No.045 メリークリスマス あきつく
うふふっ あたしはついている。何を隠そうラッキーガールなんだ
うふふっ、見事当りを射止めて美作先輩と一緒にクリスマスパーティーに出席する事になったんだ。降って湧いたかのように訪れた今回のチャンス……あたしの魅力で絶対に絶対に美作先輩をモノにする。
ところで、あたしに魅力なんてモノは存在したっけ? ははっ、まぁ、その辺の事は考えるのは辞めとこう。
ミコちゃんのアドバイス通り下着は、上下お揃いにした。うんうんいつでもカーモンだ。でも……カーモンって何だろうか?
あっ、いやっ、あたしだてそりゃぁ、この年にもなれば色々と耳年増だ。だから、そのその色々と男と女がする事なんていうのも知ってるつもりだ。
でも、ミコちゃんの言ってるカーモンは、良くわからなかった。
目の前の鏡でヘアーメイクさんが整えてくれた自分をチェックする。
メイクヨシ
ドレスヨシ
ついでに笑顔ヨシっ!
うーーん完璧だ。
なのになのに美作先輩がサロンに迎えに来てくれた瞬間___クラクラッと目眩が襲って来て、初っ端から出端を挫かれた。
だって目の前の鏡にはタキシード姿の王子様が映ってるんだもん。そりゃーあんたビックリよ。
はぁっーーーガックシだ。
「おっ、馬子にも衣装じゃん。中々似合ってんな」
鏡越しに美作先輩がニッコリ笑いながら話しかけてくる。
くぅっーーー か、か、カッコイイィーー
ドキンッ ドキンッ 胸が高鳴る。
高鳴る胸の鼓動を隠すかの様に態と唇を尖らせて
「馬子にもじゃありませぇんーーもともと可愛いですよーだ」
反論すれば、眦を綻ばせながら
「うん。そうだな。牧野は可愛いな」
はぁっーー 反則だ。この人、本当反則だ。
「あっ、そうそう」
胸ポケットから何やら取り出してあたしの首に
パチンッとネックレスがはめられる。
「うんっ、やっぱりこのドレスに良く似合う」
「あっ、あっ、あの、ここれは?」
「あぁ、今日のお礼。ムーンストーンとサンストーンで出来てるんだよ」
真っ白に光る月長石とキラキラとオレンジ色に光る日長石があたしの胸元で誇らし気に光る。
サンストーンに合せた淡いオレンジのチーフとネクタイが美作先輩を飾ってる。
何だか嬉しくなちゃってジィーッと見れば
「お揃いにしてみたんだ。ほらっ」
おっ、おっ、お揃い?
嬉しくって嬉しくって足が宙に浮きそうだ。
「うん。牧野に良く似合ってる」
ついでにそんな甘い台詞を追加されて……あたしを有頂天にさせた。
ルルララ~ついつい鼻唄が出そうになるくらいあたしは浮かれた。でも……パーティー会場には、綺麗な女性がいっぱいで……でもって、その綺麗な女性の方々は
「美作さまぁー」
だの
「あきらさぁ~ん」
これ見よがしに胸の谷間なんて強調させながら……隣りのあたしなんかおかまい無しにグイグイと美作先輩に迫って来る。
何よぉーと言いたいけど……
スタイル抜群ついでに美人で、何よぉーと言う前に見惚れちゃう。
で、自分を見て……ちょっとでもイケテルなんて思った事を大後悔。
超絶美女が色気たっぷりに
「あきらさん、お久しぶり」
そう言いながら近づいてくる。
ドンッとぶつかられてヨロヨロと転げた。
超絶美女は
「あらっ、やだ痛い」
ツーンと澄ました顔で言って来て……
「すいません」
なんてあたしが謝ってた。
何だか惨めでブワァッ~と涙が出そうになって……美作先輩が腕を取ってくれたのを押し退けて
「け、け、化粧室に行って来ます」
逃げ出した。
そう、尻尾を巻いて逃げ出した。
美作先輩には、やっぱり大人な美人がお似合いだ。
「ふぇーん、ヒック、ヒック、スン、ヒック」
後から後から涙が出て来る。
折角、綺麗にメイクして貰ったのにドロドロだ。こんな顔じゃもう会場には戻れないな。クロークでコートを受け取ってから美作先輩にメールした。
本当にすみませんが先に帰らせて頂きます。
そうメールした瞬間……目の前に美作先輩が現れた。
「牧野、何で泣いてる?」
追い掛けて来てくれた美作先輩に驚いてあのそのなれば
「なぁ、その涙……俺のための涙だって自惚れてもいいか?」
もうこれ以上傷つきたくなくって
「ち、ち、違います。こ、こ、コンタクトが痛かったんです。先に帰るのは、ど、ど、同期とクリスマス会に行くからです」
そう言えば
「あはっ、はっ、そっか_そっか」
美作先輩が項垂れる。
って、項垂れてる?
「あの、なんで美作先輩が項垂れるんですか?」
「お前が好きだからだよ。今日こそは決めようと思ってたのに」
「えっ?あたし……を好き?」
「あぁ。今日のパーティー一緒に出れる様に、佐久間に言って裏工作してもらった」
「ミコちゃんに?」
「あぁ」
「なんで?」
「なんでって、好きだからだよ」
「誰が誰を?」
「俺が牧野を……って、全く気づいてなかった?」
コクンと頷けば
「マジっ?ははっ」
笑いながらショボンと肩を落とす。
美作先輩もこんな姿を見せるんだって思ったら……なんだか心がくすぐったくなって、勇気が湧いて来た。
「あの……じゃぁあたしが美作先輩を好きっていうのは知ってますか?」
美作先輩の口が半開きになってから大きく微笑んだ。
恋人はサンタクロース♡


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