花咲く梅に‥… あきつく
世の中は 恋繁しゑや かくしあらば 梅の花にも ならましものを
あなたが好きです。
この言の葉を音にのせる事が出来たならば、どんなに楽になれるのだろう。
でも、そうしたらあたしはあなたに会えなくなってしまう。
あたしはあたしの思いに蓋をして、ニッコリ笑ってあの人に会いに行く。
仲が良い友の振りをしてあの人に会いに行こく。
仕事納めの今日、同僚の誘いを断ってあたしは走る。
走らなくても余裕の約束をしているのにも関わらず、あたしは走る。
先について、窓辺の席から下を見下ろしあの人が来るのを待ちたいから。一分一秒でも見ていたいから。あたしは走る。「 走れマキノって感じ? 」なんて事を思いながら。
ティールームの2階席が、いつもの待ち合わせ場所。
本をテーブルの脇に置き、あの人を待つ。
丁度2分前にあの人は現れる。
窓辺からあの人がやってくるのを見るのが好き。じっと見れるから。
信号待ちをしてる姿を眺めながら、なんて綺麗な人なんだろうと、しみじみ思う。
ほらっ、またチラチラ女の子達が見てる。見るなーって蹴散らしてたいなぁ〜 クスッ 絶対に出来ないだろうけどね。
信号を渡り、そろそろ上を見るタイミングだ。本を手に取り読んでる振りをする。多分、今あたしを確認した筈。お店に入って来た頃かな?
真剣に読んでる振りを続けながら、耳を澄ます。そろそろ階段を登ってる。もうじき、もうじきあたしの席にあなたが来る。 3、2、1、「牧野お待たせ。」 ほら時間ぴったりの美作さん。
さも今まで本に夢中で気が付きませんでしたの振りをして、あなたを迎える。
「よっ!」色気もなんにもない振りをして、ビシバシな乙女心を隠して美作さんを迎える。
あたし健気じゃん。 心の中で自嘲気味に呟いた。
店を出て、ぶらぶら歩く。美作さんと歩くのが好き。歩幅を合わせて歩いてくれるから。最初は気が付かなかった優しさに気が付いた時、あたしの心はあなたへの愛で溢れてた。
「なぁ牧野、12月の呼び方、師走 の他にも知ってる?」
「うん、いくつかなら知ってるよ~。春待月 除月 限月 果月 窮月 極月 弟月 」
「おっ、中々詳しいなぁー 2月は知ってるか?」
「如月 中春 仲春 木芽月 早緑月 雪消月 令月 仲陽 梅見月 だったかな?」
「プッ、自分の生まれ月より詳しい感じだな。」
「12月にも、梅見月と同じ梅がつく呼び方もあるんだよ」
「へぇー 梅って万葉集にも沢山使われるだけあって、いろんなところで使われるね。」
「あぁ。そうだな。」
「12月はなんていうの?」
「梅初月」
「梅を初めて見る月かぁー2月は梅を見る月。これだけでも季節が解る感じだね。」
「万葉集のなかにさぁ〜 妹(いも)が家に 咲きたる梅の いつもいつも成りなむ時に 事は定めむ っていう歌があるんだけどね‥…」
「どんな意味?」
「あなたの家に咲いてる梅に実がなったら、僕と結婚して下さい。って歌」
「へぇープロポーズの歌?」
「うーん。プロポーズした相手に、「庭の梅の実がなったら考えてるわ」って言われて読んだ歌だから、あてこすりの歌かな。花を咲く梅は、実がならないからね。」
「ふぅーん そうなんだ。」
あたしがこの歌を貰ったら、何が何でも梅の実つけさせちゃうのになぁー
と言うよりも、プロポーズ貰った時点で断らないっつーの。はぁっー
「で、で、で、だ‥…」
「っん?」
「俺の邸に、梅を植えた。」
「えっ” あのメルヘンなお庭に梅?」
「あーあぁ。あの庭にだ。」
「どうやら、花が咲く梅のようだ。」
そりゃーそうだろうとも
「で、だ 牧野。俺の邸の梅の木に実がなったら、俺の嫁さんになってくれないか?」
えっ? 梅の実ならないとダメなの?
‥…花が咲く梅には実がならないんじゃないの?
「‥…って、無理か? 一か八か賭けても貰えないか?」
だから、一か八かじゃなくてあたしは美作さんが好きなんだよ。
「ごめん‥… 俺の考え姑息だったもんな。あはっ ごめん‥… 梅の木、白加賀なんだわ。」
姑息? 白加賀??? さっぱり解んないよ。
美作さんは、あたしが黙ってる間にどんどん話し始める。
いかにあたしが好きか。と話し始める。
始めはビックリして言葉が出なくて‥… 次に夢じゃないかと言葉にならず‥… 恋の言葉が耳に心地好くて、黙って聞いていた。
あまりにも心地好くて、やっぱり夢じゃないの?と考えて、頬をつねってみた。
「痛っ」
「夢じゃない‥…」
「って、口説いてる男の頬つねるって?それどんな嫌がらせだよ。」
そう言いながらククッ笑い出した。美作さん
「やっぱ、牧野だわ」
そう言いながら、真顔に戻って
「俺んちの梅には、花も咲くが実もなる。ははっ、花が咲かなきゃ実はならないしな。」
「うん。」
「で、だ‥… 結婚して下さい。」
うぅっわぁーーーん 大きく泣いてしまったあたし。
中々泣き止まないあたしを、ただただ抱きしめてくれた美作さん。
「ヒックヒック‥」
「大丈夫か?」
「ヒック‥…うん。」
「結婚してくれるか?」
「ふ、ふぇーん うん。」
「来年は一緒に梅干しつけような。」
ふぅふえーーーん。
「梅干し、一回漬けたら毎年漬けないとダメなんだよ?」
「あぁ。だから一緒に漬けてくれ。」
「牧野、お誕生日おめでとう。」
そう言いながらキスをされ、うっとりしながら花を咲かせた。
Happy Birth Day to Tsukushi
あなたの人生が幸せに包まれますように♡
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この言の葉を音にのせる事が出来たならば、どんなに楽になれるのだろう。
でも、そうしたらあたしはあなたに会えなくなってしまう。
あたしはあたしの思いに蓋をして、ニッコリ笑ってあの人に会いに行く。
仲が良い友の振りをしてあの人に会いに行こく。
仕事納めの今日、同僚の誘いを断ってあたしは走る。
走らなくても余裕の約束をしているのにも関わらず、あたしは走る。
先について、窓辺の席から下を見下ろしあの人が来るのを待ちたいから。一分一秒でも見ていたいから。あたしは走る。「 走れマキノって感じ? 」なんて事を思いながら。
ティールームの2階席が、いつもの待ち合わせ場所。
本をテーブルの脇に置き、あの人を待つ。
丁度2分前にあの人は現れる。
窓辺からあの人がやってくるのを見るのが好き。じっと見れるから。
信号待ちをしてる姿を眺めながら、なんて綺麗な人なんだろうと、しみじみ思う。
ほらっ、またチラチラ女の子達が見てる。見るなーって蹴散らしてたいなぁ〜 クスッ 絶対に出来ないだろうけどね。
信号を渡り、そろそろ上を見るタイミングだ。本を手に取り読んでる振りをする。多分、今あたしを確認した筈。お店に入って来た頃かな?
真剣に読んでる振りを続けながら、耳を澄ます。そろそろ階段を登ってる。もうじき、もうじきあたしの席にあなたが来る。 3、2、1、「牧野お待たせ。」 ほら時間ぴったりの美作さん。
さも今まで本に夢中で気が付きませんでしたの振りをして、あなたを迎える。
「よっ!」色気もなんにもない振りをして、ビシバシな乙女心を隠して美作さんを迎える。
あたし健気じゃん。 心の中で自嘲気味に呟いた。
店を出て、ぶらぶら歩く。美作さんと歩くのが好き。歩幅を合わせて歩いてくれるから。最初は気が付かなかった優しさに気が付いた時、あたしの心はあなたへの愛で溢れてた。
「なぁ牧野、12月の呼び方、師走 の他にも知ってる?」
「うん、いくつかなら知ってるよ~。春待月 除月 限月 果月 窮月 極月 弟月 」
「おっ、中々詳しいなぁー 2月は知ってるか?」
「如月 中春 仲春 木芽月 早緑月 雪消月 令月 仲陽 梅見月 だったかな?」
「プッ、自分の生まれ月より詳しい感じだな。」
「12月にも、梅見月と同じ梅がつく呼び方もあるんだよ」
「へぇー 梅って万葉集にも沢山使われるだけあって、いろんなところで使われるね。」
「あぁ。そうだな。」
「12月はなんていうの?」
「梅初月」
「梅を初めて見る月かぁー2月は梅を見る月。これだけでも季節が解る感じだね。」
「万葉集のなかにさぁ〜 妹(いも)が家に 咲きたる梅の いつもいつも成りなむ時に 事は定めむ っていう歌があるんだけどね‥…」
「どんな意味?」
「あなたの家に咲いてる梅に実がなったら、僕と結婚して下さい。って歌」
「へぇープロポーズの歌?」
「うーん。プロポーズした相手に、「庭の梅の実がなったら考えてるわ」って言われて読んだ歌だから、あてこすりの歌かな。花を咲く梅は、実がならないからね。」
「ふぅーん そうなんだ。」
あたしがこの歌を貰ったら、何が何でも梅の実つけさせちゃうのになぁー
と言うよりも、プロポーズ貰った時点で断らないっつーの。はぁっー
「で、で、で、だ‥…」
「っん?」
「俺の邸に、梅を植えた。」
「えっ” あのメルヘンなお庭に梅?」
「あーあぁ。あの庭にだ。」
「どうやら、花が咲く梅のようだ。」
そりゃーそうだろうとも
「で、だ 牧野。俺の邸の梅の木に実がなったら、俺の嫁さんになってくれないか?」
えっ? 梅の実ならないとダメなの?
‥…花が咲く梅には実がならないんじゃないの?
「‥…って、無理か? 一か八か賭けても貰えないか?」
だから、一か八かじゃなくてあたしは美作さんが好きなんだよ。
「ごめん‥… 俺の考え姑息だったもんな。あはっ ごめん‥… 梅の木、白加賀なんだわ。」
姑息? 白加賀??? さっぱり解んないよ。
美作さんは、あたしが黙ってる間にどんどん話し始める。
いかにあたしが好きか。と話し始める。
始めはビックリして言葉が出なくて‥… 次に夢じゃないかと言葉にならず‥… 恋の言葉が耳に心地好くて、黙って聞いていた。
あまりにも心地好くて、やっぱり夢じゃないの?と考えて、頬をつねってみた。
「痛っ」
「夢じゃない‥…」
「って、口説いてる男の頬つねるって?それどんな嫌がらせだよ。」
そう言いながらククッ笑い出した。美作さん
「やっぱ、牧野だわ」
そう言いながら、真顔に戻って
「俺んちの梅には、花も咲くが実もなる。ははっ、花が咲かなきゃ実はならないしな。」
「うん。」
「で、だ‥… 結婚して下さい。」
うぅっわぁーーーん 大きく泣いてしまったあたし。
中々泣き止まないあたしを、ただただ抱きしめてくれた美作さん。
「ヒックヒック‥」
「大丈夫か?」
「ヒック‥…うん。」
「結婚してくれるか?」
「ふ、ふぇーん うん。」
「来年は一緒に梅干しつけような。」
ふぅふえーーーん。
「梅干し、一回漬けたら毎年漬けないとダメなんだよ?」
「あぁ。だから一緒に漬けてくれ。」
「牧野、お誕生日おめでとう。」
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