ずっとずっと 61
「ダメ。絶対今日がいいの。ねぇパパ〜いいでしょ?」
「由那、久しぶりに来たんだから。もう少しだけいてあげようよ。」
「わーい、パパありがとう!!」
キー キッーキッー ドン
瞬間、両親に強く強く抱かれた。目が覚めると、いつも優しいママもパパもいなくって…
渋滞に巻き込まれた帰り道、後ろから来た居眠り運転のトラックに突っ込まれ、両親は亡くなった。僕を2人で守り亡くなった。僕がかすり傷一つなく、生きていたのは奇跡だと、両親の愛情だと周りは言った。
僕が我が儘を言わずにもう少し早く帰っていれば、事故に巻き込まれずにすんだ筈だ‥…
ママ〜 パパ〜
幼い僕は、探し続けてきた。
母を、父を、探して暗闇の中を彷徨い続けて来た。
僕は僕が許せなかったんだ。いつもいつも暗闇の中、僕は歩んで来たんだ。
心の中に幼い僕を同居させながら僕は生きて来た。
つくしと出逢い僕は光に包まれた。
幼い僕を無事に天国の母や父の元に返してあげる事が出来たんだ。
横で眠っている彼女の額に愛を込め、感謝を込め、キスをする。
刹那
「‥うーん‥…つ‥さ‥ うふっ‥ふっ」
君の可愛らしい唇があの男の名を呼ぶ。
楽しい夢でも見ているのか、嬉しそうに幸せそうに
黒豹なような美しい男の名を、口にする愛おしい女。
僕の心に滓が溜まっていく
だけど、僕は僕の光を手放さない。
つくし、君を手放しはしない。
***
邸の中は快適な気温に保たれているが、外は寒いのだろう青空が澄んでいる。
「しぃちゃん 薫 おはよう。」
「亜矢さん、雪乃さん おはようございます。
「私達はこれから出かけるから、今日は二人でゆっくりしていてね。」
「そうそう、明日、棗さんと栄さんが帰って来たらお披露目の日取りを決めなくてはね」
一瞬、2人が何を話しているの解らなくなった。
次の瞬間、全てを思い出す。
あぁー あたし‥…
優しく微笑まれ
「そうそう、星野のお父様とお母様の方には、昨日の内にお父様のお勤めになっている会社の方に使いは出してお許しは頂いてますから、しぃちゃんは心配しないでね。」
「お二人ともとても喜こんでいたそうよ。弟の進さんもとても優秀でいらっしゃるのね。」
「あぁ〜 本当に楽しみ。みんな喜ぶわね。」
「これから忙しくなるわね」
どこか遠い世界で、違う人達の事を話して行くように、話しがするすると決まっていって、あたしの心は取り残されそうになる。
薫の手があたしの手を包みこみ
「つくしが戸惑っているのなら、無理には急がないから安心して。僕はいつまでも待つから」
その一言で、あたしの心は決まった。
あたしは、薫と幸せになろうと。
「ううん。あまりにもトントン拍子でちょっと驚いただけ。薫は本当にあたしでいいの?」
「つくしがいい。つくしじゃなきゃダメ。」
あたしの好きな、王子様の笑顔で微笑んだ
「くすっ、また見惚れたでしょ?」
「だ、だってーー 」
慌てて、おでこをブロックすると
あははっ 肩を震わせ薫が笑い
亜矢さんも、雪乃さんも 目の端に涙をひと雫にじませながら、微笑んでいる。
これでいいの。これが幸せなの。
あたしはあたしに言い聞かせていた。
***
亜矢さんと雪乃さんが出かけ、お邸に2人残される‥…
「つくし、もう一度聞くね? つくしは本当に僕と一緒にこれからの人生を歩んでくれるの? 勿論僕の全身全霊かけてつくしを守るし、愛する。だけど、宝珠の家に嫁ぐのは大変な事もあると思う」
「薫は、ずっとあたしの側にいてくれるんでしょ?」
「つくしが嫌だと言っても、僕は君の側にいるし、離さない。僕は生涯君だけを今と同じように愛する。それでも構わない?」
真剣な薫の瞳に見つめられ‥ あたしはコクリと頷いた。
「早く、つくしのご両親にご挨拶に行かなきゃね。君のご両親も弟さんも僕にとっては大切な家族になるんだもんね。」
そう言いながら時計をみて、おもむろに電話をかけ始めた薫。
「夜分、大変失礼致します。宝珠薫と申します。お仕事先に、使いのものが伺わせて頂いたと思いますが‥…」
薫の電話の相手は、パパとママ。しばらく話した後に‥
「つくし、お母様だよ。変わって」
「ママ?」
「つくし〜 いい人なのね。宝珠さん」
懐かしいママの声。
ママもパパも進も、とても喜んでくれて、日本に帰り次第、薫とあたしに会いに来てくれると言ってくれた。
「つくしの話してくれていた通り、いいやもっと、温かくていいご両親だね、お会い出来るのが楽しみだよ。」
そう言いながら微笑む薫。
「つくし‥…」
薫は、あたしを力いっぱい抱きしめ
「君を幸せにする。君が嫌だと言っても愛しぬく、決して一人にしない。」 そう誓ってくれた
アタシハモウヒトリジャナイ
アタシハコノヒトトイキテイク
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