Let's be happy together 第2話

「ねえ、やっぱりアタシ達って相性悪いんじゃないの…?結婚とか言ってる場合じゃないような気がしてきた」
おい、さっきまでの可愛いオマエはどこへ行った。
キスをすればウットリとオレを見つめ、唇や舌を体のあちこちに這わせれば上質な楽器が奏でる音色のような吐息を漏らす。
が
オレのアレが相当デカイのか牧野のソコが未開発なだけなのか、まだまだ痛みばかりで気持ちよさとは無縁な様子。
「まだそういう段階に達してねぇだけだ。オレとオマエの相性が悪いわけがない。気にするな」
「だって…」
牧野がここまで落ち込むのには理由がある。
実は昨晩に引き続き、シーツを汚してしまったことを気にしているようだ。
「こんな、お屋敷の人に見られるのイヤだよ…」
「気にすんな、醤油こぼしたとか言っておけばいい」
「昨晩は大層なフレンチだったじゃない、この部屋のどこに醤油が存在するって言うのよ、不自然すぎて誰も信じないから」
うっ…
テキトーな思い付きで言ったのだがバケツを掘ったな…。
「おい、何してんだよ」
ふと牧野を見ると着替えを済ませてベッドに敷かれたシーツを引き抜いている。
「洗うんだよ。このまま洗濯してくださいとは言えないでしょ?」
いや…オレは普通に言ってるぜ。
中学の時初めて夢の中で爆発した時も、シーツはもちろん下着も平気で使用人に洗えと言ってたし。
まあ、相手がタマだったからってのもあるけどな…。
「そのままにしておけよ、そんなの誰も気にしねぇし」
「だって洗うのきっとタマ先輩よ!?先輩にこんな恥ずかしいものを見せるくらいなら自分で洗うからほっといて!」
ほ…ほっといてだと!?
しかもなんでコイツはこんなにキレてんだ!?恥ずかしいってなんだ?
おかしい…なにかが確実におかしい…。
「おい…そんなのいいから今日はどっか出かけようぜ」
牧野を『道明寺つくし』にするためには今まで離れていた分を取り戻すくらい多くのデートをして、より多く体も重ねなきゃならないんだ。
ベッドを共にしたなら今度は外出。
オレはどこかへ出かけて楽しもうと牧野に声をかける。
「もう…時間経っちゃったからかな…なかなか落ちないよ…参ったな…」
おいっ!!!
まぁいい…。そういう気分じゃないというのはよくわかった…。
「こっちに来て一緒にワイハの雑誌でも見ようぜ」
「えっと…シーツは白だし漂白してOKね。中性洗剤でよく洗って…ああ、なるほどね。歯ブラシでトントンと…気を付けないと乾くと輪ジミになるのね…」
き…聞いてねぇし…。なんだよあのデカイ独り言…。
***
結局血液のシミを落としたシーツをテラスに干すまで1時間。
牧野はブツブツ言いながらオレの誘いをスルーし続けた。
「あ、ごめん道明寺!で、なんだっけ?」
・・・・・・。
「もういい…とりあえず座れよ」
「え?うん、わかった」
ソファに牧野を座らせ
「どっか行きたいとこあるなら行こうぜ」
そんな風に言ってみる。
「う~ん、特にないかなぁ」
おい、たくさん楽しいデートがしたいと言ったのはオマエだぞ?
特にないとはどういうことだ…。
「なんかないのか?買い物でもいいしテーマパーク的なもんでも…ど、動物園ってやつでもいいし、なんなら庶民デートってのに付き合ってもいい」
「今日はそんな気分じゃないのよね…」
「それなら旅行の話でもするか?」
「なに、旅行って」
オレは牧野の額に手を当てた。
熱はないな…。
「なによ…別に具合は悪くないってば…えっと…なんていうかその…まだヒリヒリするっていうか…」
「ヒリヒリ?」
なぜか牧野の顔は真っ赤になっている。
ヒゲがあるわけじゃねぇし、日焼けするようなこともしていない。
いったいどこがヒリヒリするって言うんだ?
「どこがだよ」
「バッ、そんなこと言えるわけないでしょ!?」
「なんだよ、オレにも言えねぇのか?別に誰に言うわけでもねぇし、ちゃんと言ってみろよ。あまりひどいならドクター呼ぼうぜ」
「うるさいな!もういいから聞かなかったことにしてよ!」
「オレはマジでオマエのことが心配なんだよ!どこがヒリヒリするのかハッキリ言えよ!」
「マジでしつこい!!ホントにもうやめて!!」
「オレはオマエとどんなことも共有してぇんだよ!オマエが辛ければオレも辛い、具合が悪ければ遠慮なく言えよ!オレ達近い将来結婚すんだぜ?隠さずになんでも言ってくれよ!」
見れば牧野は下を向いて震えているようにも見える。
だ、大丈夫なのか?本当に具合が悪いんじゃないのか?
「おい!具合悪そうじゃねぇかよっ!救急車呼ぶぞ!なんならドクターヘリ…」
「うるさいっ!!!!アンタのアレが大きすぎるから今もヒリヒリしてるって言ってんだよっ!」
…
……
………
…………
なんだと?
ポカンとしているオレにクッションを投げつけた牧野は、真っ赤だった顔を更に赤くさせ、目を吊り上げて部屋を出ていった。
その後ろ姿はとても歩きにくそうで、デリカシーのない自分自身の発言に頭を抱えるしかなかった。
すみません、Happyending様の素敵なオープニングをぶっ壊す意味不明なお話。
後の人のことを全く考えないKYなお話でごめんなさい。
ぶっつけ本番のガチリレーではこれが限界です…ホントすみません(◎_◎;)
そんなわけで本日定時の「同居人シンドローム」はお休みさせていただきます。
執筆が間に合えば、18時に更新しようと思いますが…期待せずにお待ちくださいませ。
で、ですね…
僭越ながらお待ちかねの第3話担当を指名させていただきます。
実はこれもアミダで決めました(笑)
では皆様 いってらっしゃいませ!!
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