紅蓮 97 つかつく
クルクルな髪? 遺伝子?
何を言っているのかが理解出来ずに、スマホを持ったまま阿呆のように類を見つめれば
「……司、俺、そっちの趣味はないからあんまり見つめないでよ」
類が大袈裟に眉を顰めながら口にする。
「あっ、ワリィ」
冷静に考えれば俺全くもって悪くなんてないのに、そう口に出して謝っていた。
「司が素直に謝るなんて___虹色の太陽が出ちゃうかもね。クククッ」
何が可笑しいのか__類は暫く一人で笑っている。
俺は、ただ呆然としながらその姿を見ていた。
「だぁ、かぁらぁ、意味解ってる?」
類が言う遺伝子の意味が解らずいる俺にお手上げだというように大きく両手を上にクイッとあげながら
「はぁーーっ、司、中々カッコいいじゃんって思ったのに、撤回だね、撤回。まぁ司らしいって言ったら司らしいんだけどね。って、ところで心当たりはあるよね?」
心当たりと聞かれ___
「……心当たり?心当たりってなんだ?」
「だぁ、かぁらぁ ハァッー 俺全部説明しなきゃいけないの? うーーん ハァッー、だから、あの夜牧野を抱いたかってことだよ」
「あぁ、その心当たりか___って、それとつくしの子供と俺がどう関係するんだ?」
「あのさぁ、普通解んない」
呆れてモノも言えないやら何やら一頻りぼやいたあとに
「牧野が産んだ子は、司の子供だって言ってるんだよ。」
「俺の…子?」
言葉の意味が噛み砕けない俺に、
「総二郎のお披露目の夜、牧野を抱いたんだよね?それは間違いなんだよね?」
俺、コクンと頷く。
「じゃぁ、間違いなく司の子だよ。以上」
ハッキリきっぱり言い切ったあとに、俺の肩をガシッと掴み
「司、もう一度、説明した方がいいかな?まぁ、説明もなにも牧野の子供は、司の子供って事しかないんだけどね」
ようやく類の言う〝遺伝子〟の意味が呑み込め始めた俺に真面目な顔で……
「なぁ司、道明寺財閥__大丈夫?」
そう聞いた後に、可笑しくて堪らないと言う風に大笑いをしたあとウィンクを一つした
俺の中に…………
喜びが湧いてくる。
「類、コレくんねぇか」
「いや、それ俺のスマホだから」
「そりゃないよな?俺等親友って奴だろう?」
「あのさぁ、画像は送ってあるよ」
「……ハハッ、そ、そ、そりゃそうだよな」
「自分が思っている以上の幸運に見舞われた時って、こんな風になるんだね___って、司は特別か。流石司。うん。それでこそ道明寺司だよね」
それでこその意味がイマイチ呑み込めないが__俺は思いがけない幸運に見舞われた__らしいと言う事が解った
なのに
「なぁ、類、俺、どうしたらいい?」
そんな事を聞いて類を呆れさせたらしい。
らしい__って言うのは、
「どうするも何も、さっき司が決めたことを実践すればいいだけ。先ず牧野を奪う。で、あとは牧野の娘が誰の子だろうが愛する。幸せにするって言った事を守ればいいだけだよ____ハァッーーー いい事言うなぁ、流石司だって思った時間を返して欲しいよ」
そんな内容のことを類が帰るまでに3回くらい言われたからだ。
類を送り出したあと___転送された画像を穴が開くほどに見た。
クルクルと巻かれた髪の娘が
愛おしくて
愛おしくて
愛おしくて
スマホの画面を
何度も、
何度も、
無意識に撫でていた。
世界は、喜びに満ち溢れているものなのかもしれない。
♥ありがとうございます。とっても嬉しいです♥
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