No.063 スキスキスキ...キス 類つく
ヒュゥッーー
寒さがいい感じにやって来る。寒さに感謝しながら電話をかける。
「牧野、俺」
「あっ、類、あのさーー」
グットタイミングだったようでご機嫌な声が返ってくる。
どうやら今日の夕飯は豚しゃぶに決定らしい。
牧野と食事をするのは幸せだ。食べ物が生きて行くために摂らなきゃいけないものじゃなくなって、食べる為に生きてるんじゃないのかっていうぐらいに美味しく感じる。
ただ横にあんたが居る。それだけで……不思議だね
車に揺られながら……牧野と出会ってからの18年を思い出す。色々あったななんて感慨に浸りながらね。
運命の再会と酒好きになってた牧野に感謝しながら窓の外を見た 。あの日を思い出す。
《 東京に戻ってきたよー 》
牧野のメール__タイミングが良かった。日本を梃入れするかどうかの話しが会議で持ち上がっていたんだ。牧野の居る日本なら帰りたい。そう思った。睡眠時間削りまくって残りの仕事を片付けて日本に戻ってきたのがメールを貰った一ヶ月後だった。
2人で飲みに行った。歳月は、ほんの少しずつ人を変えて行く。あんなに酒に弱かった牧野が結構な酒豪になっていた。
酒を酌み交わすのが楽しくて呑んで呑んで呑みまくった。酒矢鱈めったら美味く感じて__やっぱり牧野は、いいなぁーなんて思ったんだよね。
次の瞬間、牧野に抱きつかれキスされた。何が起ってるのか、わからない程の衝撃が駆け抜けたけど__唇に感じたのは、紛れもなく牧野の唇の感触で、夢中になってキスを返した。牧野の瞳が妖しく光って押し倒された。
全てがピタッと収まった。一気に心も身体も満たされていく。牧野が意識を手放してからも幾度も幾度も貫いた。
あの日の感情が蘇って来る__狂おしいほどに牧野を欲した日の感情が……全て全て自分の身体に、心の中に蘇ってくる。
同時にもう二度と手放したくないと思った。いや、手放なさないと思った。
隣りで牧野が頭を抱え込んでいた。多分、あんた激しく後悔中だよね? でも……俺はもう見守る男は卒業する事に決めたんだ。
「責任とってね」
あんたがついつい見惚れちゃうような極上の笑顔を浮かべながら迫った。
「取りあえず週に一度こうやって会うでいいからさ。自分のやった事に責任とってね。ねっ、判事さん」
牧野は逃げられないと思ったのか、コクンと一つ頷いた。
俺は、あんたを虜にしてみせる。あんたの好きなこの顔と……相性ばっちりなこの身体を使ってね。
あの日から週に一度牧野と二人でのんびりと寛ぐ。牧野は
、恋人同士じゃないと頑に否定するけど__心より身体のが正直でキスをすれば瞳が妖しく光り出す。口移しにワインを飲ませて__あんたの身体を、心を解き放たせてあげるよ。
誰よりもあんたの心の動きを知ってるから。否と言えない様に真綿で首をしめていくように周りを囲んで行くね。
ピンポーン
自分の部屋のチャイムを鳴らす。
さぁ、楽しいゲームの始まりだ。一生一緒にいるという景品を懸けたね。
解き放った思いは止まらない


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