Let's be happy togetter 第3話

牧野が出て行った扉を
しばらく呆然と見るともなく見つめて固まっていたが
ハッとしてすぐに追いかけるようにオレも部屋を出る。
『Let's be happy together』 第3話
うちの使用人どもが
あんな歩き方してる牧野を歩いて帰すわけがねぇ。
あいつが帰ろうとしたなら無理やりにでも車に乗せるはず。
車を出すならオレにも一言連絡があるはずだ。
その知らせがねぇって事はあいつはまだこの邸にいるって事になる。
……しかし、どこ行きやがった?
この邸の中であいつが行きそうな所と言えば、やっぱタマの所か。
そう思ってすぐにタマの部屋に向かい、ノックもなしに部屋に押し入る。
「…なんです、坊っちゃん。
いくらこんな老いぼれとは言え、
女性の部屋に入るならノックくらいしたらどうなんです」
と呆れたように言うタマは興味もなさそうに茶をすする。
そのちゃぶ台の上には
今タマが使ってる他に湯呑なんかは出てねぇ。
「おい。牧野ここに来なかったか?」
「つくし?来てないねぇ…。
なんだい。帰国早々ケンカしたってのかい。
こりゃ赤ん坊を抱っこできる日もまだまだ遠そうだねぇ…」
と盛大にため息をつく様子は
とても牧野を匿って嘘を言ってるようにも見えず…。
っつーか、赤ん坊とか今は牧野に絶対言うなよっっ!
『あんな痛いのに、妊娠するまでするなんて…絶対無理っ!』
とか言ってマジで逃げ出しかねねぇ…。
「……タマ。お前も一応女だよな?」
そう言ったオレにタマは近くに置いてあった
自分の杖を手に取る。
「あたしにも喧嘩売ってるんですかい?」
「違ぇよ。その…よ。あれだ。
初めての時って女はそんなに痛ぇのか?」
さすがのオレも多少の気まずさは感じながらもそう聞けば
タマはオレらの喧嘩の理由に察しがついたようにため息をつく。
「そりゃ個人差はあるだろうけどねぇ。
坊っちゃんとつくしの体格差を考えれば相当なモンじゃないのかい。
女にとっての初めてってモンは特別でそれなりに夢見てんだよ。
その辺の女心くらいちゃんと汲み取ってやらないと……。
このままSEXに幻滅しちまったら、もう一生出来ないかもしれないね」
そう言ってケラケラ笑うタマの声が頭の中で何度も響く。
マジかよ…。
一生できねぇって…そりゃねぇだろうがっっ!!
オレは…オレは…すげぇ気持ち良かったぞ。
よくも今まであれを知らずに生きてこれたもんだと衝撃を受けた。
あまりの気持ちよさに
総二郎たちが遊んでるのもわかんなくもねぇ、とさえ思った。
……。
だからってあいつらとオレは違うからなっ!
気持ちよけりゃ相手が誰でもいいってワケじゃねぇ。
あいつだから…牧野だから最高なんだ。
その他の女なんて触れる気にもなんねぇよ。
できればあいつにだってそう思ってもらいたい。
…ってオレがこれからそう思わせてやんなきゃなんねぇのか。
でもまぁ、なんとかなんだろ。
大体オレと牧野の相性が悪いなんてあり得ねぇ。
だってオレたちは運命共同体だろ?
誰よりも相性がいいはずなんだ。
まだ慣れてねぇだけで
あいつをイカせられるのはオレだけのはずだ。
そんな事を考えながら
タマの部屋を後にしたオレはしばらく闇雲に
手当たり次第部屋を探し回っていたが
ふとある部屋が頭に浮かんだ。
それは小さなリネン室。
あいつがババァに隠れて使用人やってた時に
とりあえずの隠れ場所として使ってた部屋。
姉ちゃんはもっと広いちゃんとした部屋を用意しようとしてたが
あいつはあの小せぇ部屋が一番落ち着くと言ってそこを動かなかった。
オレが追い詰めちまったせいでとんでもねぇ事叫んでたからな。
今頃パニックな上に後悔して悶絶してんだろ?
1人になりたいならあそこしかねぇ。
カチャ…っと、
静かにドアを開けてみれば部屋の隅にあるベッドの上に
こんもりと盛り上がった布団の塊がある。
…ククッ。
なんだアレ。それで隠れたつもりかよ。
可愛すぎだっつーの。
布団ごと抱きしめれば中身が小さくビクッと動く。
どうやらオレはこいつの後ろから抱きつく形になってるらしい。
「気がつかねぇで、悪かったよ」
「……」
「でもよ…オレはすげぇ幸せだったから
お前もそうに違いねぇって思い込んじまったっつーか…」
その言葉にピクッと反応したこいつは
「……あたしだって嫌だったわけじゃないもん。
ただ、ビックリするくらいすんごく痛かっただけで…」
なんて小さく呟いた。
「それによ…不謹慎だって怒るかもしんねぇけど
具合の悪いお前のそばにいられるのもちょっと嬉しかったんだよ」
「なにそれ」
牧野の声がちょっと低くなった。
「だってよ。今まではお前が風邪とかひいたって
オレは遠いNYでやきもきするだけで何もしてやれなかっただろ。
お前の様子をこの目で見て大丈夫かって言えるこの距離が嬉しいんだ」
「……ふぅん」
興味なさそうに答えたその声は1トーン上がった。
嬉しいなら嬉しいって言えよ。ほんと素直じゃねぇ。
「だからよ…いい加減出てこいよ。
これじゃオレ布団に抱きついてる怪しい奴だろ」
小さく息をついて
腕の力を少し緩めてやれば
もぞもぞと動き出して
最初に手、次に足。そして頭がひょこっと出てきて
振り返るようにオレを見る。
ずっと潜ってたからなのか、
照れてんのか知らねぇが、こいつの顔は赤い。
やべっ…。
昨日の可愛いこいつ思い出しちまった。
すぐに思考を違う方へと持って行こうとしても
あの快感を知ってしまったばかりのオレのムスコは即座に反応しやがる。
「………何か当たってるんだけど」
布団越しだからバレねぇと思ってたが
しつけの悪ぃというか素直すぎるオレのムスコは
しっかり牧野に主張しちまっていた。
「しょうがねぇだろ。オレは今からだってもう1回シてぇくらいなんだし」
バレてるのなら仕方ねぇと正直に言えば
「…っ」
牧野の体が一気に強張る。
「そんな構えんな。傷つくだろうが。
お前が嫌がってんのに無理強いする気はねぇよ」
「…ごめん」
「謝んなくていいっつーの。…まだ痛ぇか?」
「…ん。ちょっとだけ」
困った顔してそう言うこいつを布団から引っこ抜くように抱き上げる。
「とりあえず部屋戻んぞ」
「やっ…。自分で歩くから…っ」
降りようと暴れるこいつだが
やっぱりまだ痛いのかいつもほどの勢いはねぇ。
「無理すんな。まだ痛ぇんだろ?
恥ずかしいなら寝てるフリでもしてろ。
なんだったら布団に包んだまま運んでやろうか?」
「……うぅ。余計に恥ずかしいでしょ、それ」
そう言って諦めてオレの服に捕まるこいつ。
「よし。今日はおうちデートってやつでもすっか」
歩きながらそう言ったオレを見上げるこいつ。
「家でまったりするのも恋人同士っぽいんじゃねぇの?
行きてぇ所がねぇなら部屋で過ごせばいいだろ」
「ん…。ごめんね、ありがとう」
「謝んなっつってんだろ。
オレはお前が隣にいれば何だっていいんだよ」
そう言って髪にキスを落とせば
ようやく牧野がクスッと笑った。
お前さえいればいいっつーのは嘘じゃねぇ。
だからお前もとっとと覚悟決めて道明寺つくしになれよ。
~ 第4話へ続く… ~
ふぅぅ…。
やっぱりkomaが書くとお話が緩む(^^;)
おまけに、ただ振り出しに戻った感が否めませんが
この後の2人がどうなるのかは
無責任に次の方へと放り投げます(笑)
その指名はやっぱり決められなかったので
クジを作って愛犬に選ばせました(((*≧艸≦)
そんな我が家の愛犬が選んだ次の走者は…
ドロドロドロドロ…(ドラの音)
※各自いい感じに盛り上がって下さい。
ジャジャーンッ!!
Tresor~*トレゾア*~」から
Tsukasa&Tsukushi’s Diary
お引越しされた、きぃさんですっ!!
よろしくで~す(*^^*)
うふふっ。
この方ならきっとお話を素敵に繋げてくれるはず♡
楽しみにしております♪
あ、それとですね。
やこさん、komaと即行でバトン渡していってますが
あくまでも猶予は3日あります。
ただバトン持ってるのがイヤで急いだだけですので
明日きぃさんが第4話書いてなくてもガッカリしないで下さいね(笑)
そしてきぃさんの気分次第では
「もう一回komaが書け~!」って
パスを使ってキックバックだって出来ちゃいます。
あまり妙な話を投げつけると自分に返って来る、という仕組みです。
イタズラ心でぶっこみすぎると自爆するシステム。
これが一番怖い(笑)
指名に応えてきぃさんが書いてくださる場合、
第4話は6日・7日・8日 のいずれかの am6:00 にアップされます♪
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