ずっとずっと 69
「つくし、つくし、どうしたの?」
薫があたしの名前を呼んでいる‥…
「つくし、僕をちゃんと見て。何があったのかをきちんと話して?」
部屋に戻ったあたしに薫がそう言ってくる。
あたしは、何にショックを受けているのだろう?
司が正式に婚約した事?
薫があたしに隠してドウミョウジの婚約パーティーに出た事?
合同プロジェクトの話?
ナニヲハナセバイイノカ、アタシニハワカラナイ
どうしていいか解らなくなって
「お風呂に入って、着替えて来る」そう言って、薫の側を離れた。
***
TSUTSUIの教室を出てからのつくしの様子が変だ。
僕が話しかけても、どこか上の空の彼女。
一体、僕が席を離れた隙になにがあったのだろう?
彼女がどこか遠くに行かないように、彼女の身体を抱き寄せ車に乗り込む。ペントハウスに着くまでに何度彼女の名前を呼んだだろうか。彼女は終始、上の空で‥…
2人の部屋に戻り、僕は彼女に
「つくし、僕をちゃんと見て。何があったのかをきちんと話して?」そう問いただす。彼女は答えずにお風呂に入ってくると言って僕の側を離れた。
彼女が部屋を出たあとに、ノアに電話をして何があったかを聞いた。
つくしが全てを知ってしまったのだと知る。
僕もシャワーを浴び、つくしときちんと話すために彼女を待った。30分ほど経っただろうか?いつまでも来ない彼女が心配になり、バスルームに行き声をかけた。
「つくし?」
シャーシャー
返事は無く、シャワーの音だけが響いている
コンコン
「入るね‥」
彼女が服を着たままシャワーを浴びている。シャワーは水のままで‥‥彼女の身体は冷えきっていた。
僕は慌てて、シャワーのコックを切り替え、お湯を出す。同時に彼女を抱え、お湯が張られた浴槽の中に2人で入る。彼女の体温が少しずつ戻ってくるのを感じる。彼女の服を脱がせ、僕も服を脱ぎ、良く温まるまで彼女を抱きしめお湯に浸かった。紫だった唇がピンクに色づく頃、彼女を抱きかかえ浴槽を出る。
彼女をベットに腰掛けさせ、ドライヤーで髪を乾かす。
彼女が、つくしが、声も立てずに泣いている‥… ドライヤーの音と彼女の涙。
「黙っていてゴメン」僕は彼女を抱きしめる。彼女は首を横に振り続ける。僕は彼女を抱きしめ続ける。僕の腕の中で少しずつ落ち着きを取り戻して行く彼女。
僕はもう一度彼女に謝罪する。
「黙っていてゴメン。」と。
NYには、道明寺とボズウェルの婚約パーティーに参加する為に行った事。その席上で合同プロジェクトが決まった事、類君とあきら君に会い、彼等もこのプロジェクトには参加する事。このプロジェクトが成功すれば道明寺財閥も安泰だろうと言う事。動き出したプロジェクトから、僕が手をひけば、道明寺財閥だけではなく、花沢も美作もかなり拙い状態に陥るだろうという事、諸々な事を僕はつくしに話した。
来週のKAGURAの婚約パーティーにも彼等が来る事も話した。
「なぜ?」彼女が小さく呟いた。
「黙っていてごめん。」僕はもう一度謝り、君を抱きしめた。
明け方近くまで、黙って彼女を抱きしめ続けた‥…
僕の腕の中で彼女が眠ってしまうまで僕は彼女を抱きしめ続けた。
***
目が覚めると、隣にあたしを抱きしめて眠る薫がいる。
いつもと違う無防備な、その寝顔を見ていたら、雪月堂で出逢った時の薫、桜の野点で再会した時の薫、ジュエルで一緒に仕事をしている薫、二人でここに住み始めた時の薫、両親の話しをしながら泣いた薫、あたしが傷つき空っぽになってしまった時あたしの側にいてくれた薫、プロポーズを了承した時の嬉しそうな薫 全てを思い出した。
この人はいつもあたしを守り、寄り添ってくれているんだと深く思う。
あたしは、指先で薫の顔をなぞる。美しい彫刻のような顔。だけどその美しさは司とは違うものだと、あたしの指先が語る。
あたしは知っている、これからの人生、司に恋し焦がれたように、激しく狂おしい恋する事はもう無いと言う事を‥…
だけど、そうだけど‥…あたしは思う。穏やかに寄り添う思いを、愛に変える事は出来ると。
あたしは、再び眠りに落ちる。薫の胸の中で‥…
そして、新しい朝を迎える準備をする。
***
冷たい水を浴び続け、身体中が冷えきる彼女を見つけた時、心臓が止まる程驚いた。
彼女を抱きしめ、顔に色が差すのを待つ間、彼女がこの世から消えてしまう恐怖を感じる。
これはエゴなのだろうか? 僕のエゴで彼女を苦しめている? ソウダソウダオマエノエゴダ 僕を責める声が聞こえる。
僕は、つくしを抱きしめ途方にくれる。
僕の愛は、幼子の様に、叶わぬ思いに駄々を捏ね‥つくしが欲しいと泣き叫んでいるだけではないのだろうかと。だけどだけど、僕は彼女を手放せない。
他の何も要らない。地位も名誉も、友も肉親も、悠斗さえも僕は要らない。
彼女が居てくれさえすれば‥…それでいいんだ。
君を手放してあげたら、君は僕に感謝する? 感謝? いいや違う‥…感謝なんて望んでいない。
僕が欲しいのは、たった一つ彼女だ。
君に恨まれようとも、僕は君を手放せない。彼に対する君の気持ちに気付かぬ振りをして、僕は君と生きて行く。
光があれば影が出来る。僕は光も影も全ての君を愛していく。
「つくし愛してるよ」彼女の額にキスをして、決して離さないように彼女を抱きしめ眠りに落ちる。
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薫があたしの名前を呼んでいる‥…
「つくし、僕をちゃんと見て。何があったのかをきちんと話して?」
部屋に戻ったあたしに薫がそう言ってくる。
あたしは、何にショックを受けているのだろう?
司が正式に婚約した事?
薫があたしに隠してドウミョウジの婚約パーティーに出た事?
合同プロジェクトの話?
ナニヲハナセバイイノカ、アタシニハワカラナイ
どうしていいか解らなくなって
「お風呂に入って、着替えて来る」そう言って、薫の側を離れた。
***
TSUTSUIの教室を出てからのつくしの様子が変だ。
僕が話しかけても、どこか上の空の彼女。
一体、僕が席を離れた隙になにがあったのだろう?
彼女がどこか遠くに行かないように、彼女の身体を抱き寄せ車に乗り込む。ペントハウスに着くまでに何度彼女の名前を呼んだだろうか。彼女は終始、上の空で‥…
2人の部屋に戻り、僕は彼女に
「つくし、僕をちゃんと見て。何があったのかをきちんと話して?」そう問いただす。彼女は答えずにお風呂に入ってくると言って僕の側を離れた。
彼女が部屋を出たあとに、ノアに電話をして何があったかを聞いた。
つくしが全てを知ってしまったのだと知る。
僕もシャワーを浴び、つくしときちんと話すために彼女を待った。30分ほど経っただろうか?いつまでも来ない彼女が心配になり、バスルームに行き声をかけた。
「つくし?」
シャーシャー
返事は無く、シャワーの音だけが響いている
コンコン
「入るね‥」
彼女が服を着たままシャワーを浴びている。シャワーは水のままで‥‥彼女の身体は冷えきっていた。
僕は慌てて、シャワーのコックを切り替え、お湯を出す。同時に彼女を抱え、お湯が張られた浴槽の中に2人で入る。彼女の体温が少しずつ戻ってくるのを感じる。彼女の服を脱がせ、僕も服を脱ぎ、良く温まるまで彼女を抱きしめお湯に浸かった。紫だった唇がピンクに色づく頃、彼女を抱きかかえ浴槽を出る。
彼女をベットに腰掛けさせ、ドライヤーで髪を乾かす。
彼女が、つくしが、声も立てずに泣いている‥… ドライヤーの音と彼女の涙。
「黙っていてゴメン」僕は彼女を抱きしめる。彼女は首を横に振り続ける。僕は彼女を抱きしめ続ける。僕の腕の中で少しずつ落ち着きを取り戻して行く彼女。
僕はもう一度彼女に謝罪する。
「黙っていてゴメン。」と。
NYには、道明寺とボズウェルの婚約パーティーに参加する為に行った事。その席上で合同プロジェクトが決まった事、類君とあきら君に会い、彼等もこのプロジェクトには参加する事。このプロジェクトが成功すれば道明寺財閥も安泰だろうと言う事。動き出したプロジェクトから、僕が手をひけば、道明寺財閥だけではなく、花沢も美作もかなり拙い状態に陥るだろうという事、諸々な事を僕はつくしに話した。
来週のKAGURAの婚約パーティーにも彼等が来る事も話した。
「なぜ?」彼女が小さく呟いた。
「黙っていてごめん。」僕はもう一度謝り、君を抱きしめた。
明け方近くまで、黙って彼女を抱きしめ続けた‥…
僕の腕の中で彼女が眠ってしまうまで僕は彼女を抱きしめ続けた。
***
目が覚めると、隣にあたしを抱きしめて眠る薫がいる。
いつもと違う無防備な、その寝顔を見ていたら、雪月堂で出逢った時の薫、桜の野点で再会した時の薫、ジュエルで一緒に仕事をしている薫、二人でここに住み始めた時の薫、両親の話しをしながら泣いた薫、あたしが傷つき空っぽになってしまった時あたしの側にいてくれた薫、プロポーズを了承した時の嬉しそうな薫 全てを思い出した。
この人はいつもあたしを守り、寄り添ってくれているんだと深く思う。
あたしは、指先で薫の顔をなぞる。美しい彫刻のような顔。だけどその美しさは司とは違うものだと、あたしの指先が語る。
あたしは知っている、これからの人生、司に恋し焦がれたように、激しく狂おしい恋する事はもう無いと言う事を‥…
だけど、そうだけど‥…あたしは思う。穏やかに寄り添う思いを、愛に変える事は出来ると。
あたしは、再び眠りに落ちる。薫の胸の中で‥…
そして、新しい朝を迎える準備をする。
***
冷たい水を浴び続け、身体中が冷えきる彼女を見つけた時、心臓が止まる程驚いた。
彼女を抱きしめ、顔に色が差すのを待つ間、彼女がこの世から消えてしまう恐怖を感じる。
これはエゴなのだろうか? 僕のエゴで彼女を苦しめている? ソウダソウダオマエノエゴダ 僕を責める声が聞こえる。
僕は、つくしを抱きしめ途方にくれる。
僕の愛は、幼子の様に、叶わぬ思いに駄々を捏ね‥つくしが欲しいと泣き叫んでいるだけではないのだろうかと。だけどだけど、僕は彼女を手放せない。
他の何も要らない。地位も名誉も、友も肉親も、悠斗さえも僕は要らない。
彼女が居てくれさえすれば‥…それでいいんだ。
君を手放してあげたら、君は僕に感謝する? 感謝? いいや違う‥…感謝なんて望んでいない。
僕が欲しいのは、たった一つ彼女だ。
君に恨まれようとも、僕は君を手放せない。彼に対する君の気持ちに気付かぬ振りをして、僕は君と生きて行く。
光があれば影が出来る。僕は光も影も全ての君を愛していく。
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