ずっとずっと 58
獰猛な黒豹のように、美しい男
この男が ドウミョウジ ツカサ つくしの愛する男。
そしてつくしを捨てた男。
僕はこの男に感謝しよう。
つくしを手放してくれてありがとうと。
そして誓おう‥…
決して君には渡さないと。
道明寺と一緒に居たボズウェル会長が、挨拶をしてくる。
「本日はお越し頂き大変有り難うございます。」
「いえいえ。こちらこそお招きに預かりまして、大変ありがとうございます。そちらの方がグレンダのお相手ですか?」
「えぇ。司君、薫さんにご挨拶を‥…」
「あっ、はい。道明寺司と申します。本日は大変ありがとうございます。」
「宝珠薫と申します。この度はご婚約大変おめでとうございます。」
***
LUCYの若き後継者として噂される宝珠薫。
なるほどいい男だ。男でも惚れ惚れする容姿。
だが、それよりも何よりも、優しげな容姿と相反するこの威圧感‥…
一筋縄ではいかない雰囲気を漂わせる。
何としてでもこの男と近づき、俺は道明寺財閥を立て直す。
つくしを再び俺の手に入れるために‥…
「おぉー 薫こんな所におったか‥… おぉこれはこれは。ボズウェル会長じゃないか。」
「筒井会長、お久しぶりでございます。本日は大変有り難うございます。今、丁度薫さんとご挨拶させて頂いておりました所で‥…」
「そうか、そうか、」
「司君、ジュエルグループの筒井会長だよ。ご挨拶したまえ」
俺は慌てて
「大変失礼致しました。この度はジュエルグループから資本提携を頂きまして誠に有り難うございます。道明寺司と申します。本日はお忙しい中、お越し頂きありがとうございます。」
「いやいや、構わん構わん。ほんの婚約祝いじゃよ。 儂は筒井栄じゃ。よろしゅうな。」
大きく笑う男……笑っているのにも関わらず、背中に汗が流れる。
人をひれ伏せさせる圧倒的な威圧感をもつ、目の前の男‥…
中々、表舞台に出てこないと言われ、顔さえ、あまり知られていない筒井会長。
世界経済に絶対的に力をもつと言われる男……
この男がジュエルの会長筒井栄だったのか‥…
「薫、薫はもう挨拶はしたのか?」
「あっ、はい。お爺様 たったいまボズウェル会長にご紹介頂きまして、ご挨拶させて頂きました。」
目の前の美しい男が、ジュエルの会長をお爺様と呼んでいる。
LUCYの御曹司ではなかったのか?
怪訝な顔をする俺に‥‥
「はははっ、世間にはまだ公表していないが、薫は儂の孫でもあるんじゃよ。これからはジュエルとLUCY一つに纏めていってくれるらしんでな。道明寺君も宜しゅう頼むよ。」
「左様でございましたか。して、いつご発表でいらっしゃいますか?」
ボズウェルの親父が筒井会長に、質問をしている‥…
その時、一瞬そう一瞬するどい視線を感じ、前を向く。柔和な笑みを浮かべる宝珠薫と目があう。
「あははっ、孫の婚約発表の席で併せて発表しようかと考えておるんじゃ。その際にはボズウェル君も司君も一緒に祝ってやってくれまいか?」
「喜んで出席させて頂きます。」
「ぜひ、宜しくお願い致します。」
「有り難うございます。どうぞ宜しくお願い致しますね。……とは言ってもまだ彼女にはYESの返事を貰ってないんですけどね。」
「薫さんのプロポーズをお断りするお嬢さんなんて世の中にいらっしゃらいのではないですか?」
「そうだといいんですが‥…是非、僕のプロポーズの成功をボズウェル会長も司さんも祈っていて下さい。」
「勿論ですとも。なぁ司君」
「はい。是非嬉しいご報告をお待ち申し上げております。」
宝珠薫、LUCYの後継者にして ジュエルの後継者でもある美しい男。
この男を利用して、俺はつくしを取り戻す。
「ハーイ、薫」
「ハイ ノア、ジョアン」
ジョアン・リックマンと、ノア・エバンズ 両名に連れられてあきらが来る。
「よっ、司。」
「あぁ‥…来てたのか。」
「薫、彼は美作商事の美作あきら君だよ。合同プロジェクトの一員なんだ。これから宜しく頼むよ。」
「へぇ、こないだ言ってた面白そうなプロジェクトかい?」
「そうだよ。」
「美作さん、宝珠薫です。どうぞよろしくお願い致します。」
「美作あきらです。こちらこそどうぞ宜しくお願い致します。」
花沢親子と共に男が一人やってくる。
「薫、それにノア君に、ジョアン君じゃないか」
「これはこれは、宝珠様。本日は大変ありがとうございます。司君LUCYの宝珠棗会長だ。ご挨拶なさい。」
「道明寺司と申します。本日は大変ありがとうございます。」
「いやいや、盛大な婚約パーティーにお呼び頂いてありがとう。婚約おめでとう。」
「ありがとうございます。」
「ノア君 そちらの方はどなたかな?」
「これは大変失礼致しました。私、美作商事の美作あきらと申します。」
「あぁー、3社合同プロジェクトの確か一員だったかね?あの企画は中々面白いものになりそうだね」
「有り難うございます。お褒め頂き大変光栄です。」
「うーん、そうだ、ノア、ジョアン、そのプロジェクトもう少し大きなものにしてみないかい?」
楽しい事を思い付いた子供のような笑顔で、こともなげに言う……
「はいっ?」
「LUCYと、KAGURA、それにそうだ司君、類君、きみ等も参加してみないかい?」
「それはとても大きなプロジェクトになりそうですけど。でも宜しいのでしょうか?」
「この前話していた内容なら、OKだよ。LUCYの代表として、うちからは薫を参加させて貰うよ。同じ位の年代の君等で作り上げて貰いたい。司君も類君も良いかな?」
「「喜んでお受け致します。」」
「では後日、部下のものから連絡をさせるよ。」
黙って聞いていたジュエルの会長が
「あははっ、そんな楽しそうな話しなら、儂の所にも声をかけてくれたまえ、資本提携ならいくらでもするぞ。」
思いがけない、大きなプロジェクトが動き出しそうだ。
ごくりっと喉がなる。
これが上手くいけば、道明寺も更なる飛躍が出来る事だろう。
そうなれば……もう一度、もう一度、つくしをこの手に取り戻せると思うと、俺の心は高鳴った。
つくし‥‥もう少しもう少しだ。俺を信じて待っていてくれ。
更新予定、拍手コメント返信は こちら♥をご覧下さい。
↓ランキングのご協力よろしくお願い致します♥

にほんブログ村
♥ありがとうございます。とっても嬉しいです♥