明日咲く花

花より男子の2次小説になります。

君へと続く物語  第4話  written by 四葉

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見張りを続ける村名&馬路ペア。

「村名さん、昼飯です」

近くのコンビニでおにぎりを買ってきた馬路は、ペットボトルのお茶と一緒にビニールごと手渡した。

「お!マジかよ!新製品のウニマグロ握りじゃねーか。お前、俺の好み熟知してんな!」



「そんな〜。褒められると、図に乗りますよ」

照れ笑いを浮かべる馬路の目に、ピザ屋のバイクが目に入った。

「あ、牧野様も昼食中ですかね?」

「あぁ、ピザみてーだな。質素倹約を絵に描いたような方なのに、珍しい」

「買い置きが無かったんじゃ?」

「俺らに付き添われてスーパー歩くのは、目立つからな」

つくしが学生時代から、事ある毎につくし担当として活動してきた村名&馬路。

「あの方が、司様の奥様になられたら、道明寺家も安泰なんだがな」

「本当ですね」

しみじみと語る二人の前を、ピザ屋の配達員が横切って、ブルルンと去っていった。

しかし、ウニマグロ握りに舌鼓を打つ村名は、入った人間より出ていった人間が一回り小さくなっていたことに気づかなかった。

「マジ、うめぇ〜よ、馬路!」

「そんな〜、村名さん、褒め上手だなぁ」

この後、司から逆鱗を落とされるとも知らず、二人の楽しいランチタイムは過ぎていった。









カンカンカンカン

錆び付いた鉄製階段を駆け上ると、つくしの部屋の前に立った。

トントントン

控えめにノックをし、

「俺だ、開けてくれ」

と甘い声で訪問を伝える。

シーン

一向に反応のない室内。

ピンポン

呼び鈴をを鳴らすも、返事なし。

つくしの常套手段、居留守だ。

「いい度胸じゃねーか」

司は、ニタリと笑うと、

ピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポン

高速連打を繰り返した。

それでも出てこないつくしに、

「テメー、人が下手に出てりゃ、いい気になりやがって!このドア、ぶっ壊すぞ!」

と叫んだ。

その瞬間、司の背後に誰かが立って膝カックンをした。

カクン、ふらっ、ゴン!

「いってぇ」

ドアに頭をぶつけて蹲る司を見下ろしているのは、つくし・・・ではなく、大家のババァだった。

雨財和子、齢、八十四。

トレードマークのパンチパーマが幾分伸びて、ネットでモサモサを覆っている。

「人の家を、何だと思ってるんだい!この小僧が!」

天下の道明寺HD未来の総帥をコツンと蹴飛ばし、雨財さんは、合鍵で勝手に鍵を開けた。

「痴話喧嘩は、他所でやっとくれ」

キィーーーーー

軋む音を立てながら開いたドア。

しかし、その向こう側には、誰もいない。

「・・・おい、西田」

「はい」

「お前、ちゃんと見張らせてたんだろうな?」

「勿論にございます」

能面の男は、有能なSP達を信頼している。

その彼らが、朝から家の前に張り付き、監視を続けていたのだ。

何者かに拉致される可能性は低い。

西田は、室内と廊下、外階段をさっと確認して、再び司の元へと戻った。

「部屋に荒らされた形跡もなく、鍵もかけられております。外に出る為の階段は一つ。そこから忽然と消えるには、ご自身の意思が働いているかと」

つくしが、自ら身を隠した衝撃。

あの、雨の日を思い出し、吐き気さえ覚える。

だが、今は、楓からの妨害もなく、上手くいっていたはず。

司は、つくしに電話を掛けようとして、初めて気づいた。

つくしからの大量のメールが届いていたことに。

『おつかれさま』

『仕事、上手くいってる?』

『いつ頃帰れるのかな?』

『大丈夫?何かあった?』

出張中に送られた気遣いと愛の溢れる文面。

13日には、

『明日、何の日か覚えてるよね?』

『お願い、連絡して。』

『まさか、事故?』

短文から溢れる、つくしの不安。

しかし、14日の朝、村名と馬路を監視に付けた直後から並ぶのは、目を覆いたくなる罵詈雑言の数々。

彼女の怒らせた事は、間違いのない事実だった。

『あたしは、感情のある人間なの!物のように扱わないで!今夜0時までは、あの場所で待ってる。来なければ、絶交!』

つくしの最終宣告。

「なんで、こーなんだよ!」

これ程愛しているというのに。

結婚だって、今すぐ区役所に行きたいくらいなのに。

「一週間も放置され、軟禁の上、メールも返さない。牧野様でなくても、腹立たしいかと」

淡々と答える西田が憎い。

お前が死にそうなほど仕事を詰め込んだんだろう!と怒鳴りたかった。

だが、今は、そんな事を言ってタイムロスしている場合じゃ無い。

「あそこだ!直ぐに行くぞ!」

そして、司が訪れたのは、出会いの場であり、二人の歴史が刻まれた英徳学園。

校門を見上げ、薄暗くなる空の下、司は、フンと鼻を鳴らした。

「ざけんなよ!俺が、お前をどれ程愛しているのか思い知らせてやる!」

司は、SPも、西田も残し、一人中へと入っていった。



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