baroque 18
Realize
無意識の中に
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閉じ込めた気持ちが
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少しずつ......零れ出して行く
授業を終えマナーモードにしていたスマホを見れば、薫からメールが入っていて馴染みのサロンに立ち寄るように書かれていた。
サロンでヘアーメイクが施されラッフルレイヤードの膝丈のワンピース用意されたアクセサリーを身に纏う。
「つくし様、大変お似合いでございます」
サロンのオーナーが恭しくつくしに頭を下げる。
全てが整えられた後お茶を読みながら薫を待つ。
ふと顔を上げた瞬間__黒紫色に咲くカラーが目に飛び込んで来た。
凛と咲く黒紫色のカラーは、総二郎を彷彿させて魅入るように見つめていた。
「つくしっ」
自分の名を呼ぶ声に後ろを振り向けば薫がつくしを見ながら微笑んでいる。
羨望の眼差しを向けられながら店を出る。
ネイルの施術を受けていた女が
「ねぇ、あの方達はどなた?」
ネイリストは辺りをキョロキョロと見回したあと小声で
「Lucyの宝珠専務と筒井のお嬢様です」
「へぇー、あらっ あの方がへぇーー うふふっありがとう」
愉快そうに微笑む。
「つくし__会いたかった」
薫が耳許で囁けばつくしの顔は熟れた果実の様に真っ赤になる。
「ククッ、いつまで経ってもつくしは可愛いね」
「もう、からかってばかりなんだもん」
「からかってなんて居ないよ。__あんまりにも可愛くて今直ぐにでも押し倒したいくらいだよ」
「か、か、薫__もうからかわないで」
「からかってなんていないよ。僕はいつでもつくしに欲情中だからね」
つくしを抱き寄せておでこにキスを落としながら
「___白状すると、サロンで見つけたつくしの顔が恋する顔をしていたから嫉妬した」
「えっ?花を見てただけだよ。珍しい色で綺麗だなって」
「__わかってる。遠距離だからかな?時折もの凄く心配になるんだ」
「遠距離って__アメリカに居た人が何言ってるの」
つくしがクシャリと笑えば
「そう….だよね」
「うん。そうだよ……それに前から言ってるようにあたしを好きになる物好きなんて薫くらいだから安心して」
ドクンッ 鼓動が激しくなる__慌てて隠すかの様に
「会食相手の方はどなたなの?」
「あぁ、ゴメン。言ってなかったよね__東雲社長と大河原社長の紹介で道明寺HDの道明寺社長。息子さんが英徳に通ってたって聞いたけど名前とか聞いた事ない?」
つくしは首を傾げながら
「道明寺HDは知ってるけど__ご子息の事は良くわからないかな」
「大学はNYに居るらしいからね__そう言えば滋ちゃんと婚約するとかしないとか__らしいんだよ」
「えっ?滋さんと?滋さんも今NYだったよね?」
*/*/*/*
会食先に着けば東雲会長が嬉しそうにつくしに声を掛けてくる。
「つくしちゃん元気じゃったか?」
「はい。大変ご無沙汰しております」
「道明寺社長は初めてじゃったな」
「はい」
つくしが頷けば
道明寺社長の紹介をした後に
「Lucyの宝珠薫君と婚約者のつくしちゃんじゃ」
「東雲会長__それはまだ」
薫が窘めれば
「おぉ、これは失敬!失敬! 雪乃さん達があまりにも自慢をするもんでな。まだ世間様にはオフレコじゃったな」
内々の婚約は、内々の婚約で済む筈も無く……
宝珠や筒井と関係が深いもの皆に知れ渡っているのだ。
つくしは時折考える。
自分は本当に幸せなのだろうかと
そして慌てて首を振る。
薫を愛しているのだからと
窓からは煌めくイルミネーションンが見えている__


ありがとうございます
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