思い de ビーチ ~日焼けと赤っ恥と 編~
何?何?なんのお土産?
気になる方は
↓ 空色の時間 空色さまのお部屋にレッツゴー
思いde ビーチ~お土産は赤い靴下編~
deシリーズは、~空色の時間~ 空色さまとの共同作品♪になります。
「君が、噂の牧野つくしちゃん? 俺は類君の主治医を受け持ってる伊井尚人。これから宜しくね」
芸能人顔負けの白い歯を覗かせ爽やかに笑ったあと
「うーーーん、それにしても随分と酷く灼けたもんだね。ちょっと捲ってくれる?」
マキシ丈のスカートを捲り脚を出そうとしたら
「だ、だ、だ、だめ」
ここに連れてきた本人がストップをかけている。
「ダメって__なぁ、類君。つくしちゃんは患者さんなんだから、患部を見せて貰わないことには___あっ、水膨れになりかかってるじゃないか。もうちょっと上まで__って、類君、邪魔しない」
伊井とつくしの間に立ち塞ぐように、類が仁王立ちする。
立ち塞がったままの類に冷たい視線を這わせながら___
「はぁっーーーーー 類君、これじゃ見えないから」
「アハハッ___いくら伊井先生でもダメです」
ここで、何故こんなに爽やかに?というほどの笑顔を作り遮っている。
「はぁっーーー 今日、おふくろは親父とデートだなんだと浮かれてでかけたしなぁ。ったぁ、減るもんじゃないしちょっとどいてよ」
類をどかそうにも、爽やか笑顔で立ち塞がり中。
「はぁっーーー」
何度目かの溜め息のあと、伊井先生はポンッと手を打ち
「今日は、うちの香那院長が来てるんだった。うんっ、じゃぁ、つくしちゃんは香那院長に見て貰おう。それならいいだろう?」
ニコッと目を輝かせて類が頷いた。
「さて、じゃぁ、類君は俺とちょっと話しをしよう___かっ」
つくしに向かいウィンクを一つしたあと、類の肩を抱き奥に連れて行った。
伊井と入れ替わるように現れたのが、杖を持った魔法使い__? いやいや香那院長だった。
椅子にちんまりと座った院長
「ホホォホホッ あんひゃんが、ちゅくししゃん?」
不明瞭な院長の言葉に一瞬、魔法の呪文?なんて勘違いをしたけれど
「あしゃ、いれびゃをわしゅれたよっ ハハッ しゃかこしゃん 家からもっちぃきてしょうだい」
どうやら、香那院長___入れ歯を忘れてきたようで言葉が明瞭に喋れないらしいのだ。
後ろを付いて来ていた看護士さんが返事をして部屋を出て行った。
「で、今日はどうしゅたの?」
一生懸命に話しを聞けば、そこは、ほらっ同じ人間。ちょっとくらい不明瞭な言葉でも伝わってくる。
「あっ、はい。実は日焼けをしてしまって__少し水膨れになってしまって」
「あしゃしゃ、どりゅどりゅ、しょっと見しぇてごらん」
院長に言われるがままにつくしは、スカートを捲り脚を出す。今度は、類が邪魔する訳でもないので診察はサクサクと進んでいく。
「あしゃしゃ いっちゃい 何しちゃの?」
院長に質問されて____
何したって___
ぽわわ~ん 浮かんで来たのは、
青い海
白い砂浜
灼熱の太陽
そして___捲る捲る熱い熱い……
~~~~~
『ねぇ、ここも塗って』
後ろ首を差し出しながらおねだりする類が__なんだかとても色っぽくて
ドキュンッ
胸が高鳴った。
『あっ、うん』
首もとに指を這わせれば、ビクンッ 微かに類の肩が揺れた。
なんだか、それが楽しくって、楽しくってちょっぴり意地悪な気持ちで、ついつい喉元にも指を這わせちゃったんだ。
~~~~~
思い出して思わず頬を赤らめれば、追い討ちをかけるように
「ぬにゃりゅなかったの?」
ぬにゃりゅ?
えっ? えっ? ぬ、ぬ、ぬれなかったのって事?
えっ、えっ?
「だかりゃ、ぬにゃりゅなかったの?」
せき立てられるように聞かれ
「いえっ、しっかり濡れました」
「あしゃ~ しっかりにゅれてたのに可笑しいねー」
ともう一度首を傾げながら。
「うーーーん。さいちょかりゃ?」
えっ、えっ、最初から濡れたかって、そ、そんな
えっ、えっ、えぇーーーー
でもでも
類の肌が指に吸い付くようでイタズラするつもりが
ジュンッと身体が反応しちゃってたんだ
「あっ、はい最初からです」
「あしゃ~ じゃぁ、にゃんかい?_」
な、な、な、何回って
ミイラ取りがミイラになちゃって日焼け止めを塗っていた手をもたれて、焦らす様に身体を舐められた。
その度に ジュンッ ジュンッ
『類、だ、だ、ダメ』
『うんっ、大丈夫、誰も来ないし誰も見てないから。それに、つくしのココ、凄いよ』
磯の匂いと焦げ付くような暑さに、あたしの身体も熱をもっていた。
だから、な、な、何回なんて
「かっ、か、か、か、数限りなくです」
そう言い切ってた。って、言い切るのもどうよと思った瞬間
トントンッ
ドアがノックされ、入ってきた看護士が院長にこっそり入れ歯を渡す。
「しょっとしゅつれい」
衝立ての後ろに隠れ
カチャリッ
入れ歯が装着された。
「改めて、伊井香那と申しますわ」
スラスラと言葉を話し出す。
「っと、日焼け止めは何回も塗り直したとそれなのに足だけ日焼けしちゃったのね?」
「あっ」
ここで、日焼け止めをきちんと塗ったのかと、聞かれていたんだと初めて気が付いた。
そりゃそうだよね。トホホッ
「っん?」
「あっ、いえっ はっはっ 足の方はもしかしたら日焼け止め塗るの忘れたかなぁっーーーって。あははっ」
虚しい笑い声と共に、後の祭りとは、良く出来た言葉なんだなぁと変な所に意識は飛んで行く。
あぁ、これが俗に言う〝現実逃避〟って事なのね。
あぁ、あたしこの夏は色々悟ったかもしれないなぁー
項垂れていれば
「おほほっ、まぁ、取りあえずあその酷い日焼けが足だけで良かったってことで。 水膨れになってる部分はステロイドで対処して、水泡は潰しちゃだめよ」
「あっ、はい」
「そうそう、あんまり激しくしないようにね」
「えっ?」
「あらっ、いやだ。あんまり患部を動かさないでねって事よ」
「あっ、は、は、はい」
あぁ、ワカッチャった。
アハハッ
そりゃ~そうだよね。
チーン
愁傷様と言う様にどこか遠くで鈴の音が聞こえた気がした。
甘美な甘美な夏の思い出は____
ヒリヒリ日焼けと
小っ恥ずかしい思い出を置き土産に置いていった。
この後、類がつくしに大目玉を食らってしばらくの間、足が痛いを口実にエッチを拒否されるとか___
そのトッバチリが田村さんを襲ってつくしに泣きつくとか......
全部、全部引っ括めて
それもこれも 幸せな夏の思いde
ねっ!!
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