Let's be happy together 第4話

俺が牧野を見つけて再び俺の部屋へ戻ると、ドアを開けた瞬間
…ぷわ~んと甘いんだか、しょっぱいんだか、食い物の匂いがした。
見渡すと、まるで俺たちが戻るタイミングを見計らったかのように山盛りのポップコーンが3皿と、この邸には似つかわしくない木の蓋が被さったマグカップが2カップ、テレビの前のコーヒーテーブルの上に置かれていた。
「あぁ!ポップコーンだ!!」
言うと牧野は俺そっちのけであっという間にソファーに座り、目の前のポップコーンに大きな目をキラッキラ輝かせ、鼻をクンクンさせている。
「すごいねぇ!3種類も!!これはキャラメルでしょ。これはしょうゆバターかな?こっちは…なんだろこの匂い?食べていい?」
「ああ。」
俺の返事を聞くと、牧野は何味か不明のポップコーンを口に放った。
モグモグ…「あぁ!ポップコーンだ!!」
言うと牧野は俺そっちのけであっという間にソファーに座り、目の前のポップコーンに大きな目をキラッキラ輝かせ、鼻をクンクンさせている。
「すごいねぇ!3種類も!!これはキャラメルでしょ。これはしょうゆバターかな?こっちは…なんだろこの匂い?食べていい?」
「ああ。」
俺の返事を聞くと、牧野は何味か不明のポップコーンを口に放った。
「ん…味は塩なんだけど…なんだろ?
ねぇ?これは甘くないし食べてみてよ!」
おまえにそう言われちゃ断われねぇな。
「ん」
「何?おっきな口開けちゃって。
あー!まさかアーンしてほしいの?」「何?おっきな口開けちゃって。
「クソッ。バカ、そんな事確認すんなよ。ほら!」
「クスクスクス…ハイハイ。」
笑いながらも牧野は俺の口に謎のポップコーンを食べさせてくれた。
アーン♡か…クソッ恋人通しって感じでいいな。「クスクスクス…ハイハイ。」
笑いながらも牧野は俺の口に謎のポップコーンを食べさせてくれた。
「ねぇ?何味だと思う?」
そう聞かれて意識が現実に呼び戻された。そして、モグモグと食べながら答えは瞬時に出た。
というよりも、本当は香りをかいだ瞬間に解っていた。
しかし、わからないフリに成功し、アーン♡して貰えたんだから作戦成功だ。
「これ、塩トリュフだな。」
「ト…ト…トトリュフ!?」
「あぁ、間違いねぇ。この香りはそうだ。」
「へー。さっすが道明寺家だわ。」
納得したのか独り言のようにぶつぶつ言いながら黙々と塩トリュフ以外のポップコーンも食べ始めた。
そして、ポップコーンとともにテーブルの上に置かれているマグカップを見ると、大事そうに手に取り、牧野の表情は再び嬉しそうに微笑んだ。「ト…ト…トトリュフ!?」
「あぁ、間違いねぇ。この香りはそうだ。」
「へー。さっすが道明寺家だわ。」
納得したのか独り言のようにぶつぶつ言いながら黙々と塩トリュフ以外のポップコーンも食べ始めた。
「これ…やっと使えるんだぁ。」
「ん?やっとってなんだ?」
「これね、へへ…あんたがNYへ行ってすぐに、いつか戻ってきたら一緒に使いたいなって一目ぼれして買って大事にしまってたの。ちょっと前にタマ先輩に預けておいたんだぁ。やっと日の目がみれたよ。へへッ」
そして、もう一つのカップも手に取ると、「ん?やっとってなんだ?」
「これね、へへ…あんたがNYへ行ってすぐに、いつか戻ってきたら一緒に使いたいなって一目ぼれして買って大事にしまってたの。ちょっと前にタマ先輩に預けておいたんだぁ。やっと日の目がみれたよ。へへッ」
「見て!これとこれくっつけると一つのハートになるペアカップなの♡どう?」
こいつの持つカップは、確かに真っ赤なハートになっていた。ハートか…クスッ
「スッゲーうれしい。」
牧野が俺と使いたいって選んでくれた事がな…。
「あたしも♡」
そして、俺と牧野はカップの蓋をとると中身をみて、牧野は砂糖とミルクをとろうとした。「あたしも♡」
しかし俺は中身を見て…一瞬思考が停止したが、なんだかほっこりしちまった。
「これ、おまえのだわ。」
そう言って牧野に俺が持ってるカップを差し出した。牧野は不思議そうな表情を浮かべながら俺のカップを受け取り中身を見ると、満面の笑みを浮かべて喜んだ。
「うわぁ!かわいい!ハートのラテアートだ。」
「道明寺はブラックなのに、あたしだけいいの?」
「あぁ、俺はブラックしかのまねぇし、シェフがおまえの為に煎れたんだから。」
「そっかぁ。後でお礼言わないと。」
こういうところなんだろうな。こいつのこういう所を使用人たちもみんな好きなんだろう。「うわぁ!かわいい!ハートのラテアートだ。」
「道明寺はブラックなのに、あたしだけいいの?」
「あぁ、俺はブラックしかのまねぇし、シェフがおまえの為に煎れたんだから。」
「そっかぁ。後でお礼言わないと。」
俺は今まで一度もポップコーンを出された事ねぇし、
ラテアートだって、今までそんなんシェフが出来るなんて知らなかったぞ。みんなの牧野を想う気持ちのあったかさに、俺は鈍感な当人の横でジーンと来ていた。
「……寺!…明寺!道…寺」
一人の世界に浸っていた俺に、牧野が俺を呼んでいた。
「どうしたの?ボーっとしちゃって。」
「ん?」
その時、さっきタマから貸してもらったあれを思い出した。一人の世界に浸っていた俺に、牧野が俺を呼んでいた。
「どうしたの?ボーっとしちゃって。」
「ん?」
立ち上がり、テレビの前に置いといたそれ等を持って再び席に戻ると、それをみた牧野が
「あー!ノッティングヒルの恋人♡ラブアクチュアリーもー♡」このDⅤDを見て、喜んでいる牧野。
「これ、タマ先輩でしょ?」
「ん?あー…タマがこれ観ておうちデート?ってのをしろってな。」
牧野の笑顔とさっきのタマの言葉が重なり、俺の中にモヤモヤとした想いが生まれた。
「フフッ覚えてたんだぁ…」
しかし、そんな事に気づかない牧野は呑気にどちらをみるか選んでやがる。「ん?あー…タマがこれ観ておうちデート?ってのをしろってな。」
牧野の笑顔とさっきのタマの言葉が重なり、俺の中にモヤモヤとした想いが生まれた。
「フフッ覚えてたんだぁ…」
俺はモヤモヤした想いを抑えながら、牧野がチョイスしたノッティングヒルの恋人をセットして、怒りでプルプルする指で再生ボタンをプッシュした。
主人公は世界的に有名な大女優と、イギリスのノッティングヒルの片隅で本屋を営む男。
そんな、一生交わる事がないだろう二人が偶然出逢い、恋をして、愛を知り、愛を貫く…俺たちみてぇなカップルのお話。主人公は世界的に有名な大女優と、イギリスのノッティングヒルの片隅で本屋を営む男。
世界的に有名な大企業の御曹司の俺と、庶民の娘である牧野も似たようなもんだろ。
俺たちも本来、一生交わる事のない二人だったと思う。
それが、俺たちは出逢い、恋をして、愛を知った。俺たちも本来、一生交わる事のない二人だったと思う。
そう思ったら、この映画への親近感が半端なく、俺は夢中で観た。
その間はタマが言ってたことも気にならなかった程だ。
しかし観終わってエンドロールが流れ始めると、俺は再び怒りが再燃した。
***
牧野を探してタマの部屋を訪ねた時の事
「ところで坊ちゃん、おうちデートで何するんだい?」
「んあ?まぁ、散歩か?後はあいつに旨いもんたらふく食わせる。どうだ?」
俺のプランを聞いたタマは、呆れたように盛大に溜息をつくと…
「坊ちゃん…あんたって男は図体ばかりでかくなって、女ごころがてんでわかってないよ!」牧野を探してタマの部屋を訪ねた時の事
「ところで坊ちゃん、おうちデートで何するんだい?」
「んあ?まぁ、散歩か?後はあいつに旨いもんたらふく食わせる。どうだ?」
俺のプランを聞いたタマは、呆れたように盛大に溜息をつくと…
「ちょいとお待ち。」
そういうと、タマはテレビの近くの棚をごそごそとしだした。そして持ってきたのは、2枚のDⅤD。
「あたしのとっておきだよ!」
そう誇らしげに差し出されたが…「はぁ?」
どこがとっておきなんだ?さっぱりわかんねぇ…
「ヒュー様だよ♡」
………。
「ブッ…ヒュー様だぁ?!」
一瞬思考が停止した俺。
「あぁ、イイ男だろ?
まぁ、亡くなった亭主の次にだけどね…。」一瞬思考が停止した俺。
「あぁ、イイ男だろ?
俺の反応などお構いなしのタマは、マジでこのヒューなんちゃらのファンらしい。
ま、タマが誰のファンだろうと俺には関係ねぇけどな。なんて思っていると…「つくしもヒュー様の虜だからね。」
それまでどうでもいいとばかりに聞いていたが、牧野の名前に反応せずにいられねぇ!
そんな俺の反応を楽しむかのように、タマはイラっとするほど笑っていた。
そんな俺の反応を楽しむかのように、タマはイラっとするほど笑っていた。
ホッホッホッ…
どうしても確認せずにはいらんなくなって、ついに聞いてしまった。
「…おまえは、どうなんだよ?」
「ん?…あたし?なにが?」
「おまえもヒューなんちゃらの虜なのかよ?」
…………「ん?…あたし?なにが?」
「おまえもヒューなんちゃらの虜なのかよ?」
「ブッ!」
「虜とかって…なにそれ~?
さてはそれもタマ先輩?」「あぁ、おまえも虜なんじゃねぇのか?」
「違うよぉ。この映画は大好きだよ。
ノッティングヒルはさ、あの市場のシーンが季節とともに移り変わるのが好き。あとは、シュールな笑いとか!フフフッ……。でも、一番は二人が穏やかに過ごしているシーンを見ると…憧れちゃうんだよね。あたしもいつかあんたと、あんな風になりたいなぁって…。「違うよぉ。この映画は大好きだよ。
だから、いつか一緒に観たいってタマ先輩に話た事があるからそれでだよ。きっと。」
あたしが笑いながらテレビのリモコンをとると、突然横からギュッと抱きしめられた。
驚いて道明寺の方を向くと、さっきまでの拗ねた表情は一変して、破顔して満面の笑みに変わっていた。
「すっげーうれしい。」
その表情…反則だよ。「すっげーうれしい。」
ねぇ道明寺…あたしがあんたの笑顔に惚れてるって知ってる?
そう想ったら、体が勝手に動いてた。
道明寺の腕の中にすっぽり収まったあたしは、あいつの唇にキスしてた…。
そこからあたしたちは啄ばむようなキスをしたり、目が合えばクスクスと笑い会い、ずっと出来なかった4年越しのまったりとした時間を過ごす事ができた。***
ヤバい…ホントはヒュー様セクシーー♡って思ってるなんて事…死んでも言えない!!後でタマ先輩にも口止めしとかないとッ!
その頃タマは邸の自室で、あるDⅤD鑑賞に夢中になっていた。「これはまだまだあの二人には早いねぇ…」
“Fifty Shades of Grey”「これもそのうち、つくしに観せてやらなきゃね…フッフッ」
第5話へつづく…
☆☆☆☆☆☆☆1日で回せるか心配だったんですが、何とか完成!
お話に肉付けしまくって、内容の割に随分長くなった気もしますが(汗)
まったりおうちデートにしてみました。
お話に肉付けしまくって、内容の割に随分長くなった気もしますが(汗)
まったりおうちデートにしてみました。
遠距離になる前の高校時代は楓さんに邪魔されたりしていたので、読み返すとまったり感がありませんでしたよね。
でも、大人になった二人…そして、邪魔をされなくなった二人には、こういう時間も味わってもらいたい…
と、私は思うのです。
第5話の指名権がある私ですが、みなさん同様決められなかったので厳正にくじを引きました。
スルスルスル~第5話
明日咲く花 by:asuさん
明日咲く花 by:asuさん
みなさん御存じasuさんなら、お話を更に盛り上げてくださると思います。
どんなお話になるのか、私もいち読者として楽しみです。
どんなお話になるのか、私もいち読者として楽しみです。
asuさんのお話は、7日、8日、9日いずれかのAM6:00に明日咲く花さんのサイトにて公開されます。
あくまでも猶予は3日ありますので、御注意下さい。
あくまでも猶予は3日ありますので、御注意下さい。
では、私はキックバックがないことを祈りながらasuさんの更新を待っています!
後は宜しくお願いしますね(*^_^*)
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