イノセント 52 司つく
何度目の絶頂を迎えたのだろう。
身体は昂り凄まじいほどの快楽を得て司の下でよがり声を上げている。反比例するように心が冷たくなっていく。
一瞬、心と心が通じ合えたと思ったのは、やはり瞞しだったのだと__冷めた心で思ってから__つくしは目を瞑り首を振る。もともとここにあるのは瞞しだけなのだと。
次の瞬間、全てを諦めたように意識を手放し閃光の中に漂った。
司は、狂ったように喘ぎ声をあげ意識を手放したつくしの細い肩を抱き締め黒髪に顔を埋めたあとベッドに寝かせ身支度を整え部屋を出て行った。
夕焼けが黄昏時を連れて来る頃、つくしは喉の渇きで目を覚ました。渇いた喉を潤すために疲れた身体に鞭を打ち立ち上がった瞬間__
ドロリッ
司の精液が太腿を伝わる。ヒリヒリと痛む手首を見れば線状に赤みを帯びている。全てが忌々しい行為の残骸としてつくしの身体に刻み込まれていた。
痕跡を消すかのように膣口にシャワーを掛けながら指を入れ、膣内のものを執拗に掻き出した。
シャワーを浴び終えたつくしは、一番露出の少ないナイティーに着替えた。
バスルームから出てみれば、テーブルの上には食事の仕度が整えられている。つくしは飲み物だけ口にしたあと、もう一度ベッドに横たわり微睡む。
次につくしが目覚めた時、隣りにはつくしを抱き締め眠る司の姿だった。
つくしは、司を起こさない様に細心の注意を払いながら司の腕の中から這いずり出た。
部屋をでてプールに脚を入れる。
バシャバシャと脚を動かせば、水面に映る月がユラユラと揺れている
指の背を噛み水面に映る月を見る。ユラユラ揺れる月を見る。
つくしの口から嗚咽と共に小さな声が漏れている。
「なんで__同じ顔なんだろう?」
「なんで__同じ声なんだろう?」
「なんで__なんで__あたしを思い出してくれないんだろう」
神様は一番の望みを叶えてくれた……だからどうにもならない思いは、気持ちは封じ込めた筈だった。
なのに...なのに...神様は意地悪だ。
「……道明寺ぃ…会いたいよぉ。会いたいよぉ」
嫌いになれたらいいのに......
憎めたらいいのに......
なのに 許してしまう。
なのに 期待してしまう。
バシャバシャと脚を動かしながら。
つくしは涙を流す。
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