君へと続く物語 第8話 written by koma


ヘリに乗り込んで
改めて自分たちの有様を確認するオレたち。
色んな液体をかぶったつくしはもちろん、
そんなこいつを抱きしめたオレも限界に汚ねぇ。
「「………プッ」」
お互いの姿を見てどちらからでもなく笑いが漏れる。
「…とりあえず風呂だな」
「……だね」
「あ。だったら
パパたち行きつけの銭湯行く?
そう言えば今日はホワイトデーだから
お湯が白いんだって前から楽しみにしてたんだよね…」
「別にかまわねーけどよ。
今、その辺歩けばマスコミに囲まれんぞ?」
そうオレが言えば
「……やっぱやめとこっか」
なんて言いながら苦笑いをするつくし。
_とは言ったものの…。
ただでさえ
飛行機の着陸に手間取ったり、
こいつを探し回ったりで時間はおしてる。
かと言って目的の地までこのままはキツイ。
どうしたものかと思案してる所に
西田からのメールが届く。
『途中でジェットにお乗換え頂きます。
そちらの方に着替え一式ご用意しております』
さすが西田。ぬかりねぇ。
ジェットなら簡易だがシャワーも付いてる。
これならこの後の予定が潰れなくてすみそうだとホッと息をつく。
ジェットに乗り換えて
お互いにサッパリした頃を見計らったように
また西田からメールが届く。
『先ほどの映像ですが、
ドラマ撮影のフィルムの権利は
道明寺で押さえておきました』
そんな文章の最後にはURLがあって
クリックしてみれば
すでに全世界に広まった動画が流れ出した。
『ってえな、いきなり愛しの彼氏様を殴る女が何処にいやがんだ』
ケータイから流れたオレの声に反応して
つくしが画面を覗き込もうと隣に座る。
『いい加減…
俺…もう…疲れたわ…。』
つくしがオレのニットの裾をぎゅっと握る。
…お前あん時オレより傷ついた顔してたもんな。
「ひでぇ事言ってごめん…」
重ねるようにつくしの手を握ってそう言えば小さく首を振る。
動画は次第にペットボトルやら何やらが飛び交う所に差し掛かる。
その光景は赤札で全校生徒から
イジメに遭っていた頃のこいつをダブらせた。
つくしはオレに関わる事がなければ
こんな仕打ちをされるなんて事は一生なかったはずだ。
…誰よりも大事で守りたいのに。
つくしを傷つける原因はいつもオレにある。
__オレにお前の隣に立つ資格があるのか?
これまでだって何度となく頭をよぎった不安と葛藤。
だからこそ、お前がすげぇ幸せでそれでも
オレと結婚してぇって思ってる時じゃねぇと意味ねぇんだ。
それにどんなに考えても悩んでも…たどり着く答えはいつも1つ。
それがどんなに遠く険しい道だったしても。
それがお前に続いてる道ならオレは迷わずその道を突き進む。
そんな事を考えてるうちに
映像の中のオレたちは抱きしめ合っていた。
「……ホントいつもいつも しつこく助けてくれるよね」
ずっと黙って画面を見ていたつくしがポツリと呟く。
「しつこくは余計だろうが。
これから先、お前が困ってる時は絶対にオレが一番に助けてやる」
つくしをじっと見つめながら言えば
「……“ピンチの時の花沢類”じゃなかったっけ?」
なんて言いながらクスクスと笑いだす。
「てめっ!いつの話してんだよっ……」
カッとなってつい怒鳴りかければ
オレの首に腕を回したこいつから本日2回目のキス。
「……うそ。
いつも感謝してるし頼りにしてるよ。…大好き」
なんて言いながら可愛く笑った。
thank you♪

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