Let's be happy together 第1話

俺・・すげぇ、幸せかも・・。
月明りが部屋を照らす夜更け。
俺の腕の中には、最愛の女。
俺はこの4年、こいつを手に入れるためだけに努力してきた。
そして今日、こいつが恋しくて苦しんだ日々も終わった。
あの4年の約束通りに、俺は彼女の元へ帰って来た。
「ただいま。」
「お帰り。」
ただ互いに見つめ合い、交わした言葉はその一言だけ。
そして二人、手を繫ぎ、邸へ戻った。
懐かしい、俺の部屋。
どちらからともなく、唇が合わさった。
こいつの唇に触れるのは、1年ぶり。
その柔らかさと甘さに、脳内が痺れる。
ふっと、鼻腔を擽るのは、彼女のシャンプーの香り。
ドクンッ。
俺の心臓が大きく鳴った。
もう・・押されらんねぇよ・・
どんどんキスを深めていく。
互いの唾液が絡み合い、どうしようもなく求め合う。
口付けたまま抱き上げて、そのままベッドの上。
俺は彼女を組み敷いていた。
いつも強情な彼女が抵抗しない。
それって、お前も同じ気持ちだってことだよな?
プツンと自分中の何かが切れて、
貪るように彼女に食らいついた。
どうやって服を脱がせたのかも思い出せない。
あっという間に互いに全裸になり、
彼女の柔らかさに夢中になって、
彼女の熱さに翻弄された。
___俺は、今日、初めて彼女を抱いたんだ。
カーテンから洩れる月明りが、彼女の疲れ切った頬に注がれる。
俺は、そっと、その頬にキスを落とした。
愛してる。
これからは、ずっと一緒だ。
絶対に離さない。
必ず幸せにする。
一生だ。
それが、愛する女を抱いた、男の責任。
***
「ん・・・」
「起きたか?牧野。」
「んん・・・えっ、どっ、どーみょーじっ!?」
何をそんなに焦ってんだか、この女は。
俺は、お前の彼氏だろ。
つーか、昨日、初めて抱き合った恋人だ。
ガバッとシーツをつかんで、胸元を隠す牧野。
寝ぼけ眼も超可愛い。
「あっ、やっ、えーと。おはよ・・。」
「はよ。」
真っ赤になってやがるこいつ、可愛い過ぎんだろっ。
「体、大丈夫かよ。」
チュッとキス・・・
「ぐえぇっ!」
牧野に顎を張り手された。
今更何を照れてんだ、このバカ女。
「だっ、大丈夫っ!あたしっ、シャワーするから。あんた、向こう向いてっ!」
「あ?」
「いいからっ。」
「ちょっと待て。」
「やっ。」
「待てって、牧野。マジな話。」
色気もへったくれもねぇ。
ベッドを抜けようとする牧野の腕を掴んで押さえた。
驚いた牧野が、でけぇ目をさらに見開いて俺を見つめる。
やべっ、すげぇ可愛い。
「牧野・・マジな話。結婚しよ。」
「・・・?」
「牧野、返事。」
「はい??」
「よっしゃ、OKっつーことだな。」
ガッツポーズをとる俺の胸を、牧野がドンッと押した。
「ちっ、違うからー!!」
「は?」
「あっ、あんたっ、一体、何考えてんのよっ!」
「だから、結婚。」
「どうして、急にそんなこと言うの?」
「急じゃねぇよ。ずっと、考えてた。帰国したら結婚するのが俺の夢だった。そのために、4年頑張った。」
じーっと牧野を見つめて言う。
俺は、本気だからな。
「そんな・・・道明寺・・。」
「お前には、もう、俺しかいねぇだろ?」
昨日、愛し合った仲だろ?
お前に、俺以外の男なんて必要ねぇだろ?
ババァやオヤジも俺らのことを認めてる。
だから、プロポーズを断る理由なんてないはずだ。
「そっ、それは、そーだけどさ・・。」
そーだけど、何だよ?
お前は、俺と結婚したくねーのかよ?
「そうじゃないよ。新婚旅行は道明寺と一緒にハワイって決めてるし!でも・・でもさ。だって、今までずっと離れてたんだよ?それなのに、いきなり結婚って、おかしいじゃない。」
訳わかんね。何が、おかしーんだ?
「だからっ、ほら。普通に、食事に行ったり、ドライブに行ったり・・とか、そーいうデートとか、全然してないじゃん。」
デート??
そんなん、いくらだってしてやるよ、これからは。
「普通の恋人同士のデートもしないで、結婚なんて、ありえないしっ!」
ふーん。そーいうもんか?
「それに・・。なんか、不安なんだもん。」
何が?そんな、不安、俺が掻き消してやるから。
「だって・・昨日の・・とか・・。」
「昨日の・・何だよ?」
ドキッ!!昨日のって、SEXのことか??
マジかよっ!俺、ダメ出しかよっ!
やべ、マジ凹む・・・
「だってね。桜子たちが言ってたんだ。やっぱり、その・・相性が合わないと離婚の原因になるって・・。」
離婚?
合わない?
SEXの相性っ?!
つっ、つまり、それは・・
昨日の俺には・・不満ってこと・・だよな・・。
ショック・・・でけぇ・・・かなり・・いてぇ・・。
「だって・・だって・・すっごく痛かったんだもん。本当に、あんなに痛いものなの?あたし・・あんなんじゃ、あんたを、気持ちよくさせてあげられないでしょ?」
は?
「それに、ずっとあんなに痛かったら、もうできないかも・・。あたし、きっとオカシイんだよね。欠陥品なのかも・・ぐすっ・・。」
はぁ??
何言ってんだよお前っ!
どうする?どうする?
どうすんだ?俺っ!
「牧野!ちょっと待て。お前、勘違いすんなっ。」
「ぐすん。」
「俺が結婚しよって言ってんのは、そーいうことしたいからじゃねーからな。そりゃ、好きな女は抱きてぇよ。でも、それ以上に、お前のことが好きだから、ずっと一緒にいてぇんだよ。もう、離れたくねぇ。」
「ぐすん・・・道明寺・・。」
「それにな・・その、あれだ。SEXっつーのは、やってるうちに感じてくるもんなんだよ。お前にはわりぃけど、俺は、すげぇ気持ち良かった。ごめんな、お前は、痛いばっかりで。」
「道明寺、気持ち良かったの?」
「当たり前だろ?最高だ。俺はお前しか欲しくない。」
牧野が涙目で俺を見る。
めちゃくちゃ可愛い。
「だから、心配すんな。俺が教えてやっから。俺たちの相性が悪い訳ねぇだろ?」
「ぐすん。うん。」
牧野の髪をゆったりと撫でる。
「デートだって、何だって、いくらだってしてやる。お前の望みは何でも叶えてやる。」
「何でも?」
「あぁ。」
本当だ。
お前のためなら、何でもする。
海でも、ドライブでも、高級レストランでも、どこだって連れて行ってやる。
犬は勘弁だけど、仕方ねぇから、庶民のデートだって付き合ってやる。
「だから、俺と結婚しろよ。」
牧野の瞳をじーっと覗き込んだ。
返事しろよ。早くっ。
「絶対?」
「あぁ。」
「デート、たくさんしてくれるの?」
「あぁ。何回でも。どこへでも。」
不安そうな牧野の顔。
そんな顔すんな。
「次は・・・痛くない?」
うっ・・そりゃ、少しは痛ぇだろーけど・・
「努力する。」
真摯な俺の姿に、牧野も覚悟を決めたらしい。
「たくさん、楽しいデートがしたい。それで、その・・・本当に気持ちよくなれるって分かったら、そうしたら・・・結婚考えるから・・。」
デートして?
気持ちよくなって?
そうしたら・・・!!
「ほんとだな?そうしたら、ハワイで結婚式だからなっ!」
そう叫んだ俺に、牧野は恥ずかしそうにコクンと頷いた。
ヤッタ!!!
そして、俺は密かなる闘志を燃やす。
デートは俺の十八番だ。
あっちのほうは、少しずつ、慣れさせればいい。
そして最後は、新婚旅行どころか、結婚式もワイハだろ?
どーってことねぇよ。
この勝負。
俺の勝ちは見えている。
必ず、お前を手に入れる!
待ってろよ!牧野つくし!!
第1話(終)
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さて!スタートを切りましたガチリレー!
書いた者のみが許される、次走者指名!
ちゃりらーん。
第二走者は!!
これまた、くじ引きで(笑)、
お話のタイトルを決めて下さった・・・『やこさん』へ。
皆さん、どうぞお楽しみに。
そして、やこさん。ごめんなさい、予想通りだった??
バトン渡しました~。
よろしくお願いしまーす。
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