み、み、み、美作さ__ん?」
「右近の当りだよ。ごめん俺、恥ずかしいくら牧野に惚れてる」
「__すんっ」
えっ?
牧野の目が真っ赤になってる。
「ま、ま、牧野?」
「ホントに?ホントに?」
「あぁ、すげぇ惚れてる」
「クッスン__すんっ__ェーん……嬉しぃ」
俺の胸の中で泣きじゃくる牧野を抱き締めていた。強く、優しく___沢山の愛を込めて
泣き止んだら、もう勘弁って言うくらい__牧野に愛してるて言おう。
勇気を出して愛してるって言おう。
fin

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