君へと続く物語 第2話 written by asuhana

仕事の合間に手を止めて
真っ青な空を眺めながら、あいつのことを考える。
Love Tsukoshi 空に描いてもらって早10年。
約束通り、大きな花束と結婚しようの言葉をもって帰って来た。あの日のことを思い出す。
英徳の正門から出た瞬間、あいつが立っていた。
大観衆が見守る中、嬉しそうに笑って
「サインしろ。サイン」
結婚届の用紙を持って立っていた。満面な笑顔と一緒にね。
慌てて首を振って
「いやいやっ、ありえないっしょ」
「なんでだ?」
「ほ、ほ。ほらっ、あたしまだ学生だし__弁護士っていう夢もあるしね…..うんと……」
「うんとなんだっ」
「受かったらね。うん。考える。また今度!」
精一杯大きな笑顔で答えたら、ブスゥッと唇を尖らせながらも
「ったく、ガンバレ」 そう応援してくれた。
次のプロポーズは、卒業式。
ニコニコ?ニカニカ?嬉しそうに笑いながら___用紙をヒラヒラさせて立っていた。道明寺が口開く前に
「あっ、ほらっまだ弁護士になってないから。ねっ」
「約束が違う」
拗ねる道明寺が可愛く見えちゃって頬にキスすれば、後ろ頭を掻きながら
「まぁ、ガンバレッ」
なんて応援してくれた。
晴れて弁護士バッチを胸につけた日が3回目のプロポーズ。
この日は、来るぞ来るぞと身構えてたから、前から決めてた台詞で断った。
あいつがくれた沢山の沢山のプロポーズを思い出す。季節の行事かっ?てぐらいに囁かれるプロポーズ。
こっちが恥ずかしくなるくらい、一直線にあたしを愛してくれる。
ウフフッ
沢山の沢山のプロポーズをする癖に、不思議な事にあいつはあたしが凹んだ時、弱ってる時には、プロポーズはしてこない。
今ならあたし『うん』って頷いちゃうよ。お勧めだよって思うのに。してこない。はじめの内は、なんてタイミングが悪いって思ってたけれど……違ってた。
やけ酒呑んであいつに絡んだ夜___
「バーカ、お前がすげぇ幸せで、それでも俺と結婚したいって思ってるときじゃなきゃ意味ねぇだろうよ」
照れ臭そうにそう言って、後ろから抱き締められた。
って…..今日のあたしはちょっぴり乙女モード。多分、あたし今すごいニヤついた顔してる筈だ。
辺りを見回して両手で顔を包み込む。
「ヒャッ、熱い、熱い」
パタパタと両手で顔を扇いでから立ち上がり、大きな伸びをした。
背伸びをしながら、あいつの優しさを大きな愛をもう一つ心に思って幸せな気持ちに包まれた。
カレンダーを見ながら指差し確認をする。
「ヨシッ」
大きなかけ声をあげた瞬間
RRRR…..カタカタと音を立てながらがスマホが鳴り響く。
タイムリーし過ぎて、ドキッドクンッと胸が高鳴った。
「…もし…もし?」
「った、なんで電話に出るのに疑問系だ」
嬉しそうに笑う声が聞こえてきたあと
「…..俺、ちょっと__に行って来るから、また連絡する」
「はっ?ちょっ、いつから?って、どこ?どこ行くの?って…よく聞こえなかっ…..」
言い終わらないうちに通話が切られた。
「ったく……慌ただしいな」
クスリと笑ってもう一度窓の外の空を見た。
真っ青な空に気持ち良さそうに雲が一つ浮かんでた。
*-*-*-*-*-*-*-*
そんなこんなが1週間程前___また連絡する?
それっいつよ? って言うくらい連絡がない。
電話は無理だとしても……メールでもなんでもあるよね?
うんっ。ある。
なのに、なのに、メール一つ寄越さない。
「はぁっーーーー」
を通り越してなんだかダンダン腹が立って来る。
なのに、なのに、極めつけに__なんだコレ?
「あのぉ、こ、こ、コレは?なんでしょ..うか?」
SPの村名さんと馬路さんに聞いてみた。
「司様のご指示でございますから」
「し、し、仕事がありますから」
「事務所の方にはきちんと連絡を入れてありますので__所長様もどうぞごゆっくりとのことでございました」
「へっ?」
って、なぜそんなことを馬路さんの口から聞いてる?
「司様のご指示でございます」
村名さんがニッコリ笑う。
で、朝からアパートに缶詰状態だ___
カチッ カチッ カチッ
あたしの怒りの感情とともに……時間だけが進んでいく。
thank you♪

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