No.040 覚悟 あきつく
「広報さんの意見は?」
人差し指で眼鏡を上げながらサラサラの髪を靡かせる。
〝くぅっーーーーカッコイイ〟
毎度の事ながら見惚れちゃう。
あっ、いま見惚れてる場合じゃなかった。
今は、仕事だ仕事。仕事モードONだ。
ニッコリ笑顔で微笑んで
「はい。広報と致しましては___」
うん大丈夫。仕事モードに切り替えたぞ。
ヨシッ カボチャカボチャ カボチャだ。
大根? 胡瓜? 茄子?
やっぱりカボチャだな。
眼鏡かけたイケメンカボチャ。
ぷぷっ イケメンカボチャだって。ぷぷっ
「コホンッ コホンッ」
成田君が脇腹を突きながら小声で
「つくしさん、つくしさん、声、声出てますって。ホラッ、部長睨んでますって」
「へぇっ? ヤバッ」
慌てて口を押さえ澄まし顔をする。
カボチャが人差し指で眼鏡を上げる。
会議が終わり席を立つ瞬間
「牧野さん、この後ちょっといいかな?」
カボチャ……いいや美作部長が呼んでいる。
あたし、何かやったっけ?
うんっ。ぼぉっとなってたくらいだよね。
うんうん。大丈夫
「あっ、はい」
ニコヤカに返事した。
ガヤガヤと皆が部屋を出て行く。
成田君と二人で残ってたら
「声かけたのは、牧野さんだけだけど」
人差し指で眼鏡を押し上げながら__冷たく言い放つ。
「あっ、あっ、す、す、すみません。つ、つ、つくしさん、さ、先行くね」
成田君が慌てて部屋を出て行った。
万年筆が宙を舞う。クルクルと宙を舞う。
二人きりになった気安さで
「うわぁっーー美作さん上手だね」
パチパチと手を叩いた。
「コホンッ」
「風邪?昨日寒かったもんねぇ~ちゃんと温かくして寝ないとだよ」
「風邪じゃない。ところでつくしさんってなんだ?つくしさんって。それにあの馴れ馴れしい態度」
「あぁ、成田君?人懐っこい子だから__誰にでもあぁなんだよ」
「へぇー庇うわけだ。まぁ仲良く2人で飯食い行ったりしてるみたいだしな」
美作さんが眼鏡を外した瞬間__
あっ、ヤバい。そう気が付いた。
気が付かれない様に顔に笑みを浮かべたままゆっくりとゆっくりと後ずさりさする。
ガシッ 腕を掴まれる。
「ヒャッ」
「ヒャッじゃないだろ」
「あははっ」
「あははっでもないだろう」
「えへへっ」
「えへへっでもない」
「じゃっ」
「じゃぁってもっとないよな?」
「ごめん__」
「っん?何がごめん?」
「な、な、なんとなく?」
美作さんが腕を掴みながら近づいて……来て
耳元に甘い吐息を吹きかけながら
「今晩、覚悟しとけな」
「こ、こ、今晩ってまだ火曜日__」
「関係ない」
「で、で、でも……あっ、ほら、今日残業かなぁーー?」
「ダメっ、お前が悪い」
「……でも、ご飯食べただけだよ?」
「それでもダメ。あいつ絶対つくしに気がある」
「えぇーー?ない、ない。ないよ」
「ないってマジに言ってる?」
美作さんの言葉にあたしは大きく頷く。
「ハァッーーーー 成田君だっけ?__お前にかかったら形無しだよな。クククッ」
クククッって笑ってる?
えへっ、じゃぁもうご機嫌直ったってコト?
「じゃぁ、今晩じゃなくてもいいよね」
「それはダメ」
「でも__」
「でもじゃない。そろそろきちんとしなきゃだ」
「突然?」
「そう、突然」
美作さんがあたしを抱き締めながら
「いい加減覚悟決めて俺を安心させてよ。返事は?」
「うん。でも突然じゃ迷惑じゃない?」
「やっ、いつでも大歓迎だって。第一、残すは俺ん家への挨拶だけだろ?」
イヤッ、そりゃそうなんだけどね__
心の準備っていうもんが
「うんっ?それとも違う覚悟のがいい?」
いやいやいや__こんな時の美作さんは執拗にねっとりとだ。
まだ週初め。身体持たないって
「いえ、ご挨拶に伺わせて頂きます」
その夜__あたしは美作一家に大歓迎を受けた。
ドキドキしたけど__いつかは通る道だもんね。
マンションに帰り着いた瞬間、張りつめていた緊張が一気に解け
「ふぅーーーっ」
大きく息を吐けば
「お疲れ」
美作さんがギュッとあたしを抱き締めながら
「明日は、俺とつくし__親父について会食だって」
「会食?」
「あぁ、紹介して回りたいだけだよ。で、昼から出勤。それまで家に居て連絡待てってさ。てなワケで今晩は時間たっぷりだから」
そう言ってニヤッと笑った。
「ひぇっーーー」
あたしの雄叫びは宙を舞った。
覚悟って色々あるのね.....


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人差し指で眼鏡を上げながらサラサラの髪を靡かせる。
〝くぅっーーーーカッコイイ〟
毎度の事ながら見惚れちゃう。
あっ、いま見惚れてる場合じゃなかった。
今は、仕事だ仕事。仕事モードONだ。
ニッコリ笑顔で微笑んで
「はい。広報と致しましては___」
うん大丈夫。仕事モードに切り替えたぞ。
ヨシッ カボチャカボチャ カボチャだ。
大根? 胡瓜? 茄子?
やっぱりカボチャだな。
眼鏡かけたイケメンカボチャ。
ぷぷっ イケメンカボチャだって。ぷぷっ
「コホンッ コホンッ」
成田君が脇腹を突きながら小声で
「つくしさん、つくしさん、声、声出てますって。ホラッ、部長睨んでますって」
「へぇっ? ヤバッ」
慌てて口を押さえ澄まし顔をする。
カボチャが人差し指で眼鏡を上げる。
会議が終わり席を立つ瞬間
「牧野さん、この後ちょっといいかな?」
カボチャ……いいや美作部長が呼んでいる。
あたし、何かやったっけ?
うんっ。ぼぉっとなってたくらいだよね。
うんうん。大丈夫
「あっ、はい」
ニコヤカに返事した。
ガヤガヤと皆が部屋を出て行く。
成田君と二人で残ってたら
「声かけたのは、牧野さんだけだけど」
人差し指で眼鏡を押し上げながら__冷たく言い放つ。
「あっ、あっ、す、す、すみません。つ、つ、つくしさん、さ、先行くね」
成田君が慌てて部屋を出て行った。
万年筆が宙を舞う。クルクルと宙を舞う。
二人きりになった気安さで
「うわぁっーー美作さん上手だね」
パチパチと手を叩いた。
「コホンッ」
「風邪?昨日寒かったもんねぇ~ちゃんと温かくして寝ないとだよ」
「風邪じゃない。ところでつくしさんってなんだ?つくしさんって。それにあの馴れ馴れしい態度」
「あぁ、成田君?人懐っこい子だから__誰にでもあぁなんだよ」
「へぇー庇うわけだ。まぁ仲良く2人で飯食い行ったりしてるみたいだしな」
美作さんが眼鏡を外した瞬間__
あっ、ヤバい。そう気が付いた。
気が付かれない様に顔に笑みを浮かべたままゆっくりとゆっくりと後ずさりさする。
ガシッ 腕を掴まれる。
「ヒャッ」
「ヒャッじゃないだろ」
「あははっ」
「あははっでもないだろう」
「えへへっ」
「えへへっでもない」
「じゃっ」
「じゃぁってもっとないよな?」
「ごめん__」
「っん?何がごめん?」
「な、な、なんとなく?」
美作さんが腕を掴みながら近づいて……来て
耳元に甘い吐息を吹きかけながら
「今晩、覚悟しとけな」
「こ、こ、今晩ってまだ火曜日__」
「関係ない」
「で、で、でも……あっ、ほら、今日残業かなぁーー?」
「ダメっ、お前が悪い」
「……でも、ご飯食べただけだよ?」
「それでもダメ。あいつ絶対つくしに気がある」
「えぇーー?ない、ない。ないよ」
「ないってマジに言ってる?」
美作さんの言葉にあたしは大きく頷く。
「ハァッーーーー 成田君だっけ?__お前にかかったら形無しだよな。クククッ」
クククッって笑ってる?
えへっ、じゃぁもうご機嫌直ったってコト?
「じゃぁ、今晩じゃなくてもいいよね」
「それはダメ」
「でも__」
「でもじゃない。そろそろきちんとしなきゃだ」
「突然?」
「そう、突然」
美作さんがあたしを抱き締めながら
「いい加減覚悟決めて俺を安心させてよ。返事は?」
「うん。でも突然じゃ迷惑じゃない?」
「やっ、いつでも大歓迎だって。第一、残すは俺ん家への挨拶だけだろ?」
イヤッ、そりゃそうなんだけどね__
心の準備っていうもんが
「うんっ?それとも違う覚悟のがいい?」
いやいやいや__こんな時の美作さんは執拗にねっとりとだ。
まだ週初め。身体持たないって
「いえ、ご挨拶に伺わせて頂きます」
その夜__あたしは美作一家に大歓迎を受けた。
ドキドキしたけど__いつかは通る道だもんね。
マンションに帰り着いた瞬間、張りつめていた緊張が一気に解け
「ふぅーーーっ」
大きく息を吐けば
「お疲れ」
美作さんがギュッとあたしを抱き締めながら
「明日は、俺とつくし__親父について会食だって」
「会食?」
「あぁ、紹介して回りたいだけだよ。で、昼から出勤。それまで家に居て連絡待てってさ。てなワケで今晩は時間たっぷりだから」
そう言ってニヤッと笑った。
「ひぇっーーー」
あたしの雄叫びは宙を舞った。
覚悟って色々あるのね.....


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