No.100 始まりの時 司つく
花が舞い、色とりどりの風船が空に飛んでいく。
「おめでとうーー」
至る所から声がかかる。
リンゴンカンコーン
幸せの鐘が大きく大きく鳴り響いている。
隣りを見れば、好奇心に満ち溢れた瞳のお前が俺を見て俺等二人は見つめ合う。
ヒュゥーヒュゥーッと3人からの口笛が鳴れば、牧野は真っ赤に頬染めて手で顔を扇いでる。
そんな顔が相変わらずで愛おしくて、俺はお前を抱き上げる。
「ちょっ、ちょっ、道明寺」
なんて言って暴れてる。
でもな、今日は離さない。いいや、これから一生離さない。
覚悟しろ。
俺に抱きかかえられたまま、ブーケトスをする。
ウワァッーーーと、地響きがなる勢いでブーケ争奪戦が始まって、何故か……進がブーケを抱えてて、桜子と滋に〝チッ〟と舌打ちされていた。
牧野と俺は腹を抱えて大笑いする。
俺の腕からストンと地面に降りて牧野の手が俺の手を取る。
厳粛な花嫁花婿じゃ全くないけれど、世界で一番幸せな花嫁花婿の出来上がりだ。よな?
牧野の顔を見れば、なんも解らない筈なのに神妙な顔してコクンと頷いている。
「エスパーになったか?」
耳元で囁けば、デッカく笑って
「今日だけなったみたい」
なんて囁き返してくる。
クゥッーーーーーーー 反則級の可愛さだな。
「じゃぁ、俺の考えてること当ててみろ」
そう囁けば
「幸せ。幸せ。すごい幸せ」
「おっ、おぅー 大当たりだ。ってか、なんで解った?」
すげぇ小ちゃい声で
「一緒だから……道明寺と一緒だから」
ヤバッ、涙が出そうだ。
男泣き……悪くないと思うがあいつ等に一生言われると思ったら悪夢以外なにものでもない。
上を見て、空高く飛んでる風船をもう一度見る。
「カラフルで綺麗だね」
「あぁ綺麗だな」
この日の空を一生忘れない。ギュッと手を手を握りしめれば
「この空、忘れないでいようね。で、もっともっといっぱい思い出の空増やそうね」
牧野の眦にキラリと一粒涙が光った。
「あれ、あれぇ、嬉しい筈なのに……変だなぁー」
なんて言いながらキラリキラリ涙が光っている。
お前を誰よりも幸せにする。改めて決めた瞬間だ。
お前を抱き締め口づけをする。始まりの口づけだ。
「ずっと、一緒だからな」
「うん。ずっと一緒だよ」
リンゴンカンコーン
鐘が鳴り、歓声が幸福が2人を包み込む。
Fin
愛よ永遠に


Thank you
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