思い de あじさい 〜梅雨の合間にヤキモチ妬いて編〜

あらっ、なんでこんなこと?
気になる方は
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思いdeあじさい 〜恋の行方は神頼み編〜
deシリーズは、~空色の時間~ 空色さまとの共同作品♪になります。
茶々橋のウサギと亀が小川を見下ろしている。
「ウサギ見っけ」
毎年ここを通る度に、つくしの口から出る言葉。
鉛色の空から、ポツンポツンと降り出した雨が地面を濡らし始め、どこよりも青い明月院ブルーの姫紫陽花を微かに揺れる。
「あっ、雨。また降って来ちゃったね」
「うん。また降って来たね」
二人で空を見上げながら手を翳す。
ポンッ
雨の日の幸せとばかりに、傘を開いて雨に濡れない様につくしの細い肩を抱き寄せる。
「類、濡れちゃうよ」
つくしの手が傘の柄をずらす。
この気遣いが堪らないなぁ__幸せに酔いながらつくしの手をそっと握り柄をずらす。
「類」
もうと俺を咎める瞳と出会う。
お互いにお互いを濡らしたくなくて、傘を譲り合う。
だったら傘を一本ずつ持てばいい。
だけど___二人で一本の傘に入る幸せを二人で味わっている。
うんっ? 二人で一本の傘に入る__し、あわせ?
グッ、思い出す。ヤキモキしながら駆け付けた北鎌倉で目にした相合い傘の風景を。
つくしの肩をギュッと抱き寄せる。
「っん?」
いきなりどうしたの?とでもいうように俺の顔を見る。
過去にヤキモチ妬いてます。なんてバカみたいで言えないから素知らぬ顔で抱き寄せる。
つくしがくすりと頬笑みながら俺の肩にちょこんと頭をつける。
全てを見透かされてるみたいで恥ずかしいけど___何とも言えない幸せが身体の奥から沸き上がる。
俺の気持ちを知ってか知らずか
「お花のお寺はどうしますか?」
なんてことを意地悪く聞いて来る。
うーーーん、相変わらず負けてるなって思う瞬間。
「……行か…ない。つくしは行きたいの?」
ちょっぴり拗ねた俺の返事に
「あたしも行きたくない」
ニッコリ笑ってから
「もう一つの紫陽花寺に行きたいな」
なんて可愛い事を言って来る。
ヤバッ、可愛過ぎて可愛過ぎて、煩悩が幾つも幾つも湧き出て来る。
百八つの煩悩___俺の場合、睡眠欲以外は全部つくしで埋め尽くされている。
ニヤニヤが止まらないのに、冷静なふりして
「成就院のこと?」
そう問えば、
「ほっ、ほっら、来週は大切な交渉事が控えてるでしょ。ねっ。ふ、ふ、深い意味はないんだから」
頬を赤く染めたつくしがあのそのしながら早口に答えてくる。
この恋を永遠っていう形で成就させたいって強く願ってるのは俺なんだからね。
なのに、なのに
鼻の頭なんて掻いちゃって、深呼吸なんてしてさぁ、あんた、可愛過ぎるよ。
いつの間にか止んだ雨。
傘は畳んでも、二人の距離は重なったままに手を繋ぎ古都を歩く。
幸せだな。
こんなに愛せるあんたと出会えて
幸せだな。
一緒の時を過ごせて
もっともっと幸せになろうね。
そんな思いで古都を歩く。
古の思いと未来を見つめて言葉の代わりにギュッと肩を抱いた。
刹那
つくしの香りが鼻腔を刺激して、俺の頭のなかに煩悩がウジャウジャと広がっていく。
「ホント、あんたズルイよね」
耳元でポッツリと呟けば
「……気持ちは一緒だから」
き、気持ちは一緒?
なんてクラクラさせる台詞を返して来る。
折角の成就院なのに、ウジャウジャ煩悩に支配されまくりだ。
成就__うん、ヨシッ 決めた。
今のこの気持ちも成就させてもらおうっと。
つくしを見つめニッコリ笑う。
何を成就だ?

ありがとうございます♪
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