愛してるって言ってみて 総つく
あたしの事さぁー「愛してる」って、言ってみて?
うーーーん。コレじゃダメか‥…
じゃぁこんなのは?
よぉっ、そこのお前さん
あたいに「愛してる」って、言ってみな。
うーーーん コレはもっとダメだ。
昨日からあたしは頭を悩ましている。
どうやったら、あいつにあたしを愛してるって、言わせられるかって。
これはあたしとアイツの戦いだ。
あたしがあいつに「愛してる」って言うか
あいつがあたしに「愛してる」って言うか
うーーーん ガンバレあたし。
さぁ名セリフを考えよぉー
なんて、調子にのってた昨晩。
考え過ぎて寝れなくなって、いい言葉なんて浮かばずに、しっかり残った目の下の隈。
イタダケナイ。あまりにもイタダケナイ。
頑張って、いつもより気合いを入れてメイクして。いざ出陣じゃー。
西門の邸の前で
「たのもうー」と言ってみる。
時代劇みたいでかっこ良い。ぐふふっ
笑いながら迎え入れてくれたのは、内弟子の大野君。
いつもの通りに出迎えられた筈だった
「つくし様、目の下どうされたんですか?くま凄いですよ。」
大野君に指摘され、
「昨日、寝れなくて‥…」
バカ正直に返答していた。
大野君心配してくれて、クマの治し方を色々伝授してくれた。
流石にお肌が綺麗な大野君色々知ってて感心しきり。
「大野君すごいね。脱帽だよ。」
「いや、コレってイマドキ男子なら普通の知識です。」
そっかー、今や男も綺麗にする時代だもんね。なんて妙に感心してしまった。
そんなこんなで無駄口叩きながら廊下を歩いて行ると、
戦いの相手が前から歩いて来る。
そういやぁー この御仁もお綺麗で、そりゃあそりゃあすべすべな綺麗な肌を持っている。
触ると気持ち良いのよねぇー総の肌。
なんて事を考えてたあたし‥…
慌てて頭をブンブン振る。いかん、いかんこんな事じゃ戦いに勝つ事など到底出来ない。
何やってんだ?って、顔をしながら、肩を震わせクスクス笑ってる総。無性に腹が立って、目の前で 「 ふんっ 」ってしてやった。うふふっ 一歩リードじゃねぇーなんて総を見ると‥…怪訝な顔しながら通り過ぎていくだけだった。
何やってんのかなぁー あたし。
何だか全てがバカバカしくなちゃって、大きなため息一つ吐いていた。
そこへ丁度、使用人の美代ちゃんが通りかかり、
「つくし様、ため息吐かれると幸せがお逃げになられますよ。」
なんて、茶目っ気たっぷりな可愛い笑顔で言ってくる。
美代ちゃんお肌がツルツルで若いっていいなぁーなんて違う事考えてた。
「うん。そうだよね。美代ちゃんありがとう。」
美代ちゃんにお礼を言って、もう一度頭をブルブルふると‥…後ろに居たのは総。
「なぁ、お前どうしたんだ?っん?なんか変なもんでも食ったか?」
突然、後ろに居た総にビックリしてしまって、何だかしらないけど泣いちゃったあたし。
オロオロしてる総。
大野君も美代ちゃんも心配顔でこちらを見ている。早く泣き止まなきゃと思ってるうちに、もっともっと涙が出て来て、いつの間にか、大野君と美代ちゃんは居なくなり‥…
総があたしを抱きかかえ、縁側に座らせてくれていた。
あたしの髪を撫でながら、優しい声で
「なんか辛い事でもあったんか?」なんて聞いてくれて、
それを聞いたらもっともっと泣きたくなって、
「違う。皆優しくしてくれてるよ。」なんて言いながらまたまた泣いちゃって、
仕舞いには涙で顔はボロボロになっていた。
「なぁ、つくし、お前頑張んな。あんまり頑張んな。ゆっくりのんびりお前らしくいろ」そんな優しい事を言ってくれる。束の間の幸せに浸っていると‥…
家元夫人が前からやってきて。
「つくしちゃん。おめでとう」なんて言ってくる。
お誕生日明日なんだけど‥なんて思っていると、
「うふっ、つくしちゃんが突然泣き出したって、美代ちゃんが心配して伝えにきてくれたのよ。」
「はい。申し訳ございません。」
「あら、何を言ってるの? 攻める訳ないでしょ。うふっ、総二郎さん、もう病院の予約はしてあるから明日の朝一番で高倉さんに行ってらっしゃい。」
不思議な事を言って来る。家元夫人。
「つくしちゃん、多分おめでたじゃないかしら?」
そう言えば‥…色んな事が思い当たって、妙に納得して家元夫人いいえお義母様を見ると、「良かったわね」と言って嬉しそうに笑って下さる。
そうか、総に愛の言葉を囁いて欲しかったのも、なんだか解らない涙も全部全部ホルモンのせいだったのかと思って安堵した。
茫然と佇むあたし。またひとり言呟いてたのか?
「つくし、愛してる。俺もお袋も親父も西門の邸のものもみんなみんなお前を愛してるぞ」
総があたしに囁いてくれた。
嬉しくって、また泣いちゃった。
翌日の誕生日は、初釜の準備で忙しい総がわざわざ時間を割いて付き添ってくれた病院で、チカチカ動く心臓を見せてもらった。あたしよりも総の方が嬉しがって、「つくし、可愛いなぁー、こいつちっこいのにもうチカチカ動いてるぞ」言いながら、「つくし愛してる」と何度も何度も言ってくれた。
「なぁつくし、愛してるっていい言葉だなぁー」
総が言うから...
「あたしも愛してる」
総は嬉しそうに微笑んだ。
「なぁ、毎朝そう言ってくんねー 俺、その一言で何でも出来る気がするわ」
あたしも嬉しくて微笑んだ。
そうだよね、「愛してる」はどっちから、なんてないんだよね。愛してる人には素直に「愛してる」って伝えれば良いだけなんだよね。
西門の邸に戻ると……
つくし様お誕生日おめでとうございます
皆が満面な笑みで出迎えてくれた。
周りには愛がいっぱい溢れていて、キラキラしている。
Happy Birth Day to Tsukushi
あなたの人生が幸せに包まれますように♡
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