明日咲く花

花より男子の2次小説になります。

No.061 Blue moment  byたろさ様

Special Thanks lala たろさ様


幸せはひと色じゃない___
 それに気が付かせてくれたのも
それを見せ続けてくれるのも
 あんただけ





どうしても出なくちゃいけなくなった休日出勤。
うんざりしながら仕事を片付け、急いで家へ帰る。
玄関を抜けながらネクタイを緩め、使用人への声掛けもそこそこに、早足で自室へ。
ようやくたどり着いた扉をそっと開けると、そこには美しい一枚の絵が見えた。


窓辺のソファにもたれかかり、右手で膝の上の文庫本を押さえながら、うとうとと微睡んでいる最愛の人。
足音を立てないようにゆっくりと近づくと。
ぱたりと左手が膝から落ちた。
同時に持っていた紙片が床へとすべりおちる。

拾い上げてはっとした。

手作りの栞。
もうセピアに近く色あせたチューリップの花びら。
(これって………)
自然と口元が緩むのが自分でもわかる。

あの頃からずっと、変わらずに愛してきた彼女を………。
今こうしてこの手に抱ける幸せ。

(いや、変わらずに……じゃない。)


――――あのころよりももっとずっと愛してる。


落ちた左手をそっと取れば、以前より少しふっくらとした薬指に鈍く輝く銀色のリング。
刻まれた言葉を心の中で反芻しながら、そっと跪き指先に口づけた。

「あ……類。帰ってたの?ごめんね。寝ちゃってたみたい。」
「ううん。俺こそ起こしてごめん。でもそろそろ日も落ちる頃だから。身体を冷やさないようにしないとね。」

そう言って、すっかり丸みを帯びたおなかに手を添える。

「ふふふ。今日もね、すごく元気だったの。ばんばん蹴られて大変だったんだから。」
「くくくっ、ってことは間違いなく、つくし似だね。」
「あ、ひどい。類。……でも、たしかにそうかも。」

二人顔を見合わせてくすくすと笑うひととき。
そうしてオレンジ色の夕陽が薄く照らすきれいな頬に唇を寄せ、今日も俺はこの場所に戻れた幸せに浸った。

「おかえりなさい、類。待ってた。」

改めて俺を労うやさしい声。

「ただいま、つくし。うちの奥さんはやっぱり今日も誰よりもきれいだ。」
「もうっ!」

朱に染まる目元が愛しくて、その場所にもう一度キスを贈る。
桜色の唇にも。
もう一度。
もう一度。
もう一度………

「んん………。る……い…。」

漏れ出る声も吐息もすべてこの唇に飲み込んで。

「愛してる。」

ただ一言。
彼女のためだけに存在する言葉へと変えた。

瞬間――――

いつの間にか陽が沈みきった空が繰り出す、ただひたすらに青い光に。
俺たち二人は静かに包まれた。

「海の底にいるみたい。」
少し目を瞠り、つくしが窓の外に目を向ける。

「空の中かも。」
その身体を柔く抱きしめ、俺が答える。


「海の底だろうが、空の中だろうが………」

――――二人はいつもずっと一緒だよ。


変わらず艶やかに流れる黒髪に顔を埋め、俺はそっと囁いた。
するとその髪がさらさらと横に触れる。
え?と目を向ければ、つくしが悪戯っぽい目つきで俺を見上げていた。

出会ったころから変わらないそのまなざし。
真っ黒なはずのソレが今日は差し込む光で僅かに青みがかっていて。
吸い込まれるほど深いその色にどきりとする。

――――二人じゃなく、三人。

薄く煙る青い靄(もや)のような光の中で。
でしょ?と問いかける笑顔は、今日も俺の心をぎゅっと強く熱く握り締めて離さない。

――――四人になっても、五人になっても、ずっとね。

痛いほど幸せなこの瞬間を噛みしめ………。
俺はもう一度その愛しい唇に触れた。


何度も。
何度も。
呆れられるほど何度も。
俺は、繰り返しそのぬくもりを追い続ける。
残照の青が夜のしじまに飲み込まれてもなお、止まらない情動。

――――いつまでもどこまでも……

そうしてはじけんばかりにふくらんだ想いを抱え。
俺は、形のいい小さな耳朶へと唇を移した。

ひんやりと白いその場所に、湯水のように溢れ続けるこの想いを灌ぐ。

――――ただ、ずっと……


共に在りたい、と。







Fin


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6 Comments

たろさ  

さとぴょんさま

さとぴょんさま

コメントありがとうございます(´▽`*)
蕩けてもらえて嬉しい~~♥♥

類くんは微睡むつくしちゃんをみて「1枚の絵みたいだ」と思ったけれど、類くんが加わってもやっぱり「1枚の絵みたい」になるはず……なんて思いながら書いていたので、さとぴょんさまのコメント、すっごく嬉しかったです♪

“甘い羽”っていう表現、なんて素敵なんでしょう!!!
まさに類くんのキスそのもの!!!たまりませんっ!!!

こちらこそ幸せな気持ちになれるコメントを頂きありがとうございました☆彡

2017/01/11 (Wed) 15:18 | EDIT | REPLY |   

たろさ  

空色さま&yukikoさま

空色さま

うわーいっ、嬉しいコメントありがとうございます♥
そうそう、類くんにとってはつくしちゃんが傍にいること、それが“幸せのすべて”だと思いますっ!
(すべて、ってところ重要ですよねっ♪)

私もこの時間帯、大好きです。
あの一瞬にしてすべての色が変わるようにさえ思える濃青の時間。
何か魔法にかかったような気持になりますよね^^

あ、でも。
類くんにとってはつくしちゃんの傍に立っているすべての時間が“魔法の時間”かな。うふふ。

こちらこそ素敵なコメントありがとうございました!


―――――


yukikoさま

ひゃあっ、こんな拙いお話なのに喜んでいただけて嬉しいです(≧▽≦)
asuさまのColorfulStoryに寄せて、幸せな二人を描きたくて。
考え悩んでいたときに、たまたま見かけた写真がきっかけでこんなお話が生まれました。
(出産経験のない私があくまでイメージで書いたお話なので、違和感ないことを祈ります)

そっかー。足の形が分かるなんてすごいっ!
類くん、きっとずーーーーーーーっとみてそう。飽きもせず(´▽`*)

こちらこそ、うふふって幸せな気持ちになるコメントをいただきありがとうございました♪


―――――


asuhanaさまへ

拙いお話をこうして載せてくださりありがとうございました。
いよいよ残り1/3ほどになりましたねっ!
まだまだ続く…と思う一方で、え?もうあとそれだけ?と淋しい気もするColorfulStory。
これからも楽しみに読ませていただきます♪

がんばってくださーーーいっ!

2017/01/11 (Wed) 12:11 | EDIT | REPLY |   

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2017/01/11 (Wed) 00:06 | EDIT | REPLY |   

asu  

yukikoさま空色さま

しかとお預かり致しました~(^з^)-☆


そう61話!
ガンバれ私(笑)

2017/01/10 (Tue) 18:32 | EDIT | REPLY |   

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2017/01/10 (Tue) 15:21 | EDIT | REPLY |   

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2017/01/10 (Tue) 10:46 | EDIT | REPLY |   

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