No.053 真っ赤なネイル 類つく
じっと手を見る。
あっ、別に短歌を諳んじてるわけじゃない。
じっと見ていたのは、牧野の手……もとい牧野の指先。
綺麗に彩られた牧野の指先。
よく見れば、キラキラと光るストーンまで牧野の爪を彩っている。
そんな綺麗な指先にして、あんた誰に見せる為につけたのさ?
聞きたいけど聞けないで無言になる。
聞きたい事はそれだけじゃない___
新しい年、やっぱり牧野に会いたくて牧野の家を訪れた。
訪れてみれば何だか慌てた顔してて……
なんだか何かを隠してるみたいで全くもって面白くない。
それなのに、なんだか途中から開き直った牧野は
俺の面白くない心を知ってか、知らずか
何だかスゴく可愛い顔しながら、楽しそうに笑ってる。
「でね、チューリップの球根を植えたの。春になったらいっぱい咲くよ。楽しみだよね」
笑いながらそんな事を、話してるのもなんだか癪に触る。
だって、そのチューリップの花だって……どうせネイルの相手に見せる為に植えたんだろう?
それに、牧野__あんた花より団子派じゃなかったの?
嫌味の一発でも言いたいけど……怒らせるのも嫌われるのも怖くて言えない。
「ねぇ類、覚えてる?」
何を覚えてるって?
あんたとの事なら何一つ忘れちゃいないよ。
牧野あんたは違うかもしれないけどね。
「……さっきからゴチャゴチャなに?」
自分でも驚く程に冷たい声が出た。
「あっ、ゴメン……あたしだけベラベラと喋ちゃってたね」
鼻の頭を掻きながら、謝ってる。
ったく、こういう顔されちゃうと__弱いんだよね。
「俺こそゴメン__全くもって八つ当たりしてる」
「類が八つ当たり?八つ当たりするような嫌な事あったの?……あたしで良ければ、話し聞くよ? なんでも言ってみて」
ねぇ、牧野、ホントに何でも言っていいの?実際になんでも言ったら困ると思うよ。
「ありがとう。じゃぁさ、お願いがあるんだけど……」
「っん? なんか愚痴でも聞いちゃう? それとも何か仕返しとか手伝っちゃう?」
「ぷっ、仕返しって__牧野の手伝ってくれる仕返しってどんなの?」
「うんとね、ほらっ、ピンポンダッシュとか?」
「ピンポンダッシュ?」
初めて聞く単語に驚いて聞き返せば、家のベルを鳴らした後、隠れることだって説明してくれた。
「小ちゃな男の子とかがね、よくやったりするのよ。地味にムカついたりするのよねー」
なんて言ってるけど、それがなんの仕返しになるのかが全くもって良くわからない。
取りあえず、成人男性と成人女性がやるようなことじゃないよね?
「くくっ、それはあんまりやりたくないか…なっ…?」
「あははっ、そりゃ、そうよね……じゃぁ、どうやって仕返ししようか? あっ、なんならおまじないとかにしてみちゃう?」
「のろいじゃなくて?」
「あっ、そうか。うーーんそっちはあんまり良くわかんないなぁー」
って、あんた、いつからおまじないが得意になったの?
「うーーん、なんだか……仕返しはどうでもよくなったかな」
「あっ、そう? じゃぁ、もし仕返ししたくなったらいつでも相談して。一緒に考えるから」
ちょっぴり鼻の頭なんて膨らませながら言っている。
ホント、あんたって変わってるっていうか__なんていうかだよね?
だけど、一生懸命に俺のコト考えてくれるあんたが何か可愛い。
でも......やっぱりピンポンダッシュおまじないとか言っちゃうのって__変だよね?
クククッ
でも、ちょっと待って
それに惚れちゃってる俺も、もしかしたらちょっと変わってるとか?
えっ? やっぱりそうなっちゃう?
うーーん 俯いて考えてたら 牧野の指先が飛び込んで来た。
牧野のネイル__よく見れば......左の薬指だけ真っ赤に塗られてるけど、あとはホワイトベースになってて何か可愛い。
「そのネイル__微妙に紅白?」
「あっ、そうじゃないのよ、これねおまじない」
「おまじない?」
「あっ」
耳まで真っ赤になっている。
小首を傾げれば
「うっ、べ、べ、別におまじないとか、真剣にし、し、信じてるワケじゃないのよ。でも、でも、お正月からこうして会いにきてくれたりっておまじないのお陰じゃない?」
「えっ?」
「あっ」
牧野の左薬指を掴まえて口づけをした。
きっと新しい二人の始まり。
すごい告白だよ.....ね?


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あっ、別に短歌を諳んじてるわけじゃない。
じっと見ていたのは、牧野の手……もとい牧野の指先。
綺麗に彩られた牧野の指先。
よく見れば、キラキラと光るストーンまで牧野の爪を彩っている。
そんな綺麗な指先にして、あんた誰に見せる為につけたのさ?
聞きたいけど聞けないで無言になる。
聞きたい事はそれだけじゃない___
新しい年、やっぱり牧野に会いたくて牧野の家を訪れた。
訪れてみれば何だか慌てた顔してて……
なんだか何かを隠してるみたいで全くもって面白くない。
それなのに、なんだか途中から開き直った牧野は
俺の面白くない心を知ってか、知らずか
何だかスゴく可愛い顔しながら、楽しそうに笑ってる。
「でね、チューリップの球根を植えたの。春になったらいっぱい咲くよ。楽しみだよね」
笑いながらそんな事を、話してるのもなんだか癪に触る。
だって、そのチューリップの花だって……どうせネイルの相手に見せる為に植えたんだろう?
それに、牧野__あんた花より団子派じゃなかったの?
嫌味の一発でも言いたいけど……怒らせるのも嫌われるのも怖くて言えない。
「ねぇ類、覚えてる?」
何を覚えてるって?
あんたとの事なら何一つ忘れちゃいないよ。
牧野あんたは違うかもしれないけどね。
「……さっきからゴチャゴチャなに?」
自分でも驚く程に冷たい声が出た。
「あっ、ゴメン……あたしだけベラベラと喋ちゃってたね」
鼻の頭を掻きながら、謝ってる。
ったく、こういう顔されちゃうと__弱いんだよね。
「俺こそゴメン__全くもって八つ当たりしてる」
「類が八つ当たり?八つ当たりするような嫌な事あったの?……あたしで良ければ、話し聞くよ? なんでも言ってみて」
ねぇ、牧野、ホントに何でも言っていいの?実際になんでも言ったら困ると思うよ。
「ありがとう。じゃぁさ、お願いがあるんだけど……」
「っん? なんか愚痴でも聞いちゃう? それとも何か仕返しとか手伝っちゃう?」
「ぷっ、仕返しって__牧野の手伝ってくれる仕返しってどんなの?」
「うんとね、ほらっ、ピンポンダッシュとか?」
「ピンポンダッシュ?」
初めて聞く単語に驚いて聞き返せば、家のベルを鳴らした後、隠れることだって説明してくれた。
「小ちゃな男の子とかがね、よくやったりするのよ。地味にムカついたりするのよねー」
なんて言ってるけど、それがなんの仕返しになるのかが全くもって良くわからない。
取りあえず、成人男性と成人女性がやるようなことじゃないよね?
「くくっ、それはあんまりやりたくないか…なっ…?」
「あははっ、そりゃ、そうよね……じゃぁ、どうやって仕返ししようか? あっ、なんならおまじないとかにしてみちゃう?」
「のろいじゃなくて?」
「あっ、そうか。うーーんそっちはあんまり良くわかんないなぁー」
って、あんた、いつからおまじないが得意になったの?
「うーーん、なんだか……仕返しはどうでもよくなったかな」
「あっ、そう? じゃぁ、もし仕返ししたくなったらいつでも相談して。一緒に考えるから」
ちょっぴり鼻の頭なんて膨らませながら言っている。
ホント、あんたって変わってるっていうか__なんていうかだよね?
だけど、一生懸命に俺のコト考えてくれるあんたが何か可愛い。
でも......やっぱりピンポンダッシュおまじないとか言っちゃうのって__変だよね?
クククッ
でも、ちょっと待って
それに惚れちゃってる俺も、もしかしたらちょっと変わってるとか?
えっ? やっぱりそうなっちゃう?
うーーん 俯いて考えてたら 牧野の指先が飛び込んで来た。
牧野のネイル__よく見れば......左の薬指だけ真っ赤に塗られてるけど、あとはホワイトベースになってて何か可愛い。
「そのネイル__微妙に紅白?」
「あっ、そうじゃないのよ、これねおまじない」
「おまじない?」
「あっ」
耳まで真っ赤になっている。
小首を傾げれば
「うっ、べ、べ、別におまじないとか、真剣にし、し、信じてるワケじゃないのよ。でも、でも、お正月からこうして会いにきてくれたりっておまじないのお陰じゃない?」
「えっ?」
「あっ」
牧野の左薬指を掴まえて口づけをした。
きっと新しい二人の始まり。
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