明日咲く花

花より男子の2次小説になります。

君へと続く物語  第9話  written by koma

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不意打ちのキスに固まるオレ。

1日に2度もこいつから
キスしてくるなんて今まであったか?

いや、ねぇよなっ!?

それも愛の言葉付きだぞ!

そうなればもう当然のように
襲いかかろうとした、その瞬間。

ピロンッッ。
いつの間にかオレの手から滑り落ちていたケータイが鳴る。

「……」
「……」

キスでも出来そうな距離で
見つめ合ったまま固まるオレとつくし。

「……鳴ってるよ?」
「メールだ。後で見るから放っとけ」
そう言って唇を近付けたが
2人の唇の間にスッと手を割り込ませる。

「気になるから」
「……チッ!」

メールの送り主もその内容も
だいたいの予想はついている。

1度ならず2度までも!
西田のやつ、タイミングが悪ぃんだよっっ!!

メールを開いてみれば
『準備は整っております。いつでもどうぞ』
と、予想通りの文章。

隣をみればさっきまでの甘い雰囲気は消し去って
眼下に広がる夜景を嬉しそうに眺めるつくし。

深いため息をついて
リピート再生されていた動画をピッと消した。



それから飛ぶこと1時間。ジェットがたどり着いたのは
10年前、2人で過ごしたあのコテージのあるリゾートだ。

「ここ…懐かしいね」
窓から島を見下ろしていたつくしが
オレを振りむいて言う。
「だろ?お前と2人で過ごすなら
 やっぱりここがいいと思ってよ
 …それに、ほら。あそこ見てみろ」
「どこ…?あ、あれっ!」
と再び下を覗きこんだつくしが見つけたのは

ビーチにキャンドルを並べて描かれた

『Love Tsukushi』の文字


「あの頃も、今も、そして
 これからも変わらねぇ。オレが欲しいのはお前だけだ。」
そう言いながら後ろから抱きしめる。

「ありがとう……あたしも、愛してる、よ(小声)」
窓の下を覗いたままポツリと呟くこいつ。

「あ~、クソッ
 今のもカメラで撮れてりゃよかったのによ」
「バカッ。せっかく忘れようとしてたのにっ…」
「あ?いいじゃねぇかよ。
 お前との思い出なら1つ残らず記録しておきてぇぞ?」
「この恥知らず…」
そう口では非難しながらもクスクスと笑いが漏れていて
鞄からケータイを取り出すとキャンドルを写真に撮っている。

「ふふっ…今度はスペル間違ってないね」
「うっせぇ」
「でもあの時だってホントに嬉しかったんだよ
 今日だって忙しいのに一生懸命時間作ってくれてたんだよね…
 西田さんからメールきてた……ごめんね、ありがとう。」
ふふっと笑うつくしは満足気に
オレに体を預けてくる。

「…まだ終わりじゃねぇぞ」
「へ?もう じゅうぶんだよ?」
「今日はホワイトデーだぞ?
 お前が期待してた以上に楽しませてやるよ」

そうだ。
オレにとっちゃ、むしろここからが本番。



つくしの手をとり、
着陸したジェットから降り立った。




***数年後のホワイトデー***


つくしは司から受け取った
バレンタインのお返しの品を見てクスッと笑う。
「ふふっ…」
「…なんだよ」

「うん?あのね
 あの時のホワイトデーの事思い出してたの」
「……それって
 村名と馬路のクビが飛びかけた、 あのお前の逃亡劇か?」

うっかりつくしを逃がした2人をクビにしようとした司だったが
つくしから
『2人をクビになんかしたら あんたもあたしの婚約者クビだから』
なんて脅されてあっさり撤回。
おかげで2人は今もつくしのSPをやっている。

あの時、生中継で全世界に配信された映像は
瞬く間に話題が話題を呼んで、2人のストーリーは
「White Love」と銘打って映画化され、その年の賞を総なめにした。
(その映画のエキストラの1人だった樹本満里奈が
  後に国民的大女優へと成長するのはまた別のお話…♡)

「あははっ。そうそう。
 村名さんたちには悪い事しちゃったけどさ。
 ある意味一番印象深かったホワイトデーだったなーって」
「…うるせぇ。
 元はと言えばお前がいつまでも
 のらりくらりとオレ様のプロポーズ躱すからだろうが」

「まぁ、そうなんだけどさ。
 でも…あのホワイトデーがあったから
 こうして今、夫婦でいられるわけだし?
 そう思うとすごく幸せだなぁって思うんだよね」

司はそう言って笑うつくしにすでにノックダウンで
とても道明寺HD次期総帥とは思えぬだらしない顔をしていた。
そんな司を愛おしそうに見つめていたつくしがくるりと振り向く。


『……っん?
 あのあと何があったかって?それはね……』
シィーっと指を唇に当てながら幸せそうに笑った。



~fin~



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