No.026 生まれたて by空色さま
空色の時間 空色さま
毎日毎日恋が出来てるって
きっと幸せなこと
ニコッと笑って進んじゃおう
ポン
初めて、瞳と瞳が合った時。
身体の何処かが、擽ったかった。
ポン
初めて隣に座った時。
心臓の近くが、ピクッ。ってなった。
ポポン
初めて肩が触れた時。
心臓が肩に、移動したかと思った。
ポポポン
初めて手を繋いだ時。
心臓がもう一つ、増えた気がした。
「るーいー、花沢 類」
ほら、そんな風に呼ばれる度に擽ったくて、嬉しくて、何だか……ドキドキする。
毎日毎日、生まれたてのひよこを連れて歩いてるみたいだ。
あんたと居ると、色んな生まれたてを知る事が出来る。
世の中の沢山ある彩りを観る事が出来る。
ごめんね。と、ありがとう。が薄い境界線だった頃、生まれたての気持ちをもて余した事が何度もあったんだよ。
その二つの言葉に、大好き。なんて新しい言葉が増えた現在(いま)でも、
生まれたてのひよこを連れて歩く感覚は、
無くならない。
二人で歩く散歩道も、二人で見上げる青い空も星空も、
「ねえねえ、今月の満月は今年一番大きい満月なんだってっ!知ってた?」
満月の大きさが毎月違うのを教えてくれたのも、
「ねえ、花沢 類。綺麗な空だね、ヴィーナスベルトって、言うらしいよ。」
大気が澄んでいる寒い時期に多く観られるらしいヴィーナスベルト。
日の出直前と日の入り直後、太陽の反対側の地平線、水平線付近がピンク色に染まる。
こんな寒い季節に空なんて見上げた事無かったもん。
そんな綺麗な空が在ることも、
教えてくれたのは、全部あんただよ。
「ねえねえ、類。ここのケーキ屋さんの期間限定商品だってっ!美味しそうー」
「……うーん、どれが良いかなぁ?」
「どれ?四つ買っちゃえば?」
「えー、じゃあじゃあ、二つ買って半分こね」
ほらね。
楽しいも、嬉しいも、幸せも、
あんたが居るから、生まれて来る。
「きゃぁー、ワンコ可愛いぃ」
初めて会った散歩中のワンコの名前を聞き出し、
「ハンサムくんですねー」
なんて言って、
あっ!と言う間に仲良しになって、落ち葉まみれでワンコとじゃれてる。
可愛いも、いとおしいも、
全部、あんたが居てくれるからだよ。
次々と生まれて来る、
あったかくて、柔らかくて、擽ったい気持ち達を大切に抱きしめよう。
「ねえ、牧野。宜しくね」
「…?……うん?どうしたの?」
「うーん、何となく?」
「えーー、変な、類」
「宜しくね。は、あたしの方だよ」
「「宜しくね」」
あんたの手と俺の手を繋いで、歩いて行こうね。
生まれたてのひよこを沢山連れて、
歩いて行こうね。
明日も、明後日も、
おじいちゃんとおばあちゃんになっても、
歩いて行こうね。
ね、牧野。
フルカラーの人生を宜しくっ!!
…………………………by空色
一緒にいれば全てが幸せに変わっていくそんな恋したいよね


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