Anecdote ~天使の微笑み編~ by asu

駆け巡る。
駆け巡る。駆け巡る
情報は駆け巡る。
人から人へと駆け巡る。
RRRRRRRRRRR
しつこく鳴り響くiPhoneの音に
「……うーーん、誰?」
気怠気にビー玉の瞳の王子様が目を覚ます。
面倒そうにタップして耳にあてれば__慌てふためいた声が聞こえて来る
『俺だ、俺』
『う〜っんっ そんな慌ててどうしたの』
微睡む仔猫のように伸びをしてして返事をすれば
『なんでもいいから、今送ったURL見ろ!!つぅか、お前なんでこんな早くから寝てるんだ』
なんでって眠たいからに決まってるだろうなんてビー玉王子は考えながら、早口で喋るあきらの声を聞く。
ピコンッ 接続すれば
ビー玉王子は、一気に目が覚めて、眠りの国から現実世界に舞い戻って来る。
「ぷっ、牧野__それに司...... な、な、なにやってんの クククッ」
画像を見て___どうやらツボに入ったようでクスクスクス笑い出す。
何度も画面を確認しては、クスクスクスクス笑ってる。
『おーーい 類、見たか?』
あきらの叫ぶ声がiPhoneから聞こえて
『コレ、なに?』
質問の側からクククッと笑う。
『ははっ、見てのまんま』
『あははっ、相変わらずこの二人凄いね』
『なっ、スゲェよな』
『あぁ、スゴいよね。......で、これは?ここ、英徳だよね?』
『あぁ、英徳でなんかやってたみたいで、只今ガンガン出回り中だ』
『へぇ~、これじゃ、牧野もう逃げられないってやつだね』
『あぁ、そうなるな』
類もあきらも一頻り笑って
『『じゃぁっ』』
二人の声が重なり合って__iPhoneの向こうとコチラでまたまたクククッと笑い出す。
まるで決まり事だという様に
『...じゃぁ取りあえず総二郎と滋達をピックアップして類んち行くわっ』
『あぁ、待ってる』
面白い事、見つけ~た!!って言うように
ニンマリニンマリ類の顔が破顔する。
っん? この顔は__天使の笑い?
いやいや、イタズラ天使の笑い。
「うんっ、俺も牧野にお返ししなきゃね」
赤いボックスを取り出してつくしから貰ったチョコを一つ口に放り込み真っ白なシャツをさらりと素肌に羽織った類は、ベッドを飛び出して___
「…….あっ、田村、俺。うんっ、悪い__ちょっとお願いがあるんだけどさ…….」
駆け巡る。駆け巡る。
幸せは駆け巡る。
沢山のおめでとうの気持ちと、
ほんのほんのちょっぴりだけ
イタズラな気持ちを乗せて
光の矢の様に駆け巡る。
thank you♪