baroque 56
君の身体に
peloter
赤く咲く花びらを
peloter
咲かせる
総二郎の声を聞きながらつくしの心が凪いでくる。
『あっ、具合悪いって言ってんのに悪い、つい長くなちゃったよな。名残り惜しいとこだけど__そろそろ切るな』
総二郎に優しく囁かれて
『……総、やっぱり会いたい___総の部屋に行ってもいいかな?』
『__俺は、構わないけど大丈夫なのか?』
『うん。ちょっとだけでも顔が見たいの……ダメかな?』
愛する女の願いが駄目なわけもなく
『俺は大歓迎だけど……つくし大丈夫なのか?』
『あのね、あんぽーね買って来たから持って行くね』
電話を切ったあと、服を着替えて部屋を出た。
チャイムを鳴らせば、柔らかく笑う総二郎がつくしを出迎える。
パタンッ
扉が閉まった瞬間
「会いたかった」
つくしが総二郎の胸に飛び込む。
「つ、つ、つくし……どうした?」
つくしが飛び込んできたさまが可愛くてギュッとつくしを抱き締める。
「部屋、上がれよ。なっ」
「うん。お邪魔します」
総二郎は、優しく肩を抱きながらつくしを部屋の中に通す。
「何か飲むか?」
総二郎の言葉に、つくしは首を振り
「こに居て」
ソファーに腰掛けピタッと総二郎の胸に頭をくっ付けた。
つくしの髪を指に絡み付けながら
「随分と短くしたんだな。最初解んなかったよ」
「似合わない?」
つくしが総二郎を上目遣いで見つめる
サラリッ
髪が揺れる
つくしの短い髪の毛から項が覗く。赤い花びらが咲いている。
総二郎はゆっくり目を伏せる。
「やっぱ、俺お茶淹れて来るわ。あんぽーねなら日本茶がいいか?それともコーヒーにするか?」
つくしは、小さく伸びをして
「うーーん、コーヒーがいいかな〜」
どこか上の空で総二郎が
「あぁ、OK」
返事をする。
コポコポとコーヒーを淹れる音と、香りが漂う。
カップを二つ両手に持ちながら一つをつくしに手渡しソファーに腰掛ける。
「あぁ、いい香り」
クンクンと鼻を鳴らす姿が愛おしくて__
カタンッ 総二郎は自分のカップをテーブルに置いてつくしを抱き締める。
「総……」
「ちょっと、このままにしてて」
ギュッとギュッとつくしを抱き締める。
どこから湧き出て来るのか解らない程につくしが愛おしくてたまらない。
初めて感じる人を愛する心。
「ハッ……皮肉だよな」
総二郎が小さい声で呟く。
「うんっ?」
そう言いながら、つくしが総二郎の顔を覗き込む。
「短い髪も可愛いよなぁって」
「本当に?」
「あぁ、すげぇ可愛い」
つくしの顎を持ち、目を見つめ合い口づけを交わす。
「つくし……」
総二郎の赤い舌がつくしの項を這う。
クチュリッ
紅い花びらが咲かせる。
女の狡さを抱き締めながら
愛おしさを募らせていく。


ありがとうございます♪
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