baroque 48
lapin
僕は追い詰める
lapin
可愛い可愛い
lapin
ウサギちゃんを
つくしは、手にもっていたシャンパーニュを一気に煽った。それなのに喉の渇きは収まらずウェイターに声を掛け新しいグラスと交換する。
薫が首を振りながら
「つくし、それ以上飲んだら酔ってしまうよ……」
ゆっくりと手を添わせた。
つくしは、薫の手を振り払う様にグラスを口許に運び一気に深紅のワインを煽る。
「つくし……?」
カオちゃんが心配げな表情をしながらつくしの名を呼び顔を覗き込む。
「の、喉が渇いてしまったの……」
「…そっか、でもそれなら、お水にしたほうがいいよ。お酒だと余計喉渇いちゃうし、それにつくしお酒弱いし__ねっ。あっ、私、お水貰ってくるね」
カオちゃんがくるりと踵を返せば、薫が極上の笑顔で微笑みながら
「お姫様は、少し遅い反抗期のようなんだよ」
薫の指先がつくしの項をひと撫でする。つくしの身体がビクンッと揺れる。
「カオちゃん、お水なら僕が貰って来るから__つくしと一緒にいてくれるかな?」
「あっ…はい」
薫は微笑みを称えたままその場を去っていく。
「なぁ、つくし__お前何やった?」
「何って__」
「あいつ、かなりヤバいモードに入ってるぞ」
「ユト君、そんな事ここでヤメなよ」
カオちゃんが悠斗の言葉を嗜める。
「つぅか、お前と薫__なにがあったんだよ?」
いるような視線に見つめられ、つくしの呼吸が上がる。
「あたしと薫は……」
言葉が途中迄出たところで、目の前にスッとグラスが差し出される。
「はい。お水」
「……あ、ありが……とう」
「朱雀会の方達がつくしと話しがしたいって仰てたから、それ飲み終わったら__きちんと挨拶しに行ってね」
つくしの後ろで薫が微笑みを浮かべ見守る中、朱雀会の錚々たる顔ぶれにつくしは挨拶をする。
真綿で首を絞められいく感覚に陥り思わずつくしは、首もとをするりと撫でた。
歓談の輪の中で微笑んでいるつくしに海老原夫人が
「そう言えば、つくしさんもお茶をされるのよね?」
「はい。少しですが__」
「それでしたら、是非我が家で行う初釜にもお越しになって頂戴。今年の初釜は少し趣向を凝らしてますのよ。皆さんもいらっしゃいますから是非……ねっ」
ニコリと言われ
「喜んでお伺いさせて頂きます」
東雲夫人が言葉を被せるように
「つくしちゃんも晴れて朱雀の一員ですものね。雪乃様と亜矢様にお叱りを受けない範囲でお付き合いして頂戴ね」
東雲夫人達の愉し気に笑う声が会場内に谺する。
つくしはまだ何も知らない。


ありがとうございます♪
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