No.042 天に向かって 司つく
「っん?っん?っぅぅん?」
ガバッと飛び起きる。ベッドサイドにはメモが一枚
おはよっ!
ルカちゃんがインフルでお休みみたいなので
今日は代わりに出勤になりました。
じゃぁね♡
じゃぁね__って、ひと月ぶりに会う彼氏よか仕事かよ?
ったく、仕事、仕事、仕事ってお前は、ワーカホリックか。
女なら愛に生きろってんだ。
まぁ、そんでも辛うじてハートマークが付いてたから……許してやっかっ。
ったく、こんなハートマーク如きで気分よくしてる俺も寛大だよな。
「ふわぁ~っ」
欠伸を一つして写真立てを手に取る。静の結婚式の時にみんなで撮った写真が飾られている
「こんな写真じゃなくて俺と2ショットの写真飾れつぅーの」
棚の上に写真立てを戻しながら
「アイツ、こん時可愛い事言ってたよな?クククッ」
世界中の時計を早回ししたいくらい__だっけ?
だっけじゃねぇか、一字一句忘れるワケねぇよな。
クククッ 可愛いよな。マジ可愛いよな。いつ思い出してもググっと来んな。
なのに、なのにだ、牧野の夢とやら待ってたら……3年どころかもうじき8年が経つ。ったくなぁーー
「いい加減覚悟決めろ!」
何回?いや何十回となく口にした台詞……その度に
「うーん、まだ学校が」
「まだ司法試験が」
「司法修習が」
「ほらっ、社会人成り立て出しね」
「今の案件、魅力的なんだよねー」
挙げ句の果てに昨日の晩は
「ふわぁ~眠い」
と来たもんだ
そりゃぁ、久しぶりに会えて嬉しくてあんなこともこんなこともした。
だからって……
で、今日はインフルの代わりに出社ってか?
ったくなぁっーー
このままじゃ埒があかねぇよな。決めた決めた。マジ、かっ攫らう事にすんか。じゃなきゃまたすれ違い生活だもんな。
テーブルの上には、牧野が作った握り飯と昨日の残りの南瓜の煮物なんかがが置かれてて
ちゃんと食べる様にね♡
なんてハート付きで書かれてて、心臓ガッツリ鷲掴みだ。
要所要所に可愛いとこをぶっ込んで来るんだよな。
一口齧って、恋を感じて
二口齧って、愛を感じて
三口齧って、もう少しだけ牧野の都合とやらに付き合ってやるかって心を決めた。
飯美味かった。また来るな
そう書き残して部屋を出る。
「さて、張り切って仕事片付けて日本に帰ってくんぞ」
*-*-*-*-*-*-*
起こさない様に、そぉっとベッドを抜け出す。
寝てる道明寺の頬をスゥーーッと撫でる。
綺麗だなって思いながら眠ってる道明寺にキスをして
「38回目のプロポーズありがとうね。嬉しかったよ。この仕事終わったら付いていかせてね」
小ちゃく呟いてから、お握りを用意して部屋を出た。
「さぁてぇ、張り切って仕事するぞーー!」
天に向って拳を挙げた。
あんたに付いてくよ


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