No.099 生まれ変わったら花沢類でした 類つく
「類坊ちゃん、お目覚めの時間でございます」
カーテンが開かれる。眩い光が俺の頬に差す。
朝起きたら俺は俺になっていた。
うんっ?意味が解らないって?
そりゃそうだよね。
うんっ。どっか違う時空間の俺になってたんだ。
あっ、所謂 転生ってやつ?
うん、そう転生ってやつ。
余計解らないって。うん。俺も最初意味解らなくて、もう一度ベッドに潜り込んで寝たくらいだ。
それなのになんで気が付いたかって?
加代をみたら、加代が随分と若かったんだ。
で、自分の身体を見てそれから鏡で顔を見た。息が止まるかと思ったよ。慌てて新聞を開いて解ったのは、どうやらまだ俺は5才だってことだった。5才の俺、絶賛引きこもり中だ。静に外の世界に連れられて、笑顔を見せる様になって、ここで静命になるんだよね。
それはちょっと困るんで……花沢の管理コンピューターにアクセスしてちょいちょいと弄って牧野のパパさん〝牧野晴男〟を花沢関連会社の経営者にしてみた。
裏で俺が弄ってるから会社はドンドンと大きくなっていく。
あっちの世界の俺は、随分とタイミングが悪かったから、こっちの世界の俺は頑張る事にした。
ほらっ、まだ何にも始まってないから誰も傷つかないしね。
あっ、そうそう…静には司の頭を蹴るように仕向けた。単純司は、静に惚れに惚れ抜いて「静は俺様の嫁にするんだ」なんて豪語してる。
司の性格だと__多分、静を手に入れることが出来るだろう。司のお袋さんも静とならウンと首を縦に振ることだろう。
心を閉ざし、口をきかなくなってじきに一年が経つ。父さんも母さんもかなり焦っている状態だ。もう半分諦めが入ってきてる状態だ。 そりゃそうだ……どんなに名医に見せてもちっとも良くならないんだからね。
でも、大丈夫。今日、俺はつくしに出会うから。そこで楽し気にニッコリ笑って話すんだ。
クククッ いい筋書きだろ?
「類坊ちゃま、大変お似合いでいらっしゃいますよ」
真っ白のスーツにサックスブルーの蝶ネクタイ。つくしのドレスは真っ白のドレスにサックスブルーの大きなリボンが付いている筈。クククッ、これはママさんの見る情報誌をちょっと操作した。
なんだか、小さなお姫様と王子様だろ?
でもって、言葉を忘れた小ちゃな王子は、小ちゃなつくし姫を気に入って、つくしとお揃いの衣装で二人で仲睦まじく話すんだ。
パパさんの会社は花沢関連とは言え、かなりの大企業に成長してるからこのまま懇意にしていきたい。
多分、俺等はフィアンセになる。いやさせる。
つくしは、俺の笑顔が好きだしね。
扉が開く___
ホラッ、やっぱり想像通り、小ちゃなつくしが好奇心いっぱいで俺を見ている。
ツカツカと俺に近づいて来る。
「こんにちは。あたし牧野つくし」
俺はニコッと笑って
「こんにちは、俺は、花沢類」
「はなざわるい?」
「うん」
小ちゃなつくしがニコッと笑う。
父さんも母さんも口をあんぐり開けている。
母さんの瞳からは、涙が溢れ出してつくしと俺を抱き締める。
母さん、ナイス! な働きだ。
こんだけナイスな働きだったら、つくしが居る時は一緒にお話してあげるよ。
あれから15年の時が経つ。
俺とつくしは、フランスの学校に二人で通っている。
そりゃそうさ。離れたくないし、離したくない。
誰かに取られるなんて勘弁だからね。
つくしの初恋は、俺。俺の初恋は、つくし
全部のハジメテがお互いだ。
つくしは、一生懸命に俺を愛してくれる。俺もつくしを一生懸命に愛する。
「類、大好き♡」
「つくし、大好き♡」
ほらねっ
きっと皆がハッピーだ。
Reverse count 1 Colorful Story 応援してね♪
- 関連記事
-
- No.099 生まれ変わったら花沢類でした 類つく
- No.093 キュンキュン 類つく
- No.088 アッチョンブリケ 類つく
- No.083 よきにはからえ 類つく
- No.078 クワズイモ 類つく
- No.073 暗闇と薄明と 類つく
- No.068 初恋 類つく