イノセント 75 司つく
「つくし?大丈夫?気分悪くなった?」
ホンファが心配そうにつくしの顔を覗き込む。
「ううん。大丈夫__あたし、雅哉さんの事、道明寺を吹っ切るために中途半端に受け入れてたんじゃないかって……結果的にそんな気持ちが雅哉さんを追い詰めたんだって、申し訳なくて仕方なかったの」
「つくし___」
「……ホンファさん、千里さんに会ったら__ありがとうって伝えておいてくれないかな」
「……うん。うん…伝えておく」
「あたしが言うのも筋違いだけど___千里さんと雅哉さん、上手くいくといいな」
「うん。そうだね」
ホンファがつくしに優しく微笑んだ。
黙って聞いてた滋がゆっくりと頷いたあと
「良かった良かった!……ところで__司の事で相談ってなに?」
「あぁ、うん。あのね、あのね、うーーん、ひかない?」
「うんっ?ひくって何をひくのよ?綱引き? ハハッ__って、違うって感じ…よね。ゴメン」
一人で乗り突っ込みをする滋をつくしが困ったように見つめてから
「ハハッ、あのね__あのね、あの、その、あのね、うーーん あたしって、あの み、み、魅力ないかな?」
「魅力?魅力って__それと司の事で相談って?」
「あぁ、ドウミョウジにとってつくしが魅力あるかないかってことかしら?」
コクンコクンとつくしが頷けば、滋とホンファが顔を見合わせて大笑いする。
「魅力なんて言葉じゃ言い表せないほどに魅力的だと思うよ。心底イカレテルじゃない。ねぇー で、それが相談?」
「……あ、あっ、うん」
「じゃぁ、もう解決。司にとって後にも先にも魅力があるのはつくしだけ」
「うんうん。そうそう、ほらっ、なんて言うんだっけ? これにて……うーんと、ホラッ あっ、そうそう 一件落ちゃ~く」
「あっ、ホンファ、そんな言葉良く知ってるねぇ~」
「うふふっ、実は日本の時代劇ファンなのよね~」
「あっ、そうなんだ。じゃぁ今度昔のDVDとか送ってあげるね」
盛り上がる二人の会話につくしが咳払いをする
「コホッ、コホッ、コッホンッ」
ホンファと滋は顔を見合せて
「あっ、ごめん、ごめん。でも、つくしが魅力あるかどうかでしょ?」
コクンとつくしが頷く。
「だったら、ホントそれ無問題よ。司は記憶があっても無くても惹かれるのはつくしだけだもん」
「記憶があっても?無くても?」
「うんっ、もうさ、あぁなると細胞レベル、魂レベルで好きってことだよね~」
「あっ、そぉいうことじゃなくて__あの、その、あたしのその」
「うんっ?」
「あぁ、もぉ、うんと__あのね」
つくしは、ホンファと滋の耳元に口を寄せて__
「あのね__キス以上してこないの」
恥ずかしそうに二人に話す。
「えっ、ほ、ホント?」
滋の言葉にコクンコクンとつくしは、首を振る。
頷くつくしにホンファは首を傾げ
「ドウミョウジってイン…ポテンツ?」
「ホンファっ!!」
滋に叱られたホンファは、項垂れながら
「ゴメン、ゴメン。だって、あんなにつくしにベタ惚れなのに__変でしょ?」
「うーん。それもそうよね。あっ、ほらっ、つくしの足を気遣ってるんじゃないの? うんっ、そう。そう」
「歩き回るのはまだちょっと不自由だけど……あとは平気なんだよ。それに、ホントにそれだけだと思う? なんだか物思いに耽ってる時もあるから__」
「司が物思い?嬉し過ぎるだけじゃないのぉ」
「うん。私も大河原滋に3000点」
「ぷぷっ、ホンファ、3000点ってなんの3000点よ」
「ほらっ、昔、日本でそんなクイズ番組あったでしょ」
「うんっ? うーーん? あっ! それってパパやママ達世代じゃない? かの昔だよね。 にしても…ホンファ随分日本通だよね~」
「うふふっ」
直ぐに脱線をし始める二人に、ジロリと視線を這わし
「ハァッ~~ 二人に相談したあたしがバカだった?」
つくしが嘆けば
「ゴメン、ゴメン___ねぇ、それよか。怪我する前は普通にあったんでしょ?」
つくしは、耳迄真っ赤になりながら
「あっ、うん」
「じゃぁさぁ、つくしから襲っちゃえ」
滋が小悪魔のように微笑み、ホンファが大きく頷く。つくしは、困ったように
「でも、道明寺の中のあたしって、勿論この1年のあたしもあるだろうけど、17のあの日のあたしでしょ?__なんかそれを思うと__良いのかなぁって」
つくしの言葉に滋は首を傾けながら
「あの日のつくし? なんで17のつくしが今出て来るの?」
なんで?と問われてつくしの思考はストップする。
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