明日咲く花

花より男子の2次小説になります。

君へと続く物語  第5話  written by 悠香

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 全ての始まりは、此の建物からだった。
辺りは日が落ちて、鎮まり帰る中。

『あれさ、道明寺司のそっくりさんかしら』

『えー‼それにしては、何かちょっとイケテないでしょ』

「チッ」

司は今更ながら、学園の入口に向かおうとするも。
入口の近くには、大型観光バスとワゴン車が何台も止まっている。


「突然の来訪は困ります」
と館内入口で高齢の警備員が一言。

「おい。お前達は俺が誰か、分かってて言うのか?」

「知りません、どちら様でしょうか?アポ無しでの来訪は困ります」
銀縁眼鏡の女性事務員が、フンッとふんぞり返る。

「ちょっと、高梨さん。ヤバいよ、この方は道明寺の・・・」
道明寺の名前を出した途端、高梨は更に強気な発言で噛み付いた。

「最近は道明寺司のそっくりさんだの、怪しい勧誘も有るんですよ。先日も初等部で、通学途中に盗撮騒動が発生したばかりですよ。簡単にホイホイ通すのは如何なものでしょうか」
高梨と呼ばれた事務員は、学園関係者と小競り合いになっている。


「コイツ、ババアにそっくりだな」
司はボソッと呟く。

「失礼な。これでもあたくしは未だ30を越えたばかりですの。ババア呼ばわりとは、無礼極まりありませんね」

『どっちがだ』と言おうとするも、流石にそれは止めた司である。
『オレ様に此れだけの物言い出来るんは、アイツだけじゃねえのな』
舌打ちしながらも、司は園内に立ち入ろうとした時。
館内からは黄色い悲鳴が聞こえて来た。
突然司が出現した事で、園内は大パニックである。

『キャア、道明寺司様よ』
『エー、化粧乱れてないかしら?』
『司様、一度でいいから抱かれてみたいわあ』

野次馬連中は勝手に盛り上がるばかりであるが、そんな事はお構いなしの司。

「警備の都合上も御座いますし」
うだつの上がらない警備員に、母の楓を思わせる風貌の事務員。

「オレはつくしに会いたいだけだ」
司は無理矢理にも、学園内に入ろうとするものの。

「困るんだよ、今日はシーン○○を撮り終えたいんだよ」

別の場所では煙草を吸いながら、季節外れのベレー帽を被った男と園内関係者が小競り合いの最中。
英徳学園高等部は、学園ドラマ撮影の真っ只中にあった。
学園ドラマ以外でも、オフィス物から映画の撮影にもよく使用されているのだが。
OBの道明寺司が来ただけで、この騒ぎである。
騒ぎを聞き付けて、園内で生徒役のエキストラ(特に女子)が入口に次々と集まり出す。
フラッシュの嵐に、スマホやらガラケーを取り出して大物芸能人の来訪状態である。


「つくしは、一体何処に行きやがったんだ」

撮影に全く興味すら無い司は、つくしの事以外は頭に無い。
入口から先へ行こうにも、園内は人だかりで既にウンザリして来る。

「非常階段に牧野つくしは、来てなかったか?」
近くにいた銀縁眼鏡の、高梨に尋ねる司。

「非常階段とは、何処のですか」

「あそこ以外に無いだろうが」

「建物の名前が分からなくては困りますの」

「高等部」

「高等部のどちらですか?」

「あ?んなの、オレらが作ったF4専用カフェテリア以外有るか?」

「そちらのカフェテリアなら、3年前に取り壊しとなりましたよ」

3年前に耐震補強をする都合で、カフェテリアを取り壊して、今はコンビニと飲食ブースに変化していた。
司が在学?した頃の英徳学園は、急激な変化を遂げていた。

『チッ。あそこかもしんねー』

司は建物の庭部分から、焼却炉のあった?裏庭を目指した。
今日は撮影どころか、主役クラスの女優達が司の来訪に撮影どころではなかった。
スタッフも早々と諦め、撤収作業に入り出した。
野次馬達はそちらが気になるのか、ゾロゾロと後に続いて事の成り行きを見守っている。
『ドラマ撮影よりも、此方で面白い映像が取れる』
監督は司の向かった場所で、最高の映像が取れる場所を探し始めた。


つくしは、確かに跡地にはいた。
然し司を見るなり、派手なフットワークで一発をお見舞いした。

「ってえな、いきなり愛しの彼氏様を殴る女が何処にいやがんだ」
「何が彼氏様よ。明後日の方向に逝ってくれないかしら」

館内は何が起きたのか、ひっそりと鎮まり帰るだけだった。

「オレはつくしを迎えに・・・」
「んなのは・・・・一昨日来やがれっつーの」

回し蹴り迄お見舞いするつくし。
一応、道明寺HDの次期総帥・・・らしい。
が、その肩書きもつくしの前には形無しであった。



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