ずっとずっと 66
一通は、先日連絡を貰った、KAGURAの婚約パーティー
もう一通は、3月に行われる 宝珠薫の LucyJewell への 代表就任パーティー
添え書きには、是非グレンダ嬢と2人でのご出席お待ちしております。と手書きの文字が並ぶ。
代表就任の INVITATION が届くと言う事は、プロポーズが実ったんだな‥‥
あの美しい男が懇願した愛する相手はどんな女なのだろうか? KAGURAの婚約パーティーにも同伴するとの話しを聞いている。
「ケッ、愛を叶えた王子様って奴か‥…」
俺は羨ましいのだろう。
愛を叶えた宝珠が。
つくしを想い、今にも雪が降りそうな空を眺めた。
***
かおるちゃんに、約束を取り付けようと、スマホを手に取りタップした。
RRR
「しぃちゃん?うわっ、グットタイミング! いま、丁度電話しようと思ってたとこだよぉー」
「っん?」
「明日の試験だけは、パラ経でもはずせない試験だからねーのーーご報告。」
「ひょっ、あ、ありがとうー す、すっかり忘れる所だったよ。」
「やっぱり~? ぐふっ 実は私もさっきユト君から言われて気が付いたとこ。」
他愛ない会話をする。
「しぃちゃんの用事は何だったの?」
かおるちゃんにそう聞かれ、話したい事があるので試験終了後、一緒に食事にでも行かないかと誘った。
「だったら、PIENEZZAでも良いかな? しぃちゃんまだ来てなかったよね?」
かおるちゃんが始めた、イタリアンおばんざいの店~PIENEZZA~にいく約束をして、スマホを切った。
スマホを見つめながら、類に連絡を入れようかどうしようか思案する……婚約が整えば、フランスに拠点をもつ花沢物産だ、少なからずともあたしの事を、類は知る事になるだろう。
類のナンバーが入ったスマホを探し、電源を入れる。夥しい数の着信履歴を目にする。類は勿論のこと、優紀、滋さんや桜子、西門さん、美作さんの名前を見つける。
皆からの誕生日祝いの連絡の返信をした後、電源が入れられる事のなかったあたしのスマホ‥…
意を決してあたしは皆にあててメールを書く。
元気ですか?
皆には沢山の心配をかけて、いっぱいいっぱい怒られそうですが、あたしは元気にしています。色々な報告があるので、皆の都合の良い時にでも会いたいです。
そう書いて送信をする。
折り返し、類から着信が来る。
「牧野、元気だったの?」
「うん。」
この人の声が聞きたかったんだと、類の声を聞いて思い出す。
「ずっと連絡しないでゴメンね」
誤ったあとにあたしは、ぽつりぽつり話し出す。
司から連絡が途絶え、数ヶ月、誕生日の日に別れの電話があった事を。
崩れそうなあたしを、支えてくれた人の存在を、あたしは話した。
黙って話しを聞いてくれた類。
「あんたが辛い時に、近くに居てあげれなくてゴメン‥…」
そう謝られ、この人はどこまでもどこまでも優しくあたしを見守ってくれていたのだと感じ、涙が出てくる。
「来週、京都に行く。その時にでも会いたい」
「うん。日にちが解ったら連絡をして」
そう言い、電話を切った。
息を吹き返したように、次々とスマホが着信を知らせる
優紀に、滋さんに、桜子に泣かれ、つくしの元気そうな声が聞けて良かったと安堵され、京都に来るから会おうと約束をした。
西門さんと美作さんからは、メールが入っていた。何度かけても繋がらない。来週そっちにいくから皆で会おうと。
胸がギリギリと痛む‥…
だけどあたしは、過去から未来に進む準備を始めた。
リビングに戻ると、薫が心配そうな顔であたしを見る。
「明日、パラ部の外せない試験だって、その帰り、かおるちゃんに INVITATION 渡してくるね。」
「一緒に行った方が良い?それとも2人きりの方がいいかな?」
「2人で話したい事もあるから、話しが終わったら連絡するね。」
「それとね、類達に連絡を入れたよ‥日にちはまだ決まって無いけど、来週会う事になったよ。行ってもいいかな?」
「勿論だよ。ただSPは付けて行ってね。」
「‥…つけなきゃ駄目?」
「行動を共にしない時はSP付けるって、前に約束したよね?」
「う、うん。」
「だったら、きちんと付けて行ってね。」
この話しはお終いだと言わんばかりに、席を立つ薫。
少し機嫌が悪く見えるのは気のせいなのだろうか?
あたしは、途方にくれる。
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