Anecdote 〜悲劇 困惑 進編〜 byきぃ

進はバイトを終えて駅へ向かうため、渋谷のスクランブル交差点で信号待ちをしていた。
スマホに目を落としていると、普段から人通りも車通りも多いこの場所は騒がしいが、突如としてワァー!!!!!
っと歓声が上がった。
日本代表の試合があったのか!?
ハロウィンか!?
ニューイヤーのカウントダウンか!?
って位に大歓声が沸き起こった。
なんだろ!?
驚いて顔を上げると、進の目に飛び込んできたのは大型ビジョンに映る姉つくしの姿だった。
「ね…ね……ねぇちゃん!?!?!?!?!?!!? 」
驚きのあまり素っ頓狂な声で叫んだ進の声を、周囲は聞き逃さなかった。
「おい!おまえのねぇさんなのか!?」
コクコク
「マジかよ!?」
コクコク
途端に今度は進の周りが大歓声で包まれ、呆然と立ち尽くす進を偶々その場に居合わせた見知らぬ男たちが胴上げを始めた。
ワッショイ!ワッショイ!ワッショイ!ワッショイ!
宙を舞う進は、思考が停止していた。
おめでとう!やったなー!おめでとう!
あれよあれよとお祭り騒ぎ、しまいにはDJポリスの出動で解散となった。
それまで騒いでいた群衆が立ち去った後、地面には無残にも液晶にヒビの入ったスマホが落ちていた。
「俺のスマホ…買ったばっかなのにぃ…」
ウゥッゥゥゥゥゥゥ
「ねぇちゃん弁償しろよー!!」
再び渋谷のど真ん中に進の叫びが響き渡るのだった。
~後日談~
「あの、これは?」
「ん?見ればわかんだろ。おまえの新しいスマホだ。この前の騒ぎで壊れちまったんだろ?」
「え!?いいんですか?やりぃ!!」
進は真新しいスマホを手に好奇心いっぱいでまじまじと見た。
途端につくしの鬼の形相がディスプレイに浮かび上がって見えた。
ひぃ~!!
「やっぱり頂けません。頂くいわれがありませんから。」
そんな進の戸惑いが気に入らない司。
「いわれだと?そりゃ…フフッ…フフフ…フフ…フフフ…
弟よ。俺とおまえの仲だろ?」
思い出して、一人ニヤニヤが隠せない。
俺と道明寺さんの仲?……頭に浮かんだのは…ボワン!
司と進、それぞれ違う事を思い出しているのに二人でニヤニヤしている姿を溜息交じりに冷ややかに見ているのは有能な秘書。
コホン!
「進様、受け取って頂けないと司様のお気がすまないのです。これは人助けだと思ってお納め下さい。」
有能な秘書西田は、有能な営業マンのようにNOとは言わせないところを突いてくる。
進様にはお伝えしておりませんが、このスマートフォンはNASAが開発した最新鋭でハイクオリティの代物で、限られた者しか所有する事が許されておりません。
もちろん司様、会長、楓様、僭越ながらこの西田もその一人でございます。
これは知らないほうが良いでしょう。
thank you♪

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