No.020 夢かもしれない あきつく
「つ”くじぜんぱーい__データークラッシュしちゃいましたーー」
怖い事を言い出す由加里ちゃん
「牧野先輩、戸田物産からクレームあったんすけど、どうしたらいいっすか?」
舐めた口聞きながらふざけた事を抜かす松下君
二つ続けてトラブル発生?と目の前が真っ暗になる。ブルンと首を一振りしてから気持ちを入れ替えて
「OK OK 由加里ちゃんはもう一度入力して、松下君は由加里ちゃんを手伝ってあげて」
指示を出したあと戸田物産に謝罪の電話をしてアポを取った。
クレーム処理と資料作成……てんやわんやの一日で__気が付いた時にはすっかり真っ暗闇だ。
「ふぅっーーーー」
本来なら大口契約が決まったお祝いに開催される部署全体の飲み会に参加する筈だった。美作先輩も出る飲み会__つくしだけじゃなくあきら目当ての女性軍は朝から色めき立っていた。なのに突然のアクシデント__思わず溜め息が出る。
いつもなら遠慮なく仕事を頼む同期の広瀬君と美香先輩は幹事で頼めなくて、町田さんと外村君とノリちゃんは外回りで直接会場乗り込み。___当の本人達も時間が来たらさっさと出掛けて行った
「ふぅっーー」
コキコキと首を回した後、デスクからチョコを取り出し口の中に放りこんだ。
甘さが口の中に広がって少し元気になる。
「うんっ! あと一息、頑張れあたし。ここ乗り越えれば明日は休みだー」
ガチャッ ドアが開く。
っん?誰?と思って後ろを振り向けば____
「えっ?なんで__美作先輩?__今日飲み会ですよ?」
「あぁ、そうみたいだな。はい差し入れ」
つくしにサンドウィッチとスープの入った袋を手渡しながら
「半分やるから貸してみな」
「あっ、でも__美作先輩の事、皆さんお待ちかねだとおもいますよ」
「どうせ、もう終わる時間だろう?それよかこれやっつけちゃおうぜ」
ニッコリ笑う。
トントン パチリッ 全ての資料を整え終えて時計を見上げれば10時を指している。
「美作先輩……ありがとございます。助かりました」
つくしが礼を述べれば、
「じゃぁさ、一杯付き合ってよ」
優しく笑いながらバーに誘われて____夜景を眺めてる。
2杯目のミモザを飲みながら___いい感じに酔って来る。
夢見たいに幸せで、あぁ、夢かもなんて思いながらホッペを抓る。
あんまり痛くなくて......やっぱり夢かとシュンとなれば
「なぁ、何してんの?」
「いやっ、夢かなってホッペ抓ってみたんですよ」
「で?夢じゃなかったろ?」
あんまり痛くないからやっぱり夢なんだと思ったと力説すれば、呆れた顔しながらクスッと笑ってチョンと鼻の頭を突っついた。
「なぁ、あれってお前の仕事じゃなかったろ?」
「…………なんでですか?」
「広瀬達がメールくれた」
「広瀬君が美作先輩に?なんでですか?それに達って?」
「うんっ?広瀬は俺に恩があるからねっ。あっ、達っていうのは__牧野の同期の奴らとか町田や外村とか、まぁその他大勢の俺を応援してくれてる奴ら」
分けの解らない答えが返ってきて、それが自分の残業と何の関係があるのか暫し考える。
「__意味わかんないんですけど?」
そう言葉を返せば……肩を震わせて
「意味わかんないか。俺、結構モーションかけた筈なんだけどな」
あぁーやっぱり都合のよい夢だったんだと思いながら
「じゃぁ、両思いですね」
笑みを返しながら3杯目のカクテルを飲み干した。
そこから先の記憶はなくて、あるのは、明るい陽射しを浴びて目が覚めた瞬間から__
「おはよう」
えっ?えっ?えっ?驚いて目の前の人を見れば
「うんっ?両思いの相手」
笑いながら言って来る。
その言葉を聞いた瞬間……パチッ パチ パチとパズルが嵌って、耳まで真っ赤になってから
「___夢じゃなかったって事ですか?」
「あぁ」
目から覚めたら……夢のような幸せと
優しいキスが待っていた。
起きたら、愛が恋が待っていた


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