お仕置きな 前編 ~あきつくコラボ~

あきつくコラボ♪
決め台詞は
『黙って俺の前から勝手にいなくなったお仕置きな』
あおいろさま いなくなったお仕置きな
「あきらさん」
突然、そう突然……女に抱きつかれた。
ダイナマイトボディで色香漂う……お色気ムンムンの林田物産の娘だっけ?それが何故ここにいる?いや、冷静に判断してる場合じゃないと突き放そうとした瞬間___
ガチャッ ドアが開いて
「美作さん、お待たせしちゃっ……」
俺と女が抱き合ってるのを見た後、大きな瞳を揺らしながら後退りして
「ご、ご、ごめんなさい__」
バタンッ
部屋を出て行った。
慌てて女を押しやって牧野を追い掛けようとしたのに……
ガシッと腕を掴まれる。
可愛い顔しながら力が強くて、ガシッと掴んで離してくれない。
「ごめん_林田さん、離してくれるかな?」
「嫌ですわ」
ガシッと掴む彼女を無理矢理に引き離して牧野を追い掛けた時には、もう時既に遅しで......どこをどう探しても見つからない。スマホを何度も鳴らしても出ない。
翌日から、弁解しようにも話しかけるなオーラーを放出させている。連絡を取ろうにも電話にも出ない。メールの返信も……いや、ラインの既読すらつかない。完全無視の状態だ。
二人きりになるシュチエーションは勿論避けられて……俺が近づくだけでスッーと消える。
長期の出張に出る前に、どうしても誤解を解きたくて態と牧野に回るように残業を押し付けた。
で___さっきから続く無言の時間。
牧野……そう声をかけるのさえ躊躇わせるピーーンと張りつめた時間。
だけど躊躇っていたら前に進めない。
「あのさ、牧野」
「あの、美作さん」
言葉が重なり合ってお先にどうぞと譲り合った後
「林田物産のお嬢様とご婚約なさるようで……おめでとうございます」
牧野には似合わないアルカイックスマイルとやらで美しく微笑む。
おめでとう? ははっ、そうかぁ……牧野にとっては俺が林田さんと婚約するのは目出たい事なんだと悲しくなる。美作に牧野が入社して3年……なんとなくいい雰囲気が出来上がったって気になってたのは俺だけだったんだ。今も昔も完全なる俺だけの一方通行の思い。
わかってた、わかってた筈なのに悲しい気分でいっぱいになり
「……ははっ」
思わず笑いが零れていた。
「では、これで失礼致します」
そう言って完璧に仕上げた書類を俺に手渡し会釈しながら去って行く。
____想っても想っても伝わらない牧野への想いを抱えて俺は空を見つめた。
「ハァッーーー俺じゃ役不足ってことか……」
ハハッハハッ 乾いた笑いが後から後から出て来る。
パチンッ パチンッ
人差し指で親指を弾く。
パチンッ パチンッ
何度も何度も爪を弾く。
パチンッ パチンッ
爪を弾く音だけが部屋の中を谺する。
傷心で旅立った3ヶ月の長期出張__牧野への想いは募るばかりだった。
連絡を取ろうにも時差もあり思う様にとれない。いざ電話をかけても、コール音がむなしきな鳴り響くだけで、牧野の声を聞く事は出来ない。ただ黙々と仕事をこなし一日でも早く日本に帰る事に専念した。
日本に戻ったらアイツの顔を見て正々堂々と当たって砕けようと。
どうせ終止符を打つのなら___粉々に砕けよう。そう決心した。
* ****
いつもなら誰よりも早く会社に来てる牧野。その姿が見当たらない。
「牧野は?」
同僚の峰岸に聞けば
「あぁ、家の事情とかなんとかで今月の始めに辞めたぞ」
「……えっ?」
当たって砕ける前に俺の前からスルリと消えた愛しい女。探しても探しても消息が掴めない……
その日からヘトヘトに疲れるまで眠れなくなった。フラフラする身体と頭でミスをして……
「美作君、ちょっといいかな?」
帰り際、神野女史に呼ばれ酒を酌み交わす。眠れない身体に一気に酔いが回って来る。
「人の恋愛の事に口出すのもどうかと思ってたんだけど……あなたと牧野ってどうなってたの?」
どうなってた?どうもこうもない……告白すらさせてもらえずに俺は残された。
自嘲的な笑いと共に
「見事に玉砕ですよ」
神野女史が怪訝な顔をしながら眉間を人差し指でグルグルとまわしながら
「あのさぁ、誰が誰に玉砕?」
「ははっ、決まってるじゃないですか__俺が牧野にですよ」
暫しの沈黙が訪れたあと
「…………うーーん美作君さぁ、ぶっちゃけ聞くけど林田物産のご令嬢とはどうなってるの?」
今度は俺が眉を顰める番だ。どうなってるもなにも___
「林田物産?どうなるも何もありませんよ__勝手に後を付け回してきたんですから。それに、彼女婚約が決まったようですよ」
それを聞いた神野女史がうんうんと二つ三つ心持ち嬉しそうに頷いたあと
「はい」
そう言って小さなメモを手渡してくれた。
二つに折り畳まれたメモを見る。
京都の住所が書かれている。
「これは?」
「牧野の新しい勤め先と今住んでるところ__あのさぁ、牧野も同じ気持ちだよ」
一気に酔いが覚めていく。神野女史に深々とお辞儀をして店を出る。
目の片隅に、嬉し気に微笑みながら顔の横で手を振る神野女史の姿が見えた。
*後編もアップされてます♪


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