明日咲く花

花より男子の2次小説になります。

巡り合い 16

司は、軽やかな寝息を立てながら眠るつくしの顔を見る。起きている姿と違い、目を閉じて眠る姿は、どこか儚げで今にも消え入りそうにみえる。


つくしの頬にかかる髪をそっとはらい、頬に触れる。まるで宝物に触れるかのように。


もし、この場に普段の道明寺司を知る者が居たならば、何度も何度も目を擦り、夢でも見たのかと驚く事だろう。

いや、目の前に鏡があれば、本人が一番驚いた事だろう。司は、慈愛に満ちた微笑みを浮かべながら一雫の涙を零していたのだから。


つくしを見かけたあの日から、腹が立つほどに感情が揺さぶられている。

記憶などなくても、彼の細胞一つ一つがつくしを欲しているのだ。


司は、眠るつくしを起こさぬように、姿を見続けていた。




何故だかわからない。なのに、なのに、心が揺さぶられるように、何か激しい思いが込み上げてくるのだ。

自分の感情が、ただ、ただ、不思議だった。理屈でない感情が心の底から溢れ出していくのだから。


欲しい_____全てが欲しい。

身体だけではなく、心も、全てが欲しい



「馬鹿な…」


口に出したと同時に、司はこの感情の揺れの正体を知り愕然とする。


そして、激しく首を振る。子供が駄々をこねるように、激しく激しく。


この状況が耐えられなくて、司は車のドアを開け、一人屋敷に戻った。


なにも知らずに、つくしは眠っている。


「クシュンッ」


寒さから目が覚める。

寝入っていたつくしは、ここがどこで何故一人で寝ているのか、一瞬、理解が出来なかった。


辺りを見回し、呆けたように空を見たあと、漸く自分がいま置かれている状況を理解した。


共に、猛烈に腹立たしさが沸き上がる。


バタンッ


車のドアを勢いよく開け外に出る。秋とは思えぬほどに、ひんやりとした風が吹いている。


身体が、寒さからか、怒りからかぶるりと震えた。


ドンドンッ

勢いよく裏口を叩く。ドアを開けた使用人に


「ちょっと、失礼します」

そう言い捨て、邸の中にズカズカと押し入った。



「あ、あ、あの、お、お嬢様は、どちら様で?」


「牧野です。牧野つくしです。道明寺は?道明寺はどこですか?



花沢で培った、つくしの堂々とした振る舞いに、使用人は慌てて案内をする。


「お、奥のお部屋でございます」


つくしは、振り向き


「ありがとう。あとは一人で大丈夫よ」


会釈してから、ズンズンと音を立てそうな勢いで入って行った。


つくしは勢いよく扉を開け、


「ちょっと道明寺!」


大きな声で叫んだ。


説明のつかぬ感情と向き合い酒を煽っていた司は、眉根を寄せながら声の主を見た。


「あんた、なんで一人でぬくぬくとしてるのよ!」


「あぁっ?」


「あぁっ、じゃないでしょ。車のエンジンまで切って、寒くて死ぬかと思ったんだからね!ったく、信じられない」


司は、目の前で感情を露にして怒るつくしを、不思議な生き物でも見るかのように見つめた。


「クッション」


つくしが大きなくしゃみを一つしたと同時に、司が笑いだす。


それはそれは楽しげに。


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4 Comments

asu  

さとちゃん

流れて流れて~
って、一番流れてるのは
私だったり(笑)

2017/11/05 (Sun) 13:25 | EDIT | REPLY |   

asu  

yukiちゃん

そうなのよ~
いろんなことをすっ飛ばして、つくしもはらを立てたのよ

ムフ

怒れるつくしなのだった

2017/11/05 (Sun) 13:23 | EDIT | REPLY |   

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2017/11/03 (Fri) 21:08 | EDIT | REPLY |   

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2017/11/03 (Fri) 11:56 | EDIT | REPLY |   

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