イノセント 36R 司つく
時折、男は女を盗み見る。
真っ直ぐに見つめればいいものの……盗み見る。
身体だけは無く全てを手にしたいと思う心に蓋をして〝お前は俺の玩具だ〟そう嘯きながら盗み見る。
抱けば抱く程、女を欲し
抱けば抱く程、手放せなくなっていく
それが愛だと男はまだ気が付かない。
*-*-*-*-*-*
「0時には戻る。その時間になったら俺の部屋に来い」
死刑宣告のような司の言葉につくしは「解りました」と感情のない平坦な声で返事をした。
司の部屋のベルを鳴らす。ベルを鳴らさなくとも解錠出来るのに……つくしは必ずベルを鳴らす。ドアが開かなければ帰らせてもらうという意思表示のように。
煙草の匂いが立ち籠めた部屋に入って、真っ白なワンピースのファスナーを下ろした。
シュルリ
ワンピースが足許に落ちていく。
「下着もだ」
司に命令されブラのホックを外す。まるで商売女になったような屈辱感に塗れながら唇を噛む。
「下もだろうよ」
胸を隠しショーツを脱いだ。
司は、美しい顔を楽し気に歪ませながら追い討ちをかける。
「顔上げて、俺の目を見ろ」
つくしは、司の顔を真っ直ぐに睨むように見た。身体は穢されたとしても心は、穢されはしないと言う様に。
この瞳で見つめられる度に司は、この女の全てを手に入れたいと欲する。胸が締め付けられる程に欲する。
司の舌が、立たせたままのつくしの胸元を這い回る。乳首をカリリッと強く噛んだ。
「痛っ」
つくしの顔が苦痛に歪む。
人形ではない生身の女を感じ、司は喜びに震えながら、指を舌を全身に這わせていく。
つくしの唇から、堪え切れない声が吐息となって零れ出す。
「我慢すんな、声あげろよ」
つくしは、身体の中から必死に快楽を追い出そうとする。なのに……思えば思う程快楽が押し寄せ蜜が溢れ出して行く。
押し寄せる快楽に抗うように眉間に力を入れ必死に我慢する。
「フッ、‥‥無駄な事は辞めろ。どんなにお前が我慢しようが、お前のここは、俺を求め溢れ出してるぞ」
司の指が、1本、2本、3本と子宮の奥底に入ってくる。指を折り曲げながら性感帯を刺激する。水音が響き渡り部屋の中に牝の匂いが充満していく。
「___ゥゥッツ__アッ、あっ、ゥッウッう‥」
吐息がよがり声に変わる。感じたくないそう思えば思う程、獣のような声が出て淫らに身体が熱くなる。意識が本能に負けていく。
イク寸前で司の指が引き抜かれる。透明の糸を引かせた指でつくしの口の中を陵辱する。
「つくし、お前のここはトロトロでいやらしい牝の薫りだろ?」
司の言葉につくしの身体は、より強く反応を始める。屈辱的な筈なのに、つくしの膣内から溢れるばかりの愛液が、滴り落ちていく。
つくしの身体は、己の心を裏切り、司の熱い塊を求め自ら腰を押し付ける。焦らされれば焦らされるほど腰を押し付け男を求める。
「思う存分掻き回してやるから、欲しいなら欲しいとその口で言ってみろよ?」
男は、意地悪く動きを止めて乳首に吸い付きコロコロと口の中で転がされる。膣内を思い切り掻き混ぜ突き上げて欲しくて、劣情が理性を凌駕する。
淫らな声で懇願する。
「ぅぐっ__あっ、あぁ_お願い‥お願い‥」
意を得たとばかりに司の熱い塊は、つくしの子宮を突き上げる。激しく強く突き上げる。つくしが意識を飛ばす瞬間、無意識で男の名を叫ぶ。かつて心から愛した者の名を
「道明寺__」
つくしの思いは、道明寺を求め彷徨う。
愛してる
愛してる
愛してる
寝入るつくしの白い肌に、無数の花びらを司は咲かす。
徐々につくしの意識が身体に戻って来る。
隣りで規則正しい寝息を立てて眠る司を見つめ、そっとベッドを抜け出した。
月明りが、司の整った顔を映し出している。眠る司は、あまりにも無防備でつくしは司を盗み見る。
月しか見ていないのだから、真っ直ぐに見ればいいのに盗み見る。手を伸ばしかけ、慌てて手を止めたつくしは、バスルームに向かった。
鏡の中には、無数の花びらに包まれた淫美な牝が映っている。
鏡に向かい花びらを一枚一枚確認するように、手を這わせる。
ゴシゴシと身体を洗う。淫美な自分を戒めるように。
「__どうして‥‥どうして__今更‥‥」
小さな声でつくしは呟いた。
シャワーの音がその声を掻き消す。
ふぅ、やっと一話目に繋がりました


♥ありがとうございます。とっても嬉しいです♥
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