ずっとずっと 65
RRRRRRR‥…
司の婚約発表の記事が出てからひと月余り、何度電話をしても繋がらない‥…
なぜ、日本を離れてしまったのだろう。
司と牧野、見守っていこうと決意をして日本を離れた事を、俺は悔やんでいる。
興信所に頼んでも、牧野つくし の 所在がわからない。
漁村に消えた時のように、また姿を隠してしまったのだろうか？
どこかで牧野が泣いてる気がして、俺は途方にくれる。
牧野あんた、いまどうしてるの？ どこにいるの？
僕は、牧野を探しに、何が何でも一度日本に帰ろうと決心する。
花沢の方には、新しいプロジェクトの為にジュエルに挨拶に行くと告げれば、時間がとれるのでは無いかと考えていた。
RRR
スマホが鳴る‥… 誰だろうと思い画面を見ると宝珠薫の名、慌ててタップする。
「はい、花沢です。」
「突然すみません、宝珠薫です。類君、今お時間宜しいですか？」
心地の良い声音で物腰柔らかく聞かれる
「あっ、はい。大丈夫です。」
あぁ良かったの安堵と共に、宝珠薫が話し始めたのは、来週始めに行われる、KAGURAの婚約発表パーティーに来ないかとの誘いだった。渡りに船の申し込みだった。
「突然のお誘いにも関わらず了承のお返事嬉しいです。では、KAGURAの方から改めて INVITATION を送らせて頂きます。あきら君と司君にもお声をかけさせて頂こうと思っています。あっ、その時に僕の婚約者も紹介させて下さいね。 では、京都でまたお会い出来るのを楽しみにしております。」
はやる気持ちを抑え、俺は田所に連絡を入れる。KAGURAから招待状が届く旨の話しと共に、日程の調整を頼んだ。フリーの時間がなんとかとれそうな事に安堵する。
＊＊＊
つくしを抱きしめ、カウチに2人で腰掛ける。
指を絡ませ、彼女を確認する。
「薫、どうしたの？」
「どうもしないよ‥…つくしは僕の側から消えないよね？僕を一人にしないよね？」
切なそうに、薫が呟く。薫を一人になんてさせないとあたしは薫を抱きしめ返事をした。
「つくし、約束だよ。何があっても僕の元から居なくならないで‥」
抱きしめ返され、薫の指があたしの顔を撫でる。宝物を慈しむように‥…
「明日帰ろう。日本へ、僕等の家に。」
そのままキスをされ、強引に押し倒される。
強引さの中に、幼い薫が震えてる一人は嫌だと震えてる。あたしは薫を抱きしめキスをした。
アタシタチハ、ヒトリジャナイ
アタシハ、カオルヲウラギラナイ
カオルハ、アタシヲウラギラナイ
アタシタチハ、ヒトリジャナイ
思いを込めて強く抱きしめキスをした。
あたしは、あたしのこの手で退路を断った。
あの時のあたしは、何度、舞戻ったとしても、幼い薫を抱きしめキスをするだろう。
＊＊＊
「つくし、もう直ぐ着くよ」
薫に声をかけられ、目覚めてみれば，着陸態勢に入る飛行機。
今回のニューヘイブンで、あたしの人生は確実に変わったのだ。
隣に座る美しい男と共にあたしは生きていくのだ。
あたしは覚悟を決める。薫と生きていくと。
轟音を響かせ、つくし達を乗せた飛行機が着陸する。
また新しい一日が始まる。
＊＊＊
空港につくと思いもかけない人物があたしを待ち受ける。
「つくし～」
少し涙目になりながら大きな笑顔であたしを迎えてくれたのは、パパとママで‥…
ママは「おめでとう」と言いながら、あたしを抱きしめてくれた。
迎えの車に乗り込み、筒井の邸に向った。
邸内の人達から盛大なお祝いの言葉を受け、中に入ると、お花屋さん？かと思う程の色とりどりの花束と、カードの束。一際目立つ、河津桜があたしの目に飛び込んでくる。
河津桜は、祥子社長からの贈り物で、カードを開くと、美しい文字のお祝いの言葉
しぃちゃん 薫君 ご婚約おめでとう
河津桜の花言葉は、【あなたに託します】
そんな願いを込め
由那の好きだった河津桜と共に、しぃちゃんあなたに贈らせて下さい。
しぃちゃん、薫君を幸せにしてあげて下さい。
由那がしたくてもしてあげれなかった一番の願い、薫君を幸せにする事。
由那に代わってどうかどうかお願い致します。
2人の幸せを心より願っております。
＊＊＊
パパとママを入れて８人で和やかに食事をする。
パパ達が緊張しないようにと細やかな心遣いをして下さる。食事だって、普段の筒井では考えられない、お寿司とお鍋。食事が終わる頃には、パパもママもすっかり心を許し、薫達と会話を楽しんでいる。
「大切なお嬢さんと連絡もせずに一緒に暮らさせて頂いた事、大変申し訳ございませんでした。晴れてご両親につくしさんと一緒になるご報告が出来た事大変嬉しく思っています」と薫が頭を下げる。
パパとママが慌てて
「どうか、どうかつくしを宜しくお願いします」そう言いながら、頭を下げている。
ママの目の淵に薄らと涙が光る。
どこか他人事のように、幸せそうなその風景を見ていたあたし。
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司の婚約発表の記事が出てからひと月余り、何度電話をしても繋がらない‥…
なぜ、日本を離れてしまったのだろう。
司と牧野、見守っていこうと決意をして日本を離れた事を、俺は悔やんでいる。
興信所に頼んでも、牧野つくし の 所在がわからない。
漁村に消えた時のように、また姿を隠してしまったのだろうか？
どこかで牧野が泣いてる気がして、俺は途方にくれる。
牧野あんた、いまどうしてるの？ どこにいるの？
僕は、牧野を探しに、何が何でも一度日本に帰ろうと決心する。
花沢の方には、新しいプロジェクトの為にジュエルに挨拶に行くと告げれば、時間がとれるのでは無いかと考えていた。
RRR
スマホが鳴る‥… 誰だろうと思い画面を見ると宝珠薫の名、慌ててタップする。
「はい、花沢です。」
「突然すみません、宝珠薫です。類君、今お時間宜しいですか？」
心地の良い声音で物腰柔らかく聞かれる
「あっ、はい。大丈夫です。」
あぁ良かったの安堵と共に、宝珠薫が話し始めたのは、来週始めに行われる、KAGURAの婚約発表パーティーに来ないかとの誘いだった。渡りに船の申し込みだった。
「突然のお誘いにも関わらず了承のお返事嬉しいです。では、KAGURAの方から改めて INVITATION を送らせて頂きます。あきら君と司君にもお声をかけさせて頂こうと思っています。あっ、その時に僕の婚約者も紹介させて下さいね。 では、京都でまたお会い出来るのを楽しみにしております。」
はやる気持ちを抑え、俺は田所に連絡を入れる。KAGURAから招待状が届く旨の話しと共に、日程の調整を頼んだ。フリーの時間がなんとかとれそうな事に安堵する。
＊＊＊
つくしを抱きしめ、カウチに2人で腰掛ける。
指を絡ませ、彼女を確認する。
「薫、どうしたの？」
「どうもしないよ‥…つくしは僕の側から消えないよね？僕を一人にしないよね？」
切なそうに、薫が呟く。薫を一人になんてさせないとあたしは薫を抱きしめ返事をした。
「つくし、約束だよ。何があっても僕の元から居なくならないで‥」
抱きしめ返され、薫の指があたしの顔を撫でる。宝物を慈しむように‥…
「明日帰ろう。日本へ、僕等の家に。」
そのままキスをされ、強引に押し倒される。
強引さの中に、幼い薫が震えてる一人は嫌だと震えてる。あたしは薫を抱きしめキスをした。
アタシタチハ、ヒトリジャナイ
アタシハ、カオルヲウラギラナイ
カオルハ、アタシヲウラギラナイ
アタシタチハ、ヒトリジャナイ
思いを込めて強く抱きしめキスをした。
あたしは、あたしのこの手で退路を断った。
あの時のあたしは、何度、舞戻ったとしても、幼い薫を抱きしめキスをするだろう。
＊＊＊
「つくし、もう直ぐ着くよ」
薫に声をかけられ、目覚めてみれば，着陸態勢に入る飛行機。
今回のニューヘイブンで、あたしの人生は確実に変わったのだ。
隣に座る美しい男と共にあたしは生きていくのだ。
あたしは覚悟を決める。薫と生きていくと。
轟音を響かせ、つくし達を乗せた飛行機が着陸する。
また新しい一日が始まる。
＊＊＊
空港につくと思いもかけない人物があたしを待ち受ける。
「つくし～」
少し涙目になりながら大きな笑顔であたしを迎えてくれたのは、パパとママで‥…
ママは「おめでとう」と言いながら、あたしを抱きしめてくれた。
迎えの車に乗り込み、筒井の邸に向った。
邸内の人達から盛大なお祝いの言葉を受け、中に入ると、お花屋さん？かと思う程の色とりどりの花束と、カードの束。一際目立つ、河津桜があたしの目に飛び込んでくる。
河津桜は、祥子社長からの贈り物で、カードを開くと、美しい文字のお祝いの言葉
しぃちゃん 薫君 ご婚約おめでとう
河津桜の花言葉は、【あなたに託します】
そんな願いを込め
由那の好きだった河津桜と共に、しぃちゃんあなたに贈らせて下さい。
しぃちゃん、薫君を幸せにしてあげて下さい。
由那がしたくてもしてあげれなかった一番の願い、薫君を幸せにする事。
由那に代わってどうかどうかお願い致します。
2人の幸せを心より願っております。
＊＊＊
パパとママを入れて８人で和やかに食事をする。
パパ達が緊張しないようにと細やかな心遣いをして下さる。食事だって、普段の筒井では考えられない、お寿司とお鍋。食事が終わる頃には、パパもママもすっかり心を許し、薫達と会話を楽しんでいる。
「大切なお嬢さんと連絡もせずに一緒に暮らさせて頂いた事、大変申し訳ございませんでした。晴れてご両親につくしさんと一緒になるご報告が出来た事大変嬉しく思っています」と薫が頭を下げる。
パパとママが慌てて
「どうか、どうかつくしを宜しくお願いします」そう言いながら、頭を下げている。
ママの目の淵に薄らと涙が光る。
どこか他人事のように、幸せそうなその風景を見ていたあたし。
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