明日咲く花

花より男子の2次小説になります。

No.011 ペットショップ by komaさま

Special Thanks  
 とりあえず…まぁ。 komaさま

やさしくふんわり♪ 
 キュンッキュン♪と

あなたと運命の恋におちよう






それは本当に偶然だった。
移動中の車の中からふと外に視線を移した。

そこにあいつがいた。
それが、あいつとの運命の出会いだった。 


〜ペットショップ〜


とても儲かってるようには見えない小さな店。
本来ならオレが立ちよる筈もないその店。

「いらっしゃいませー」
店に入ると同時に鼻をつく独特のにおいと
いつもの明るい声が聞こえてくる。

「あ、道明寺さん。いらっしゃい」
棚の奥からひょこっと顔を出してニコッと笑うあいつ。



あの日。
店の外に出ていたこいつを車の中から見たオレは一目で恋に落ちた。

一目惚れなんて初めてだ。
名前も年も…もしかしたら結婚だってしてるかもしれない。
あいつの事なんて何も知らないのに欲しくてしょうがなかった。


でもあいつが働いてる店は
オレにとって人生で最も縁がないと思ってた店。
よりにもよってペットショップだった。

それもあの店はオレが特に苦手な犬を専門に扱う。

「……」
とりあえず店の前に来てみたものの
中からは仔犬の鳴き声も小さく漏れていて
扉にかけようとしていた手が空中で止まる。

怯むなオレ!愛の力を持ってすれば犬なんか…っ!

そう決意したと同時に扉が中から開いて
「お客さんですか?どうぞ中へ!」
そう言いながら笑顔で出てきたのはオレの運命の女。

胸元には名札がついていて
「牧野…」
と、思わずそのまま口にしてしまう。

そんなオレに一瞬ポカンとした表情を浮かべながらも
自分の名札をチラッと見てあぁ、と納得したのか、
「はい。牧野です」
とクスクス笑う。

……やべぇ。可愛すぎる。

牧野に促されるまま店内に入る。
「今日は何をお探しですか?」
「いや…。悪いが客じゃねぇんだ」

そう答えたオレの言葉に首をかしげると
「そうなんですか?じゃあご用件は…」
お前に会いたくて来た…なんて言えず
「い、犬を少し見たくて…」
そう意味不明な答えを返してしまった。

だけど牧野は思い当ったように手をポンと叩いて
「あぁ、なるほど。
 お家がペット禁止なんですね?
 飼えなくても見るだけでも癒されますもんね~
 うちのアパートもそうなんで気持ちわかります。
 どうぞどうぞ。ゆっくり見て行って下さい」
そう言いながらオレを奥のスペースに連れて行く。

そこには入口側のフードなんかを置いてる売場は
人1人通るのがやっとなくらい狭いのに
店内の半分以上のスペースがここに使われていて
中では数匹の犬が自由に遊びまわっていた。

「…こいつらをケージに入れれば
 もう少しあっちも広くなるんじゃねぇのか?」
オレが聞くと
「そうなんですけどねぇ…
 オーナーがすごく優しい方で
 狭い場所に閉じ込めるのは可哀そうだと…。
 それにこの時期に他のワンコと触れ合うのは
 精神的な成長にもとても大事なんですよ?」
と愛おしそうに犬たちを眺めながら話す牧野。

__その眼差しをオレにも向けてくれないか?

「あ、抱っこしてみます?」
突然そう言うと、近くにいた仔犬を拾い上げてオレに差し出す。

……思わず息を飲む。
突如投げかけられた試練。愛の力で行けるか?オレ。

躊躇っていると牧野が不思議そうに首をかしげる。

このままでは怪しまれる、と
とりあえず抱っこされてる犬を撫でてみるか、と手を出す。

すると
「…てッ!」
犬はオレの指をカプッと噛みやがった。

「きゃあ!ごめんなさい!!」
牧野は慌てて犬を降ろすとオレの手を取って
噛まれた指を心配そうにチェックする。

その柔らかくて小さな手の感触に
思わず引き寄せて抱きしめたくなる衝動を必死に抑える。

「血は出てないけど痛かったですよね…
 普段はこんな事しない子なのに…ほんとにごめんなさい」
しょぼんと落ち込んだような顔をする牧野。

「…気にするな。
 オレの体がデカいからか嫌われやすいだけだ。
 こいつらだって感情はある。気に入らなければ噛むだろ?
 それに仔犬の力なんてたかが知れてる。こんなの痛くねぇよ」

牧野が抱っこしてる犬じゃなければ許さねぇとこだったが
今はなにより牧野の落ち込んだ顔なんて見たくない。

「お客さん…優しいんですね」
とホッとしたように笑う顔。

オレはその顔をずっと見ていたい。



その思いのままに時間が出来る度に
こうして牧野に会いに来る。

牧野は結婚はおろか、恋人だっていない事は聞き出したものの
なかなか店員と客の関係から抜け出せないでいる。

「あ、この子新入りなんですよー」
そう言って仔犬をオレに見せるが
相変わらず犬に嫌われてる(って事にしてる)から抱っこは回避。

「いい家族が見つかるといいねぇ」
なんて牧野は仔犬に言ってるが
オレがお前をどうやったら家族に出来るか考えてるなんて
きっと思ってねぇんだろうな…。






お店のドアが開くと
ワンコ達が騒ぎ出すから来客がわかる。

ワンコたちの声に負けぬように
「いらっしゃいませー」とあたしは声を出す。


入口の方を覗いてお客さんを確認すると
最近よく顔を出す常連のイケメンさん。
「あ、道明寺さん。いらっしゃい」
あたしが声をかけるとフッと笑う顔。

家で犬を飼えない道明寺さんは
お仕事の合間にワンコたちを見に来る。

だけど抱っこはしない。

体が大きいから嫌われるんだって。
うんうん。たまにいるよね。
動物好きなのに動物に好かれない人。

身長はすごく高いし、程よく筋肉がついて引き締まった体は
確かにあたしから見ても大きい。
それが仔犬の目線ともなれば怖いのかもしれない。

だけど…噛まれても怒らず許してくれる優しい人だよ?

それがこの子たちにも伝われば
抱っこも出来るようになるのに…もったいない。

そして道明寺さんは着てるスーツからして
そうじゃないかとは思ったけれどお金持ちだ。

お店に来るとまずレジ横に置いてる
保護犬の活動資金のための募金箱に万札を入れる。

おつりを入れたり、ほんの時々お札を入れる人もいるけど
万札をそう何度も入れる人なんて見た事がない。

そして今日も当たり前のように彼は募金をしている。

「いつもありがとうございます。
 でも毎回じゃなくても大丈夫ですよ?
 買い物しないなら帰れなんてうちの店は言いませんから」
お店に来てくれる頻度があがってるだけに申し訳なくなる。

「いいんだよ。オレがしたくてしてんだ。
 実際に飼ったらもっと色々とかかるんだろ?
 それに比べりゃこれくらい安いモンだ。気にすんな」
とクスッと笑う顔が優しくて

ドキリと心臓が跳ねた。

「あ、この子新入りなんですよー」
話題を変えようと、今日店頭デビューしたばかりの子を抱っこする。

「いい家族が見つかるといいねぇ」
と仔犬に語りかけながら

チラッと道明寺さんを見て
あたしにもいつか素敵な家族が出来たらな…なんて。

そう思ってすぐに
バカな事を考えるなと首を振る。

道明寺さんは指輪こそしてないけど
家庭がある人なんじゃないかと思う。

だって、こんなお金持ちなのに
ペット不可のマンションを引っ越しもせず住み続けるのも変だし。
きっと奥さんとかが動物苦手なんじゃないかな。
優しいから無理を通してまで飼えないんだろうなぁ…。

それからしばらくして
「また来る…」
と道明寺さん。

「あ、道明寺さんお子さんっていたりします?
 いつも募金してもらってばかりなので、
 景品で申し訳ないんですけど、よかったらこれ…」
そう言って景品用のグッズのカゴを取り出すと

「…結婚もしてねぇのにガキなんていたらやべぇだろ」
と面白そうに笑う。
「え?独身なんですか??」
「既婚者だなんて言った覚えはねぇぞ?」
「だ、だって!だったらどうして
 ペットOKのお家に引っ越さないんですか?
 お店に通うほど犬好きなのに…。だからあたし…」
首をひねりながら考え込んでいると

「あー…悪ぃ」
とバツが悪そうに視線をそらす。
「?」
「本当は犬苦手なんだ」
「へっ!?」
「ここに通ってた目的は犬じゃねぇ」
そう言って1つ息をつくと
あたしの方をまっすぐ見て

「お前に会いたくて通ってたんだ」
甘い顔でそう言った。


~ fin ~


恋の始まりは突然やってくる

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14 Comments

koma  

kachiさま

苦手なワンちゃんに近づいてでも
つくしちゃんに会いたい坊っちゃん( *´艸`)
楽しんで頂けたようで嬉しいです♪

おかわり要望もありがとうございます(^^)
連載の方のストックと相談しながら
近いうちにアップできれば…なんて思ってますので
ぜひぜひまたお付き合いくださいませ♪

2016/11/22 (Tue) 06:51 | EDIT | REPLY |   

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2016/11/21 (Mon) 21:51 | EDIT | REPLY |   

koma  

*みなさまへ*

この度はお話を読んで頂きありがとうございます。

拙いお話でお恥ずかしい限りですが
心お優しいasuhana様に付け込んで(笑)
強引に参加させて頂きました♪

まだまだ100話への道のりは遠いです。
書き手の端くれとしては10話ではヒーヒー言いそうなのに
あと89話っ!!

厳しい道のりにasuhana様の心が折れてしまわぬよう
最後まで熱い応援をしていきましょう~o(-`д´- o)ファイトォ!!


ではではっ。
この度は素敵な機会を頂きありがとうございました(*^^*)

2016/11/21 (Mon) 18:15 | EDIT | REPLY |   

koma  

HNさま

いつも拍手コメありがとうございます♪

つくしのために頑張る坊っちゃん好きですか?
じゃあ続編は抱っこに挑戦してもらおうかな~(笑)

え?ちびつかつくにもゾッコン?
じゃあクリスマスあたりに短編書こうかな~(笑)

嬉しいお言葉をたくさん頂いて有頂天です(((*≧艸≦)

2016/11/21 (Mon) 18:08 | EDIT | REPLY |   

koma  

hinamamaさま

きゅんきゅんして頂けて嬉しいです(*^^*)

拙いお話でしたが
楽しんで頂けたようでホッと致しました (*´∀`*)
読んで頂きありがとうございます♪

2016/11/21 (Mon) 18:03 | EDIT | REPLY |   

koma  

さとぴょんさま

はじめまして♪

買う物もする事もない司が
お店の中で出来る事と言えば募金くらいかな~っと(笑)
ついでにイメージアップにも繋がって一石二鳥(笑)?

うふふっ♪
ふにゃっ。頂きました( ´∀`)b

お話を読んで頂きありがとうございます(*^^*)

2016/11/21 (Mon) 18:00 | EDIT | REPLY |   

koma  

yukikoさま

坊っちゃんの一目惚れ。
まさに道明寺語録で言う所の
「オレ、今雷が落雷した」状態なワケです(笑)

そうですそうです。
犬を見に来たって言いながらつくしちゃんが
犬見てて気づかないのをいい事にガン見してたと思います(*´ゝ艸・`)

そんな司のラブ光線がまったく効かないのもまたつくしで…(笑)

拙いお話でしたが楽しんで頂けて嬉しいです。
ありがとうございます(*^^*)

2016/11/21 (Mon) 17:52 | EDIT | REPLY |   

koma  

悠香さま

つくしちゃんを守る小さなナイトには
下心で近づいてきた坊っちゃんは
やっぱり怪しく見えたんでしょうかね( *´艸`)?

2016/11/21 (Mon) 17:44 | EDIT | REPLY |   

asuhana  

みわちゃんさま

ありがとうございます。
今回のお話みたいに
私以外のSSもお楽しみ頂けるかと♪

SS100 ハピエンなのでどうぞお楽しみ下さいね。
えへへっ

2016/11/21 (Mon) 16:48 | EDIT | REPLY |   

asuhana  

コメントしかと承りました!

悠香さま yukikoさま さとぴょんさま hinamamaさま HNさま

コメントしかと承りました。
koma 様には きちんとお渡しさせて頂きます

2016/11/21 (Mon) 16:46 | EDIT | REPLY |   

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2016/11/21 (Mon) 14:42 | EDIT | REPLY |   

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2016/11/21 (Mon) 10:43 | EDIT | REPLY |   

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2016/11/21 (Mon) 09:09 | EDIT | REPLY |   

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2016/11/21 (Mon) 07:02 | EDIT | REPLY |   

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